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コーラ日記  作者: コーラ
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2026年3月18日水曜日

 1日の出来事には全く関係ないが、夏休みの溜まった絵日記のようにこの日記を一気に書くのも疲れてきた。


 水曜日は地元で過ごす最後の日だった。ここ2週間程度、弟は学校の都合で休みであり、ずっと家にいたのだが、今日は学校があるため行ってしまった。最後の日にちょうど登校日なのだから、弟が家を出るのに合わせて「行ってこいよ」くらいは言うつもりだったが、寝ていたら弟はもう家を出ていた。現実とはうまくいかないものである。


 昼食を食べるために祖父母の家に向かった後、最終日なので何かやろうかと思っていたが、別に最終日だからと言って急にやることができるわけではないのでだらだらしていたら寝ていた。現実とはうまくいかないものである。


 起きてからテレビのニュースを見ていたが、世界情勢の緊迫を感じる内容であった。寮にはテレビがなく、友人間で政治的な話になることは少ないので、情報が入ってきにくいことを考えると、自然と情報が入ってきていた地元での生活は、家から出ることは少なかったものの寮での暮らしより社会的だったのかもしれないなどと感じた。ニュースを見ながら昼食も取った。私が好きな外食のテイクアウトであった。


 その後、祖母に駅まで送ってもらい、改札を抜けてホームで新幹線を待つことにした。すると、見慣れた先輩の姿があった。この先輩は、高校と大学が同じであり、ちょうど帰省している間に2回遊んだ先輩であった。前、地元で複数人で遊ぶための日程調整の際に、18日以降は不可と言っているのでもしや……とは思っていたのだが、時間まで同じ新幹線だとは驚きだった。この先輩とは、冬休みの帰省の行きでも同じ新幹線になっているので、思考が似ているのかもしれない。


 先輩とは、さすがに同じ号車ではないので、新幹線では私は1人だった。私は窓側の席だった。今までの帰省では、時間が遅く暗かったり、通路側の席だったりと、あまり外の景色を見ながら新幹線に乗れなかったので、景色を見ることができてテンションが上がった。今年はあまり雪が降らなかったため、あまり雪が見れなかったな、なんて思いながら窓の外を見ていたら、普通に県内の別の地域では全然雪が残っていたようで、最後に見ることができたのはよかった。


 新幹線から降りた後、都会の人混みに揉まれながら、先輩と何とか大学付近まで辿り着いた。後は大学付近を走るバスで寮まで行くだけといった状態になったのだが、サークルのミーティングにあわよくば寄ってから帰ることができないかと私は考えていた。しかし、時刻表を見てみると、私たちが乗ろうとしている便ではぎりぎりミーティングに間に合わなさそうであることが分かり、私はミーティングを諦めた。決議を取る内容があったようだが、恐らく可決されるであろう内容だったので、この日記を読んで私が誰か気付いたサークル関係者がいてもご容赦願いたい。


 諦めた私は、先輩の誘いもあり、夕食を外食で先輩と一緒に済ませることにした。どこにでもあるチェーン店に入ったのだが、地元の田舎では駅付近のビルに飲食店が入っているということがまずないので、大学の方に戻ってきたと感じさせるには十分であった。


 夕食の後、バス停でバスを待っているとき、やはりこっちは暖かい気候なのを感じた。もう春がすぐそこ、というかもう来ているような感じで、去年の春を思い出すようだった。去年の春、入学式は、受験の辛気臭いモードから一転して、華々しい大学生活を前面に押し出すようなパフォーマンスをされて、あまりの温度差についていけなくなっていたことなどを思い出した。完全にこんな大学に来て失敗したと思うような入学式であったが、そこからなんとか適応して今はそれなりにはやれていて、むしろこれから、元高校生を過剰なまでのパフォーマンスでサークルに勧誘する立場になった私は、その変化にむずがゆさを感じた。それ以外にも、春は人、物の両面で大きな出会いがあり、その度に苦しんだり悩んだりしながらも大きな出会いから影響を受けて私が変わり、今の私が作られていったな、なんてことを思った。また、むずがゆくなった。「春はかゆい、むずがゆい」なんてフレーズ、かっこよくない?なんて思って、語感だけは「さびしさは鳴る」に似てるかも、なんて思った。


 バスから寮までで眺める景色は、たまにバスに乗ったときに見ていたもので、確かに大学へと戻ってきたことをまた感じさせた。私とは別のバス停で先輩が降りるまで、先輩と話をしていた。先輩は、実家に帰省してみて、感情の起伏が小さくなり、感情が錆び付いているような感覚があったが、「寂しい」などの感覚がしっかりあることが嬉しかったなどと言っていた。春だな、と思った。


 家に帰ると、大きな絶望があった。比喩無しで5歩で端から端まで歩けるのに、横幅も2mくらいしかない部屋。実家とは大違いだった。ゴミ袋が捨てられずに複数溜まっている部屋。実家とは大違いだった。でも、荷物を取り出して服をハンガーにかけながら、部屋の物理的な状態以上に、部屋に生気が感じられないのが実家との一番の大きな違いではないか、などとボーっと考えた。


 これからまた、この部屋で過ごしていけば、この部屋もある程度は生気を取り戻すだろう。だがしかし、実家のあの感覚を思い出せてしまううちは、この部屋には満足することはないだろう。この寮で頑張ってもう半年は過ごそうと思っていたけどきついかな、いやでも異常に安くて節約になるしな、なんてこの先の未来を考えた。

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