プライベートジェットでの移動 その3
「起きたか…」
「ん? 何?」
「ちょっとうなされていたので、起こしたほうがいいのでは?となって起こした」
悠人が見たほうを見ると、佐々木さんがいた。
「…ごめんなさい。私、うなされていたのですか?」
「病院でもうなされていたらしいぞ。いつもうなされるのか?」と佐々木さんは悠人を見る。
「私が知る限りではうなされていません」
「ほう」
「ど、どうして、悠人が知っているのよ」
「彩音は研究室で寝落ちすることがあるからな」
「あっ。そ、そうね…」
うなされている間に、何か言ったかが問題だ。
「ねぇ、悠人。私、何か寝言を言っていた?」
「少しな」
「何を言っていたの?」
「『悠人、愛しているわ』と言っていたぞ」と佐々木さんが言う。
これは嘘ね。私は悠人を見る。
「はっきりとはわからない。聞き取れたのはNeuraLumeとお父さんと面倒という単語だけだ」
面倒なんて言ったかしら… でも、さっきの内容から考えるとあっているような気がする。
「そう…」
「何か思い当たるのか?」
「夢を見たとは思うけど、はっきりとは覚えていないの。でも、なんとなく言うかもと思える単語だったから、少し考えていただけよ」
無視されたからか、佐々木さんが少し不機嫌に「もう少しで空港に着くけど、乗り換えるわよ」と言う。
「乗り換える? どこにですか?」
「秘密よ」
少しでも情報を得るために、私と悠人は外を見る。
山らしい山が見えない。結構平らな土地ね。波が静かに見えるから内海? 湖?が見える。
「ねぇ、悠人、日本じゃないわよね?」
「あぁ。ハイウェイの車が右側通行だな。太陽の向きから考えて、日本との時差が10時間以内だと思う。今までは海の上を飛行していたことから考えると、アメリカの西海岸だな」
「なるほど… 西海岸のどこだろう?」
「SFOだろうな」
「SFO?」
「San Francisco International Airportだよ」
「SFはSan Franciscoだろうけど、最後のOは何?」
「さぁ。IATA空港コードで決まっているが、最後のOはなんだろうな」
「ま、いいわ。でどうしてSan Franciscoと思うの?」
悠人は指を指しながら、「太陽の位置から東側に海が見えるだろ? LAXの東には海はない」と説明する。
LAX? Los Angelesの略? 最後のXは何?と思っていると、佐々木さんが「すばらしいわ。悠人はサンフランシスコに来たことがないはずだけど、どうしてわかったの?」と口を挟んできた。
「GeoGuessrが好きで遊んでいるので、このくらいは当たり前です」
「GeoGuessr?」
「地図のストリートビューのパノラマで見える情報から場所を特定するゲームです。車や電柱、植物などの情報から場所を特定します」
へぇ。私の知らない悠人の一面ね。
「着いてからいろいろサインすることになると思うけど、場所などの情報は秘匿なので口外禁止よ」
警告音と共に、シートベルトサインが点灯した。
「着陸するようね…」
ちょっと旋回したがほとんど揺れもなく到着した。
「降りるわよ」と佐々木さんが言い、外に向かう。
私達もついて行く、飛行機の外に出ると、眩しい太陽が照りつける。
「眩し! サングラスが必要ね…」
ふと、前を見ると、側仕えが日傘で佐々木さんを太陽から守っている。
なんとまぁ。準備のよろしいことで…
どんどん先に進む佐々木さんに遅れないように続く。
ん? ジェット旅客機に向かっている?
「ねぇ、悠人。もしかして、あの飛行機に乗るのかな?」
「そのようだな」
予想通り、佐々木さんはジェット機に乗り込む。
パスポートの提示もしていないよね? 入国審査はいらないの?
「私達、入国審査していないよね? 問題ないのかな?」
「さぁな」




