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あれから一週間が経っていた。光夜くんは多分、町に住んでいる。わたしは彼の学校の名前を確認しなかったことを後悔した。きっとあの塾に生徒として通っているんだ。
このまま何もしなければ時間だけが過ぎていく。やはり自ら動くしかないのではと思い、再びあの塾に行ってみることにした。
この間の試験で私が帰ろうとした時刻より少し遅い時間に塾に着くように行ってみた。まだ授業中なのか塾の建物は静かで教室には電気がついていた。春の日差しは暖かく、わたしは建物前の花壇に腰を掛け、光夜くんになんて話し掛けようかと考えていた。
どれくらいそうしていたのか、答えがまだ見つかっていないのに、建物から塾生らしき子たちがちらほらと出てきた。光夜くんの姿を見逃さないように目を凝らしてその姿を探した。
光夜くんは目立つ。だから彼の姿をすぐに見つけることができた。彼の姿を認識した瞬間、胸の中にぱっと花が咲いたように温かい気持ちに包まれた。しかし、彼の隣にはあの子、ランがいた。せっかく会いに来たのに金縛りにあったように体が動かない。
「光夜、あの子。」
「え?」
この間も光夜くんの隣にいたシュウマくんがわたしに気付き、彼に知らせる。光夜くんと隣のランの視線が同時にわたしに向けられた。
「ミコト?」
光夜くんがわたしに近づいてくる。
「ミコトちゃん。」
シュウマくんも手を降りながら駆け寄ってきた。ランは不快な表情を思い切り顔に出し、渋々彼らのあとに続いた。
「どうした?」
「あの...。」
「もしかして光夜のこと待ってた?」
シュウマくんがズバリと言い当てる。まさに図星で、わたしは俯いてしまった。きっと顔が真っ赤になっているにちがいない。
「すごい、まるでストーカーね。この間も急に自己紹介するし。」
ランにグサッときつい言葉を浴びせられた。同性は容赦ない。
「おいおい、女は怖えーな。」
シュウマくんは場を和まそうと緩い感じで口をはさむ。
「ミコト、あの耳飾りのことだろ?」
「え?」
光夜くんの言葉にわたしはようやく顔を上げた。
「ラン、返してやれば。ランなら他にもたくさん持ってるだろ。」
光夜くんがランに視線を向け、耳飾りをわたしに返すように言ってくれた。これには意外だったようで、ランは目をギラギラとさせながら自分の主張を通す。
「嫌よ。あれはわたしが拾ったからわたしの物よ。他とは違う。気に入ってるの。」
「あの...、あれはとっても大切なものなの。返して。お願いします。」
わたしは頭を下げてお願いした。これが最後のチャンスかもしれない。
「ようわからんけど返してやったら?こんなに必死だし。」
シュウマくんもわたしに加勢してくれた。
「わたしを悪者みたいに言わないで!」
二人から責められたと感じたのか、ランはその場から足早に立ち去ろうとした。
「待って、お願い。」
わたしはたまらずランの腕を掴んだ。
「放してっ。」
わたしは彼女に振りほどかれ、また尻もちをついた。
大切なものだったのに落とした自分がいけない。どうすることもできないと思ったからか勝手に涙が流れる。
「大丈夫か?」
光夜くんがしゃがみこみ優しくわたしの肩に触れる。
その様子をランが振り返り見ていた。彼女と目が合った。ランはまるで鬼の様な形相でわたしを睨んでいた。
「そんなに大事ならちゃんと持ってたら!」
ポケットからランはなにかを取り出した。そしてそれを車が走る道路に向かって投げ捨てる。きらりと宙に浮くそれを見た瞬間、それがツクヨミの耳飾りであることが分かった。
わたしは道路に駆け出していた。
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