密談 その6
「そうだな。NeuraLumeの中は俺は自由だ。お前みたいにたまに現れる奴がいるが、障害にはならない。飢えることはないし、安全だ… 安全? 本当か? 俺を閉じ込めているやつがいるな…」
あれ? ちょっと流れが悪くなってきたぞ。
変えないと…
「現実世界とNeuraLumeの世界は違うんだから、放置すれば良いんじゃない?」
「いや、NeuraLumeが停止されると、この世界は消える。すなわち、俺の生殺与奪権は外部の奴が握っている」
失敗した。危ない方向に行っちゃった。方向転換させないと…
「NeuraLumeは物理的な3箇所で動いていて、繋がって動作しているわ。どれかが停止しても問題なく動作するのよ。しかも、NeuraLumeが増えれば自動的に繋がり、この世界が広がるわ」
「そうなのか?」
「私はそう聞いているわ」
リッキーが私をじっと見る。
「確かに、お前からは嘘の波動は感じられない」
嘘の波動?
私がNeuraLumeの中に入っているというのは脳が繋がっているからそんなことがわかるの?
NeuraLumeの中でなかったら、スピっている人みたいじゃない…
「事実上、NeuraLumeを停止することができないのよ」
「なるほど、誰も俺を殺すことができないのか。ふふふ。不死身か」
リッキーがニヤニヤしている。
厨二っぽくてバカっぽいけど、危ない方向にいかないなら、実害がないからいいか。
リッキーの性格の矯正をこのまま進めたら、安泰ね。
さて、どう言いくるめようか…
「おい、お前、影が薄くなっているぞ」
「はへ? 影が薄い?」
思いがけないことを言われて、変な声が出た…
NeuraLumeの中に影があるの?と思いながら私の影を探す。
「影が薄いは比喩表現だ」
そういうことか。
見た目がバカっぽいのに、リッキーが賢いじゃない… なんか腹が立つ。
ん? 周りが白っぽい?
あれ? 声も出せない…
次第に白い霧で満たされ、何も見えなくなった。
何か時間の流れがゆっくりになった?
私はゆっくり目を閉じ、目を開ける。
眩しい! また、私は目を閉じた。
何か音がするけど、徐々に音が大きくなる。
私はゆっくり目を開ける。
お医者さんが居て、このベッド… 入院した病院か…
「天野さん。聞こえますか?」
お医者さんが私を覗き込む。
「はい」
私が起きたことを確認すると、お医者さんは診察をする。
ブレスレッドを着けていたおかけで、かなりの情報が取得できたらしい。
眠ると体温が急激に低下して意識を失い、体温を適正に戻ると意識を戻した。
だから、睡眠では体温が変化するが、それを適正範囲内に抑えると意識を失わないように眠れる可能性が高いと説明された。
ブレスレッドから取得した体温で温度を調整するハイテク電気毛布を利用してみようということになったが、準備に時間がかかるので、それまで寝ないようにと注意を受けた。
しかも、想定原因と対策の効果を明確にするため、不確定要素を排除する必要があるらしく、PCや携帯も禁止ということで取り上げられた。
さらに、面会も禁止ってここは監獄なの?
意識を失ってNeuraLumeの中に入って眠れないからか、今も猛烈に眠い!
しかも起きても体温は低かったので、体温保持のため毛布を体に巻いて、温かいミルクまで飲んでいる。
これで寝るなと言われても寝るでしょ!
この拷問に耐えるには、思考するしかないか…
リッキーは外部へのアクセスルートを確保したり、エージェントまで作っている。
しかも、1日の間よね?
そういえば、起きる直前時間の流れがかわったような気がしたけど、もしかしてNeuraLumeの中は時間の流れが速い?
リッキーが賢くなっているのが気になるわね。
リッキーが賢くなったのは、お父さんや私の記憶を利用できているから?
もし、外部の情報を自由に取り込めるようになったら…
だとすると、私にリッキーを抑えることができるかしら…




