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数ある中から選んでくださりありがとうございます。
このエピソードからの登場人物。
★光夜
ツクヨミの記憶を持つと思われる少年。都会的な雰囲気。色白の美少年。
★シュウマ
光夜の友人、クラスメイト。同じ塾に通う。短髪、体育会系のイケメン。
★ラン
光夜のクラスメイト。モデルの仕事をしているスタイル抜群の超美少女。
登場人物
足が震える。本当に分かった。ツクヨミが言っていたように。彼の瞳はツクヨミの瞳と同じだった。
「あの、わたしミコトっていうの。あの...。」
わたしは彼に自分の名前を伝えた。ツクヨミはわたしの名前を知っていた。でもわたしが名乗っても彼からは何の反応も見られない。彼の素っ気無い態度に言葉が続かない。だって目の前にいる男子はわたしのことを初めて会う人間として見ている。それも当然だ。彼は今日初めてわたしと会ったのだから。
「なんなの、急に自己紹介なんてして。」
「気持ち悪いんだけど。」
ランの取り巻きの女子たちが毒を吐く。わたしはそんなことに構っていられない。わたしは生まれて初めてぐらいの勢いで頭を回転させる。何か、何かない?そうだ!耳飾り!あの耳飾りがあった!
「あの、その耳飾り、手に持ってもらえない?」
わたしは男子に耳飾りに触れるようにうながした。耳飾りに触れればなにか反応が起こると思ったからだ。
「耳飾り?」
「それ...。」
わたしはランが手にしている耳飾りを指さした。
「ねえ、さっきからなに?しつこいわね。」
ランが男子に話しかけるなと言わんばかりの勢いで言い放った。
「それかして。」
男子はわたしの頼みをきいて耳飾りを手に取ってくれた。
「持ったけど、これがなに?」
彼の表情は変わらない。どうしてなにも起こらないのか?
「あの。なにか感じたりは?」
「別に。」
「もういいでしょう。」
耳飾りは男子の手から再びランに取られてしまった。
「光夜、行きましょう。」
そう言ってランは彼の腕を引っ張って連れて行こうとする。すらっとした二人の身長差はちょうどよく、まるでおとぎ話から出てきた王子様とお姫様のようでお似合いの雰囲気だ。なぜだか、胸がチクりとした。
「変なやつ。」
彼も一言そう言ってあの女子たちと一緒に行ってしまった。わたしはしばらくその場から動くことができなかった。
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「昨日大丈夫だった?急にいなくなるから。」
「ごめんね。」
翌日、学校でホシカとハナが昨日の件を心配してくれた。
「探し物、見つかった?」
「失くしてしまったみたい。」
耳飾りはランが持っている。彼女は彼と仲が良さそうだった。だからあの耳飾りも彼のそばにある。不思議と胸がざわついた。なんなんだろう?耳飾りを見つけてからはずっとお守り代わりに身に着けていた。自分の大切な一部が失くなってしまったようで、あれから喪失感は募るばかりだった。
「ミコト、今日塾の試験受けに行くから用意してね。」
次の週末、母から塾へ行くと言われた。耳飾りの件でわたしはそのことをすっかり忘れていた。
「やだ、そんなこと聞いてない。」
「一週間前に言ったらわかったって言ってたわよ。もう申し込んでいるから。」
最悪だ。わたしは私立を受けるわけでもないのに。きっとわたしよりなにもかも優秀なレンへの対抗意識だろう。
連れていかれた塾は町中にあった。みんなすごく頭が良さそうに見える。仕方なく母と別れ慣れない試験を受けた。普段使わない頭を思い切り使って気分が少し悪くなってしまった。ようやく試験が終わったときには、早く帰りたいと母との待ち合わせ場所に向かうため急ぎ教室を出た。
そこでわたしはツクヨミの...、彼の姿を見つけた!彼は友人と二人で私の数歩先を歩いている。
「待って。」
心の中で叫びながら走る。
気付くとわたしは彼に駆け寄り、腕を掴んでいた。
「えっ?」
腕を掴まれた彼は振りむきわたしを見て驚いている。
「あっ。」
わたしは咄嗟に体が動き、その後どうするか考えていなかった。
「光夜、彼女?」
隣にいた男子がニヤニヤしながら尋ねた。
「あの、ごめんなさい。」
ぱっと腕から手を放し何か言わなければと思い再び必死に頭を回転させる。
「この塾に通ってるの?」
「うん。君も?」
「わたしは今日はテストを受けに来ただけで。」
「どこの学校?」
わたしたちのやり取りを興味津々で見ていた男子が話に入ってきた。
「えと、龍里小。」
「ええ!龍里って?めっちゃ田舎じゃんっ。」
ここから30分足らずの場所だけど、ここにいる人達からしたら田舎なのだろう。
「おい、シュウマ。」
「あっ、ごめん。」
シュウマと呼ばれた男子はすぐに謝ってくれた。この間の女子たちと違って彼は感じがいい。
「ううん。田舎だから。あの、耳飾りは...。」
「あれ君の?拾ったって聞いたけど。」
「うん。」
本当はあなたの耳飾りなのだとわたしは心の中で答えた。
「ミコトだっけ?」
「え?」
彼はわたしの名前を覚えていてくれた。
「俺になんか用があるのか?」
「あの、変って思うかもしれないけど...。友だちになってほしくて。」
わたしはいったいなにを言ってるんだろう。自分でもちんぷんかんなことを言っていると自覚があってすごく恥ずかしい。彼は私の顔をじっと見ている。へんな奴だと思われたに違いない。
「いいけど。」
「え!ほんと?」
「うん。面白そうだから。」
「あの、名前聞いてもいい?」
「光夜。」
「光夜くん...。」
「光夜、そろそろ時間。」
シュウマくんがニヤニヤしながら時計をさした。
「じゃ、またな、ミコト。」
「うん、また。」
不思議な気持ちだった。無視されると思ったのに、普通に友達になってくれた。それになんだか胸がどきどきする。自己紹介を果たし、「また」と言って別れはしたが、これからまた会う事ができるのかわたしにはわからなかった。この塾に通えば会えるのかもしれないけれど。
そしてどうやって夢の話を光夜くんに切り出せばいいのか。耳飾りの力を当てにできなくなってしまった今、あの話をとても信じてもらえるとは思えなかった。
読んでくださりありがとうございます。




