過去 2
夏休み前日にさっそく交換した連絡先にメッセージを送る。
「夏休み中に何処か行かない?」
もう恋人同士なのにやけに緊張してしまう。メッセージに既読が付くのが待ちどうしくて仕方がない。ふと想う。倉瀬…麻耶は俺の何処を好きになったのだろう…。付き合うこてになった今、そんなことを考えてもしょうがないけど…気になってしまう。今度聞いてみようか…。そう考えている内にメッセージに既読が付いていることに気付いた。
「予定が合えばいいね」
…やけに素っ気なく感じてしまう…。倉瀬にも事情があるのだろう…。そう、自分を納得させた。
8月某日、今日はデートの日だ。
昨日、麻耶からメッセージが届いた。
「明日、遊びに行かない?」
あまりに急なことでたじろいでしまったが、これはチャンスと思い、夏休みに入ってから温めていたデートプランなるものを提案する。
「動物園に行かない?その後、ショッピングモールで買い物でもしよう。」
…デートプランを必死に考えてみたものの我ながら普通だな…。まぁー中学生だしこんなものか…。
メッセージにはOKの返事、麻耶も了承してくれたようだ。
…本音はもっと早く、沢山遊べると思っていたんだけどなぁ…。
「わぁー、見てパンダ可愛い‼️」
デート当日、動物園に来た俺たちをパンダが迎えた。
クラスの会話を盗み聞きしていた俺は、麻耶がパンダ愛好家である情報をキャッチしていたため、地元でかつパンダが有名な動物園に来たわけだ。
「はぁーやっぱりパンダ可愛いね〜」
「パンダもだけど今日の麻耶も可愛いよ」
自分でも言って恥ずかくなる。麻耶の方を見れない…。きっと顔も真っ赤だ…。
「有難う。嬉しい。」
…予想外の反応。麻耶も恥ずかしがると思ったが…。
結局、その後はプラン通りショッピングモールに買い物に行き、途中で入った店で小物を買うことにした。赤青の色違いのキーホルダーを見つけ、2人で付けないかと提案したが、断わられてしまった。
「私、キーホルダーとかすぐに無くすタイプだから勿体ないよ。」
…別に無くしたっていいのに…。今日の記念に買ったものを2人で付ける。それだけでいいのに…。
そんなことも言い出せず、そのままデートがお開きになった。
胸にしこりを残しながら家に帰ると、母親が神妙そうに声を掛けて来る。
「裕也、ごめんね。転勤で引っ越すことになりそう。」
…少し前なら特に、気にすることはなかっただろう。でも、今は…。
「しょうがないよ。仕事のことだから。」
…俺は何も言うことが出来なかった…。




