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モブだった僕が転生し世界を救う  作者: 異世界好き
一章
7/10

七話 ギルド前の攻防戦

 僕は、扉の外の光景を見て絶句した。そこには数十体のゴブリンがいたのだ。それだけならまだいい。だけどそいつらの手には剣が握られていたのだ。

 ゴブリンが持つ武器と言えば、木で作られた棍棒くらいだ。だけど、コイツらは剣を持っているのだ。奴らにそんな技術力は無い……はずだ。と、なると冒険者達から奪ったのだろうか。でも、ギルドの中に運ばれてきた人たちは全員武器を持っていた。つまり、冒険者から奪ったということは無いわけだ。

 もう一つの可能性は、協力者が存在するという可能性だ。あり得ないことは無いと思う。とりあえずコイツらをたおさないと、このギルドが破壊され、戦線の崩壊は免れないだろう。


「ニンゲン、コロス」

「セカイ、シハイスル」


 その中の数体が声を上げる。物騒な言葉だ。まぁ、そんな事は僕がさせないけどね。僕は強く地面を蹴り、ゴブリンに斬りかかる。よし、捉えた。

 ガキンッ。あたりに金属同士がぶつかり合う音が響く。僕の攻撃がゴブリンの手にした剣により防がれたのだ。

 嘘だろ、切れ味の強化をした剣だぞ。なんで防げるんだ? 僕は距離をとり考える。アイツらが持っている剣にも何かしらの付与がされているのか。というかゴブリン達があの速度に追いつけていること自体異常だ。

 しまった、周りをゴブリンに囲まれてしまった。油断してた……。気づいたときにはもう遅かった。というか、ゴブリンが集団行動することも異常だ。指揮官クラスの魔物がいるのだろうか。そう考えながらも剣を構えながらあたりを見渡す。一斉に攻撃を仕掛けてきたらまずいかもしれない。僕一人でさばき切れるだろうか。

 数秒間の沈黙を破り、一体のゴブリンが攻撃を仕掛けてきた。僕は落ち着いてゴブリンの攻撃を見切り、躱しざまにゴブリンに斬りかかる。しかし、刃が通ることはなかった。なんでだ? ゴブリンってこんなに硬かったか? この剣は切れ味を強化してるんだぞ。それなのに、なんで切れないんだよ。硬すぎるだろ。

 僕は驚きで、次の攻撃への反応が遅れた。戦いでこれは命取りだ。僕は背中を斬られる。

 ──が、なんとも無い。ゴブリンの攻撃が僕に傷を与えることはなかった。

 危なかった。服に耐刃強化を付与してなかったら完全に致命傷だった。僕は過去の自分にこっそり感謝する。あの時の僕、ナイス!

 驚きからかわからないが、隙をつくったゴブリンに斬りかかる。だが、さっきと同じように刃が通らない。コイツらなんでこんなに硬いんだ? 絶対に何かおかしい。やっぱり、アイツがやってきたと考えるしか無いか。

 ──ゴブリンロード。ゴブリンロードとは、魔王軍においてゴブリン達の長のような役割を担う魔物のことだ。ゴブリンロードは厄介な能力を持っている。それは、配下を強化する力だ。その能力は、俊敏性の上昇や思考速度の上昇、防御力の上昇、攻撃力の上昇など多岐にわたる。

 この世界には魔物や魔獣はランク分けされているのだ。強い順に並べて、SSランク・Sランク・Aランク・B+ランク・Bランク・B−ランク・Cランク・Dランクに分類されている。

 Dランクは大人なら難なく倒せる強さ。

 Cランクは訓練した冒険者なら簡単に倒せる強さ。

 B−ランクは冒険者が倒せる強さ。

 Bランクは熟練の冒険者がある程度簡単に倒せる強さ。

 B+ランクは熟練の冒険者が倒せる強さ。

 Aランクは熟練の冒険者が苦戦するが倒せる強さ。

 Sランクは、熟練の冒険者が命を賭けて戦っても倒せる可能性は限りなく低い強さ。

 そして最後のSSランクは勇者とそれに類するものしか倒せない強さ、だ。

 通常、ゴブリンは単体ではDランク帯に分類される。だから、いくら数が多いからといって、町がここまでの被害を受けることは無いだはずだ。

 だけど、今のゴブリンはB−ランクに相当しているだろう。ちなみにゴブリンロードはBランク帯の魔物だ。つまり、いまの状況は限りなくまずい状況だ。

 一体のゴブリンが攻撃を仕掛けてくる。コイツらの速度だと、僕にとっては躱すのは容易い。躱し際に攻撃を仕掛けるがやはり、硬すぎて刃が通らない。逆に冒険者たちはコイツら相手によく戦っていたな。と感心する。さてどうしたものかね。

 何度目かは分からないカウンターがゴブリンに当たったところで僕の中である変化が訪れる。『付与(エンチャント)』が自分の力を使えと言っているような感覚だ。魔道具に様々な能力を付与したときに感じた感覚によく似ている。

 脳内にある言葉が浮かび上がる。この力を使えばコイツらを倒せると直感的に理解した。


「『付与(エンチャント)』ゴブリン特攻!!」


 そう唱えると同時に、ゴブリンが攻撃を仕掛けてきた。さっきと同じように攻撃を躱すと同時に、カウンターを仕掛ける。

 ただ、さっきとは違いゴブリンの腕を斬ることができた。さっきまでの硬さが嘘みたいによく斬れたのだ。すごいな。

 僕はさっきのゴブリンに追撃をお見舞いしてやるために、ゴブリンに斬りかかる。しかし、横からの攻撃に後ろに飛び退いた。


「邪魔しないでくれ」


 僕は憎しみを込めてゴブリンに言う。ふと、腕を斬り落としてやったはずのゴブリンを見たが、元通りになってやがった。再生能力まであるのかよ。


「ユルサナイ。ユルサナイ。ユルサナイ。……」


 腕を僕に斬り落とされたゴブリンが憎しみを持って言葉を紡ぐ。コイツらを絶命させるにはどうしたらいいんだろうか。やっぱり、首を一撃で落とすことぐらいしかできないか。いや、もう一つあったな。


「ゼンイン、イッセイコウゲキダ。ヤツヲゼツメイサセロ!」


 一体のゴブリンがそんなことを言い出した。

 まずいな、一斉攻撃されたらさすがの僕も苦戦するかもしれない。いや、さっきまで苦戦させられていたから今更か。


「こい。全員ぶっ倒してやる」


 その言葉を合図にゴブリンが一斉に攻撃を仕掛けてくる。

 でも残念ながら連携に少し穴がある。こういう時はどれだけ、タイミングを合わせるかで、厄介さに大きな差が出る。それに、無駄にジャンプして斬り掛かって来てるから、攻撃の到達までかなりの時間を要する。たかが一秒。されど一秒。極限の戦いの中で、その一秒がものを言う。


「『上昇気流(アップドラフト)』」


 僕は自分の足元で魔術を発動させ、上昇気流を発生させる。その風にのり、高くジャンプする。残念なことに知能の低いゴブリン達は、僕を見失ったようだ。


「『付与(エンチャント)』氷!」


 僕はゴブリン達の足元に氷属性を付与する。これで、アイツらはもう動けまい。覚悟しろよ。


「『炎の竜巻(ファイアーストーム)』」


 僕は続けざまに上級魔術を発動させる。その炎に焼かれゴブリン達は黒焦げになって倒れ、その生命を終えた。

 魔術にも等級があり、上から特級魔術、上級魔術、中級魔術、そして初級魔術だ。等級が高ければ高いほど強力だが、そのかわり術式が複雑になっていくため発動が難しくなる。ちなみに母さんに魔術を教えてもらった僕らは魔術の高速発動なんていう芸当ができる。

 だけど、僕はまだ特級魔術は高速発動ができないため、術式構築にどうしても時間がかかってしまう。そのため、今の僕でも高速発動できる上級魔術を選択したのだ。

 ギルドの近くにきたゴブリンたちはなんとか撃退できたが、この襲撃を終わらせるには元凶を絶たないといけないだろう。『付与(エンチャント)』の力を上手く使えば倒せると思う。


「絶対たおしてやるよ、ゴブリンロード!」


 僕は、この町の近く(もうすでに入っているかもしれないが)にいるであろうゴブリンロードに届けと思いながら叫んだのだった。

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