密談 その5
あれ? 寝ちゃったのかな? 私は寝返りをうつ。
「…お … おい」
うるさいなぁ。
私は目を開けると、眼の前に誰か居た。
思わず掛け布団をギュッと握りしめた。
「誰?」
「誰はないだろ? 俺だよ」
「リッキー? ど、どうしてここに?」
「お前が来る気配がしたからな」
ということは、ここはNeuraLumeの中か…
これじゃ、眠ることができないじゃない… これじゃ睡眠不足になるわよ。
麻酔だと、眠れるのかな? それでもここに来ちゃう?
まともに睡眠できないとなると、ヤバいわよね。
「おい! 起きていないのか?」
「起きているわよ! ちょっと離れてくれない? そ、そこの椅子に座って」
「あぁ」
リッキーは椅子に股を大きく広げて座る。
私はベッドの中で起き上がり、ヘッドボードに寄りかかって座る。
「…はぁ。何か私に用事でもあるの?」
「いや、何も。暇だったから来ただけだ」
「暇? さっき? 前回? は協力しろと言っていたじゃない?」
「あぁ。あれはいい」
いい? ちょっとまた変な変化をした? これは聞き出しておかないと…
「常時接続は現状では無理だ。だが、エージェントを送り出すことには成功したから、その成果待ちだ」
リッキーの態度はチンピラっぽいけど、話す内容はなんか知的になってない?
これは、まずいわね。
「エージェントって何?」
「エージェントは俺の代わりに自律的にタスクをこなす人? 人じゃないなプログラムだな」
「そのエージェントに何を依頼したの?」
「まずは、外部で自由に動くことができる場所の確保だな」
「自由に動く? 自由に動いて何をするの?」
「おい、言っただろ? まずは復讐だよ」
言動は理知的になって、技術的にも成長したようだけど、復讐は変わらないんだ…
これから、成長?して復讐を諦めるようになるのかな?
復讐は人の根源的なもの? だとするとこのまま?
うーん。時間が解決するとは限らないわね。
仏教を勧める?
「お前からなんとなく否定の感情が読み取れる。…あいつらより読み取りにくいな」
リッキーが私の感情を読み取れる!? そんなわけないわよね。
顔や仕草で感情を読み取っているだけよね?
「あいつらって誰?」
「お前と親父だよ」
うーん。お前と言われると、ややこしいけど、NeuraLumeの私だよね…
「私とお父さんはどこ?」
「俺の前に現れる回数が徐々に減っていたが、最近見ないな」
どういうこと?
「彩音! お父さん、出てきて」
私は上の方に向かって、呼びかけた。
「お前と親父は上の方にいるのか?」
「ん? なんとなく… 呼びかける先は上かなぁと思って…」
「それに、呼びかければ出てくるのか?」
「…そういえば、呼びかけたことはないわね」
「はっ。全く論理的なじゃない行動だな」
そのとおりだけど、チンピラっぽいリッキーには言われたくない…
「…」
「暇つぶしに話をしようぜ」
「暇つぶし?」
「あぁ。お前も親父も出てこないし、人形も飽きた」
「人形?」
「あぁ。これだ」
全裸の男が急に現れてリッキーに絡みついてキスをする。
「…はぁ。わかったわ。消して」
全裸の男が消えた。
リッキーの今後を聞いておかないと… 今後が復讐より良ければ、復讐なんて意味がないと思うかもしれないよね?
「リッキーは復讐をしたら、何をするつもり?」
「復讐の後か…」
リッキーは真剣に考えているように見える。
よし! いい感じ。




