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モブだった僕が転生し世界を救う  作者: 異世界好き
一章
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五話 不穏な気配

 どこともしれぬ場所に佇む城の中で、四人の男女が机を囲んでいた。


「もう少しで我らの王が復活なさる……。早く人間どもを殲滅したいわ」


 その中の一人の女が言う。そんな彼女の横には机に立てかけられている杖があった。その杖の先端には鈍い輝きを放っている鉱石がくくりつけられていた。彼女の姿は青のワンピースのようなものの上に赤色のマントがはおられていた。髪はポニーテルにまとめられ、その頭には魔法使いが被っていそうな三角のトンガリ帽子を被っていた。


「はやる気持ちもわかるが、一度落ち着けモファー。魔王様に醜態を晒すきか?」


 獣人族であろう男が女の名をいいながらたしなめる。その男の姿は燃えるような赤髪に、虎のような耳がついている。その身は真っ赤な鎧で身を包んでいる。


「わかっているわ。ガルダー」


 獣人族であろう男はガルダーと呼ばれる。


「魔王様の復活と同時に、我が配下のゴブリンロード部隊をあのフォワードの町へ送ろうと考えている。ユウキ、モファー、マニファ、異存はないか?」


 ガルダーと言われた男が問いかける。


「私の仕事がないのは少々腹が立ちますが、私は異存は無いわ」

「わたくしも問題ありませんわ」

「⋯………」


 先程のモファーに加え、マニファと呼ばれた女も答える。マニファと呼ばれた女は、髪をショートヘアーにしていた。しかし、ユウキと呼ばれた男は黙り込んでいる。ユウキと呼ばれた男は青いマントをはおり、腰には一刀の刀をさしていた。


「ユウキ! 貴様はどうなんだ?」


 ガルダーが苛立ちを隠さずに問いかける。ガルダーはとても短気だ。しかし、ユウキは我関せずという雰囲気を漂わせる。


「お前!」

「やめなさい!」


ガルダーの次の行動を予想したマニファは彼に忠告する。しかし、彼女の忠告を聞かずに、ガルダーはユウキに殴りかかる。

 しかし、その拳がユウキを捉えることは無い。椅子に座っていたはずのユウキの姿が掻き消えたのだ。


「アイツどこに行った?」


 ガルダーはユウキを探す。そのとき、ガルダーは首筋に何か冷たいものが触れていることに気づく。よく見ると自分の首筋にいつの間にかユウキが抜いた剣が触れていた。ガルダーの首筋から赤い線が流れ落ちる。


「お前が攻撃を続けると言うなら、宣戦布告と捉えお前の首を刎ねる。まだ続けるか?」


 今日この日、ユウキが初めて口を開いた。その言葉には隠しきれない殺気がにじみ出ている。


「悪かったよ。ついつい頭に血がのぼっちまったよ」


 ガルダーが手を上げ降参の意を示す。


「次は無いぞ」


 そう言い、ユウキはガルダーの首筋から剣を話す。


「だから言ったのに」


 マニファが呆れたように言う。

 彼らは魔王軍四天王。強さや魔王軍への貢献度によって第一席から第四席まで存在する。下から順に、

第四席、暴力のガルダー。

第三席、魔法のモファー。

第二席、操りのマニファ。

そして、第一席、万能のユウキ・フォワード

 彼らが魔王軍を支えているのだ。先程彼らが言っていた通り、そんな彼らの敬愛する主が今、封印から目覚めようとしていたのだ。数百年間沈黙を保っていた、魔王軍と人間の戦端が開かれようとしていた。





 勇者のことを聞かされてから数日がたった。今のところ特に何も起こっていない。何気ない平和な日常が続いている。

 僕はいつものように剣術の特訓をしている。最近は、いつもよりも剣の特訓に熱が入っている。勇者のことを聞かされたからか、それとも父さんに一撃を入れる事ができたかはいまいちわからないけどね。そんな感じで毎日生活している。

 やっぱりいつ魔王が復活するか分からないのは少し怖いが、いつかは復活してしまうのだ。だから今どうこう言っていても仕方がない。その時に後悔しないようにすればいいのだ。それになんだか最近、魔物たちの動きが活発になっている気がする。もしかしたら復活は近いのかもしれない。いや、考えてても仕方がない。今は剣術のレベルを上げることに集中しよう。


 しばらく素振りを繰り返していると一つ思い至った事がある。何でも収納できる魔道具があれば便利じゃないか? と。

 この世界での魔道具の作り方は、道具に術式をそのまま付与する方法が一般的だ。

 確か、屋敷の図書室に収納魔道具の作り方が書かれた本があったはずだ。『思い立ったら吉日』という言葉があるくらいだし、家に帰ったら早速始めるか。

 そう考え、僕は家へとむかったのだった。


 家に帰ると、僕は早速図書室から魔道具についての本を拝借して部屋へと戻った。早速その本を開いて収納魔道具についてのページを探す。

 あっ、あったあった。どれどれ。『媒体となる道具に、上にある術式を付与することで完成する』か。その本には作り方と、その文字の上に魔法陣が描かれていた。

 現在、魔道具を作る時は二人の魔術士がそれぞれの術式を構築して行われる。術式構築が、二人ともほぼ同時に行えなければ成功しない。そのため、道具に能力を付与できる確率は10%を下回っているはずだ。

 この世界の魔術の発動は、脳内で術式を構築し、そこに魔力を流すだけで発動させることができる。

 今回の付与の場合は、付与するための術式と、その付与される効果である術式を同時に構築しないといけない。今の時代はほとんどの人が一つの術式を組むことしかできない。上位の魔術士ならばこの限りではないが。

 本当は二人いたほうがいいのかもしれないけど、一人で両方の術式を構築できればいいだけの話だ。母さんは三個の術式を同時に組み上げる事ができる。そんな母さんに一時期魔術を習っていたのだ。二つの術式を組むことはさほど苦じゃないのだ。

 後は、媒体となるものがあればいい。さてと、父さんのガラクタ部屋から、何か良さげなものを探すとしますかね。





「俺の物置からどれかほしいって?」

「うん。いいかな?」


 早速、父さんのガラクタ漁りをするために、許可を取りにきた。なんかいいものないかなぁ。


「分かった。いいぞ。ただ気をつけろよ」

「わかってるよ」


 父さんから許可を得る。よっしゃ! なんで気を付けろって忠告されたかって? まぁ行けばわかるさ……。

 僕はスキップをしながらその部屋へと向かう。はぁ、楽しみだな。


 しばらくすると目的の部屋につく。さてと、なんかいいもの無いかな。そんな期待を持って扉を開く。

 父さんが忠告してくれた理由。それは、部屋の中がめちゃくちゃ汚く、例のガラクタ達は山積みになっているのだ。取り出すのが下手だったら、一個取り出しただけでも崩れてしまうのだ。だから父さんは忠告をしてくれたのだった。さて、探すとするか。


「『捜索(サーチ)』」


 僕は魔術を発動させる。この魔術は、数多くのモノから、自分の求めるものを探すことができる魔術だ。ランダム発動をすれば、どんなのがあるかや、どんなのがいるのかわかるのだ。ちなみにランダム発動は母さんが見つけた特殊な使い方だ。

 おや? ガラクタの山の中に、リングみたいなのがあるぞ。いいね。これにしよう。

 ここで魔術などで取ってはいけない。もし魔術なんかで取ろうものなら簡単に崩れてしまうのだ。こういう時は、上から順に安全に取っていくのが正解だ。

 そんなわけで、なんとか目的のものを手に入れる。うーん、だいぶ汚れてるな……。


「『清掃(クリーン)』」


 僕は再び魔術を唱える。この魔術は、対象をきれいにする魔術だ。よし、これでだいぶきれいになったな。さてと、部屋に帰って早速作るか。うん。ワクワクしてきた。

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