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モブだった僕が転生し世界を救う  作者: 異世界好き
二章
16/26

16話 ギルドの依頼

 下に降りてくるとエリスが、こちらに近寄ってきた。


「大丈夫だった?」

「うん、問題なし。ちょっと事情聴取を受けてきただけだ」

「じじょうちょうしゅ?」


 あれ、こっちの世界には事情聴取という言葉はないのか?てっきりあると思ってた。まあ、いっか。


「エリスもギルド登録する? 僕と別れたあとも何かと便利だし」


 あれ? 今更だけど、援軍を呼ぶためにカイトルの町に入った時どうやって入ったんだ? なにか身分を証明するものを持っているのかな。じゃあ別に必要ないか。


「ユート。そのことだけど、私も冒険者になって、あなたとパーティーを組みたいの。お願いできる?」


 そんなことを言ってきた。僕としては問題ないけど、僕の目標は魔王を倒すこと。それを伝えた上で、変わらないならいいだろう。


「エリス、僕の目的は魔王を倒すことだ。それでもいいならいいよ」

「本気で言ってるの!?」

「ああ、本気だ。それでも入りたい?」

「はあー。目標は高いんだろうなあ、とは思っていたけど、すごい高かったわね」

「ははは」

「それでも、私はあなたのパーティーに入るわ」

「分かった。これからもよろしく」


 こうして僕達は、パーティーを組むことにした。


「じゃあ、あっちの窓口で冒険者登録してきてくれ。僕は素材の買い取りをお願いしてくるよ」

「分かったわ」


 エリスはそう言うと、受付の方にかけて言った。


 さてと、僕はさっき倒したスライムの素材の買い取ってもらうとしようか。どれぐらいで売れるかなあ。はあ、楽しみ。


 僕は期待に胸を膨らませ買い取り受付へと向かった。



■■■■



「本日はどうされましたか?」


 僕は買い取り受付へと来た。


「素材の買い取りをお願いします」

「わかりました。ギルドカードをお持ちでしたら拝見させてください」

「どうぞ」


 僕は受付の人にギルドカードを渡す。


 ギルドカードの提示は任意だ。

 なぜなら、ここの買い取りはギルドの会員ではなくてもしてもらえる。ただ、ギルドカードを提示したほうが高く売れる。会員特典ってやつだ。

 だから、商人とかもギルドカードを持っていることがほとんどだ。そのためかギルドカードは、二種類ある。商人用と冒険者用だ。

 商人用のカードはギルドでの高価買取用。ギルドの依頼を受ける義務はかせられない。

 そしてもう一つの冒険者用は、特典がこっちの方が色々ある。例えば、ギルドが運営する宿での割引、ポーションなどの冒険に必要なものの割引等だ。

 ただ、一ヶ月に一度は依頼を受ける義務が課せられる。


 つまり、受ける依頼にもよるが、ハイリスク・ハイリターンだ。


「確認しました。こちらはお返しします」

「ありがとうございます」


 僕は返却してもらったカードをストレージリングに入れる。カードが消えたことに受付の人が驚いていたが、収納魔道具の力とわかると、納得したのか、もとの表情に戻った。


「売ってくださるものはどこにありますか?」

「ああ、ここに入ってます」


 僕はストレージリングを指さしながら見せる。


「それではこちらへどうぞ」


 どうやら場所を移動するらしい。


 僕は受付嬢に導かれるまま、解体場らしき場所に到着する。


 うわ、広! 学校にあった体育館以上に広いぞ……。まあこれぐらい広ければストレージリングに入っている魔物の死体は全部出せるだろう。


「こちらで出してください」

「はい」


 僕はストレージリングからゴブリンだったり、ゴブリンロードだったり、スライムだったりの死体を取り出す。


 おっと、解体してくれるであろう人達が驚愕している。


 そりゃそうだ。だってゴブリンはだけで数十匹は超えているし、Bランクの魔物だっているのだ。驚かないほうがおかしい。


「これらの解体と買い取りをお願いします」

「う、承りました。この数ですので、お時間をいたただいてもよろしいですか?」

「わかりました」

「終わり次第、お呼びします」


 ちょっと心配だったが、どうやらちゃんと買い取ってくれるようだ。良かった。


 そんなことを考えながら解体室から出ていった。




 ギルドのホールにつくとエリスが待っていた。


「どう? 買い取ってもらえた?」

「解体に時間がかかるってさ。まあ、気長に待つか」


 いやー何円になるかなあ。楽しみだ。


「だったら終わるまで、依頼を受けましょう」

「じゃあそうするか。おっと忘れてた。パーティー登録しとかないと」

「そうね」


 というわけで、受付嬢さんのところに行ってパーティー登録を終えた。

 その後、依頼ボードを覗いたのだが……。Eランク用の依頼がほとんどない。魔王復活の影響か、魔物が活発化している。そのせいで、討伐依頼がほとんどだ。

 討伐依頼は、命の危機と隣合わせなので、Dランクからしか受けられない。

 つまり、今の僕達では受けられない。


 いい依頼ないかなあ。


「これはどう?」


 エリスが一枚の依頼書を持ってきた。


 どれどれ。『西の森で薬草を10本取ってきてください』か。対象ランクもEランクだし問題はなさそうだ。


「いいと思うよ。これにしよう」


 こうして僕らの初めての依頼が決まった。



■■■■



 ”西の森”、このあたりでは珍しく、魔物が少ない。もし、居たとしてもDランクくらいだ。つまりは雑魚だ。

 しかも、この森ではたくさんの薬草が生えているという意味のわからない場所だ。噂によると、森の中心に温厚で巨大なドラゴンがいて、魔物が近寄らないだとか。……嘘かホントかわからん。


 そんな森に今僕達はいた。


「ほんとに魔物がいないわね」

「カイトルの町の近くにこんなきれいな森があったなんてな」


 僕らはその景色に見とれていた。


 緑鮮やかな森。どこからともなく、鳥のさえずりが聞こえてくる。風が吹くごとに木々が揺れ、光が降り注ぐ。今は春のためか、温かい。周りにはところどころに花がはえている。のどかすぎて困るぐらいだ。


「よし、薬草探し頑張るか!」

「そうね」


 ずっとこうしているわけにもいかないので、切り替えて声を発する。さてと、薬草を探そう。


「これじゃない?」

「どれどれ」


 探し始めて数分、早速それらしきものを発見した。ギルドから支給された絵と見比べる。


「うん。間違いない。これは薬草だ」


 僕は抜き取り、ストレージリングにしまう。やっぱりこの道具は、便利だ。


 本当にこのあたりは薬草が豊富なんだな。フォワードの町の付近で探したことがあったが、丸一日探したけど二十本前後とれれば良い方だった。それがこうもあっさりと……。


 それから探し続けること一時間。依頼された十本よりも多い二十本の薬草を見つけることができた。


 いやいや取れすぎだろ!? フォワードの町付近は一日探してもこの数を取れるかどうかなのに。


 嬉しいやら虚しいやら、不思議な気持ちになったのは内緒だ。


「予想以上に取れちゃったね。どうしよう」

「まあ、いいんじゃないか? 確か多く取った分は買い取ってくれるらしいし」

「それもそうね」


 そんな会話をしながら、ギルドへと帰っていった。



■■■■



 ギルドに帰ると、いつもよりも騒がしかった。どうしたんだろう?


「あっ、ユート様。解体と査定が終わりました。ギルドの応接室に来てください」

「わかりました」

「申し訳ありませんがエリスさんはここで待っていてください。


 僕は買い取りの対応をしてくれた受付嬢さんについて行った。


 応接間につくと、ギルドマスターのカイルさんがいた。


 なぜカイルさんまで? と思ったが、受付嬢さんの言葉で、考えを中断する。


「早速ですが、あのジャイアントスライムとゴブリンロードはあなたが倒したものですか?」

「はい、倒したのは僕です。ジャイアントスライムを倒した証明はこのギルドカードでできます」


 僕は、ギルドカードを見せる。


「はい、確認しました。ただ、ゴブリンロードの証明はできますか?」

「今持っているものではできませんが、フォワードの町に確認を取っていただければ証明が可能です」

「すみません、確認してまいります」


 そう言って、受付嬢さんはどこかへ行ってしまった。


 実は、ギルドには交信するための通信機がある。まあ、地球でいう、電話だな。というわけで、ギルド同士の情報伝達はおかしいくらい早い。

 その通信機だが古代の遺跡から発掘された古代の遺物(アーティファクト)らしい。僕も見たことはない。


 Eランクの冒険者がBランク、B+ランクの魔物を倒したなんていう事例はない。つまり、僕が異常なわけだ。



 そんなことを考えていると、受付嬢さんが戻ってきた。汗をかいているが、走ってきたのだろうか?


「確認が完了しました。そして、申し訳ありません。ユート様がフォワードの町の領主様とは知らずに……」


 えっ? なんでこの人知ってるの? 登録のときは隠していたはずなんだが? さっきの言い方的に、今知ったという感じだ。


「いえ、大丈夫ですよ。僕だって黙っていましたし……。それに、急にかしこまらないでくださいよ。居心地が悪いので。今まで通りに接してください」

「……わかりました」


 とりあえず動揺を悟られないように、努めて爽やかな声で対応する。


 誰が言ったんだ? 知っている人といえばブライトおじさん、登録のときに対応してくれた受付嬢さん。その他諸々だ。


 ……だめだ。全く絞り込めん。もういいや。


「では改めまして、素材買い取り額、討伐の報酬金を含めて、白金貨五枚です。そして、ユートさんとそのパーティーをギルドランクをCに昇格とさせていただきます」


 えっ? 白金貨五枚? 聞き間違いかな?


「すいません。もう一回お願いします」

「はい。白金貨五枚です。そして、ユートさん個人と、パーティーランクのCへの昇格です」


 ……聞き間違いじゃなかった。そんな大金が手に入るなんて……。


 白金貨一枚は金貨十枚分の価値がある。

 この世界の貨幣は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の五種類ある。日本円になおすと、鉄貨から、百円、千円、一万円、十万円、百万円だ。


 つまり、五百万円を手に入れたわけだ。やばいな。そんなに素材はレアなのだろうか?


「ユートさんがたおしたジャイアントスライム、ゴブリンロードはギルドの依頼で存在します。その報酬額は両方白金貨二枚です。それに素材買い取りの結果で白金貨一枚なので、白金貨五枚です」


 どうやらそういうことらしい。僕はそのお金が入った袋をもらった。


 こうして僕は、領主であることがバレる、というアクシデントがあったが、白金貨五枚という予想外の大金とCランクの称号を手に入れたのだった。



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