休日 1
その日はいつもより早く目が覚めた。
楽しみであまり寝れなかったような気がする。
僕は意識をはっきりさせ、身嗜みを整える。
待ち合わせに遅れないように、少し早めに家を出たようとした時、玄関先で番らしき野良猫を見掛けた。あいつらも僕らと一緒なのだろうか?笑みが零れた。
電車に揺られながら、今日のデートプランを確認した。
今日は動物園に行き、ご飯を食べ、併設された遊園地で遊び、最後に告白をする予定だ。告白する場所は勿論、観覧車だ。ここの観覧車はある界隈では有名で、此処で愛を打ち明けると必ず結ばれるというなんともロマンティックな言い伝えがあるという。
少し気が早いかもしれないが、善は急げと言うしこんなチャンスは2度とないかもしれない…。
告白の言葉は昨日の内に考えてきてはいるが、何度も修正を繰り返した。その間に、もし告白が成功したら、恋人になれた妄想がちらつく。恋人になれた訳でもましてや告白を出来た訳でもない。でも、こうやって自分を奮い立たたせなければ、このチャンスを不意にして逃げ出してしまいそうになってしまう。絶対成功させてやる…、自らを鼓舞させる。
そんなことを繰り返している内に電車は目的地に着いていた。
駅のホームから降り、改札を出て少し歩くと動物園が見えてくる。
心臓が既にバクバク言っている…。待ち合わせはこの動物園の入口なのだ。
キョロキョロしていると、件の人が既に来ているのが分かった。
「白井くん、こっちだよ。」
手を振りながら、笑顔を振りまいている。目の前には天使がいたようだ。倉瀬は白いブラウスに長めのスカートを合わせていた。耳にイヤリングを着けており、髪はいつもと違いポニーテールにしていた。いつもとあまりにも違う可愛いらしい雰囲気に面を食らってしまう。
「可愛いすぎるだろ…」
つい、口からそんな言葉が出てきた。気づいた時には倉瀬は顔を紅くしているようにみえた。気のせいだろうか?
お互いの間に妙な雰囲気が流れる。
「じゃあ、行こうか。」
僕はそれ断ち切るように倉瀬に言った。
「そうだね。」
倉瀬もそう言い、2人は動物園に向かう。
顔を紅くした両者を他の客が見たら、やはりデートだと思うのだろうか…?そうだったらいいのになぁ…。
そんなことを思いながら、僕はそわそわとしていた。
この時間が永遠に続けばいいのにと思わずにはいられなかった。そんな淡い期待を心に抱いて、僕は倉瀬と一緒に動物園に向かって歩きだして行く。




