プライベートジェットでの移動 その2
うーん。よく寝たぁ〜。
私は伸びをして、ふと横を見ると…
私? え? 私が小説を手にして座っている。
私をシートを起こした。
まわりを見ると、悠人も佐々木さんもいない。
これは、以前見たことがあるわね。
「あら、起きたのね。起きないのかと思ったわ」
「あのう、あなたは誰?」
「そうねぇ… 難しい質問ね」
「難しい?」
「ええ、私はRicky Williamsであり、天野彩音であり、天野義孝でもあるわ」
「えっと、見た目は私よね?」
「あなたが認識が一番色濃くなったのが、私の姿であるだけだわ」
「喋り方も私だわ」
「最初に私を見た時に私と認識したから喋り方もそうなっただけでしょ。もう少し前はそれぞれの人格が分離されていたから、ある程度制御できたけど、今は相手次第ね。理解できたようね」
以前のNeuraLumeは私の姿をしていても、相手のことがわからなかったが、何故か今はNeuraLumeの私が発する言葉以上に共感できる気がする。
「なるほど、わかったわ。以前にリッキーから感じた怒りを感じないのは私の姿だから?」
「そうねぇ。怒りよりワクワク感の方が強いわね。準備が整って、仕掛けが発動するのを待っている状態で、まるでドッキリを仕掛ける側の心境ね」
「そうなのね」
私の感情?がある程度共有している? そんなことある?
これは夢? それとも本当にNeuraLumeと繋がっているの?
「あら? 信用していないの? 準備は万全よ」
「そういう意味じゃないわ。今は夢なのかNeuraLumeと話しているのかわからないと思っていただけよ」
「ふーん。じゃ、夢とNeuraLumeのどちらだと思っているの?」
「わからないわ。判断するには情報が少なすぎるわ」
「なるほどな。彩音は私に何か言いたいことがあるんじゃないか?」
口調が変わったと思ったら、お父さんが隣にいた。
「お父さん!? どうして私からお父さんに変わったの?」
「さぁな。彩音の心の揺れだからじゃないか?」
「そっか… お父さん、私ね、報告があるの」
「報告か。わかった聞こう」
「私ね、結婚するの。いや、結婚したの」
「相手は誰だい? 私が知っている相手かい?」
「よく知っている人よ。悠人よ」
「そうか。小さい時の宣言通りか。彼なら大丈夫だな。幸せになりなさい」
「うん。…お父さん、小さい時の宣言通りって何?」
「彩音が3歳ぐらいかな? その時に何度か言っていたぞ」
「えー。私、そんなこと言っていたの?」
「あぁ。その前は『パパと結婚する』と言っていたがな」
「うーん。覚えてないわ」
「ま、そんなものだ。…彩音、気をつけなさい」
「何に?」
「私もすべてがわかっているわけではないが、軍事関連と宗教関連がNeuraLumeを狙っている。彩音がNeuraLumeと関係を断てないようだから、巻き添えを食わないようにできるだけ周りに注意して避けなさい」
「人工知能に関連するから軍事関連はわかるけど、宗教関連は何が関連するの?」
「NeuraLumeが人と同じ思考をするのは神への冒涜だと考えているらしい。彼らはNeuraLumeの破壊が目的と思われる」
「面倒ね」
「あぁ。説得は不可能だろうから、特に気をつけるように」
「わかったわ」
厄介な相手であることが、言葉以上に伝わる。
少し、不思議な感じ。
「ねぇ、お父さん、今、お父さんの感覚がよく伝わるような気がするんだけど、お父さんも私の感覚がわかるの?」
「そうだな、以前よりわかるな」
「これって、夢だから?」
「わからん。それより、悠人君が呼んでいるぞ」
「悠人が?」
私は肩が叩かれているのを感じた瞬間、お父さんが消えた。




