休日 2
僕は緊張しながら園内を歩いた。
やけに心臓が煩い。
友人達や家族となんら意識することなんてない歩きながら話す行為も隣に好きな人がいるというだけで、こんなにも緊張してしまうものなのか。
なにかこれで論文でも書けるんじゃないだろうか…?、…そんなくだらないことを頭の中で思考していないと心臓が破けてしまうのでないかとすら思う。
そんな状態の僕に倉瀬はいつも通り話しかけてくる。
「ここ、パンダが有名なんだってね。」
「へぇー、そうなんだ。」
なんとか平静を保って答える。
ちなみにもちろん知っている。リサーチ済みだ。
この動物園は、県一番の大きさで番のパンダ、リンリンとシャンシャンが看板動物だ。
そして、倉瀬が無類のパンダ好きということも当然、知っている。…僕はペンギンが好きだけど。最初にパンダの所に行こうとしたが、流石に看板動物なのかものすごい人集りができていた。この行列に並ぶのは大変だ。待ち時間は2時間とプラカードを掲げた係員が汗を垂らしながら立っていた。
「後回しにしようか…。」
行列に気圧された僕は倉瀬にそう提案した。
「そうだね…。」
倉瀬は少しがっかりしたような顔をしていたが、了承してくれた。…胸が痛い…。だか、それ程楽しみにしてくれていたのだろうということがわかる。申し訳ないけど、僕はそれが嬉しい…。
「とりあえず、他の動物の所に行こう。何処にしようか?」
僕はパンフレットに描いてある園内の地図を開き、倉瀬と一緒に覗く。近い…。緊張する。他の男子にもこんなことをしているのだろうか…。
「あっ、私、キリン見てみたいな。」
僕は頷くことしか出来なかった。
「キリン凄かったねー」
「ああ、近くで見ると以外と威圧感があったな。」
「少し可愛いかったね。」
「そうかなぁ…。怖かったけど…。」
「えぇー、そんなことかったけど…、っと、時間も丁度いいしそろそろパンダの所に行こうか‼️」
パンダ好きすぎない…?半ば強引に連れらるのは悪くないけど…。
パンダのエリアに入り、行列で順番を待っている間も、倉瀬はそわそわしているのが、丸わかりだ。…そんな姿も凄く可愛いと思ってしまう。
「きゃー‼️可愛いー‼️こっち向いてー‼️」
お目当ての番のパンダを謁見した倉瀬は冷静ではなくたっていた。
こんな姿を見たことがないくらい大はしゃぎをして、ぴょんぴょん飛び跳ねている。
「はぁー可愛いかった。」
今まで、見たことない姿を見た満足感に満たされている中、その瞬間はやってきた。
「…麻耶…?」




