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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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仙台探索 その3

「店の予約をしました。行きましょう」

 私達は駐車場に向かって歩く。

「ホヤはあるって言ってた?」


「あぁ」

「うふふ」


「彩音は食べ物には妥協がないな」

「そう? 普通だと思うけど…」

 森の小道では悠人が手を引いてくれてた。

 枝が2重に見えるというのを考慮してくれたのね。

 悠人の手をつなぐと、どうしても手に意識が向くから?

 NeuraLumeが見せる映像と現実との差分は気にならない。

 やはり、現実とのつながりがキーポイントかしら…


「彩音、大丈夫か?」

「ん? 大丈夫よ。少し考え事をしていただけ」

「そうか」


 セリ鍋のお店だけど、ホヤづくしで食べられるそうだ。

 ホヤが苦手かどうかわからないけど、ま、挑戦よね。


 最初はホヤの刺身から始まり、焼きホヤ、ホヤのフライ、ホヤの炊き込みご飯にホヤのお吸い物が出た。

「調理法によって食感や風味が大きく変化するのね。加熱で苦味が消えて甘味が増すわね」

「ホヤは初めてだが、美味しいわね」と佐々木さんが言う。


「佐々木さんも初めてだったのですか?」

 側仕えが佐々木さんに耳打ちする。


「あれは、義務で参加しただけで、味なんて覚えていない」

 佐々木さんは食べたことがあったのね。


「悠人、何飲んでいるの?」

「彩音は飲まない方がいいと思うが…」


「どうして?」

「現状の体の状態だと、睡眠に影響する酒は辞めた方がいい」


「大丈夫よ。気になる方が問題よ」

 私は悠人からコップを奪って飲んだ。

「辛口ね。でも、お米の旨みを感じるわね。ホヤとの相性もいいかも」

「はぁ。彩音はこんなに酒に強かったか?」


「そうだったみたいね。で、このお酒は何て名前なの?」

日高見(ひたかみ)という石巻市のお酒らしい」


「ふーん。日本酒もいいわね」

 佐々木さんは伯楽星(はくらくせい)を頼んだので、私も頼んだ。

「さっきとは違って爽やかな酸味ね。ホヤのフライはこっちの方がいいかも」


 私たちはホヤづくしを頂き、店を出た。

「佐々木さん達はうちに泊まります?」

「いや、仕事があるからホテルに泊まるよ」


「そうですか… わかりました」

 家まで送ってもらった。

 車がいなくなると、周りは暗い…


「真っ暗じゃない?」

「そうだな」

 私たちは携帯を振って、ライトを付けた。


「これでも暗いわね…」

「足元に気をつけろ。俺は前を照らすから、彩音は足元の少し前を照らしてくれ」


「わかったわ」

 私は悠人にしがみつくようにくっつき、歩いた。

 うーん。暗いし、虫が飛んでいるし、田舎暮らしは無理かも…


 テラスにはリッキーがいるかと思ったが、居なかった。

 居たり、居なかったり、どういう基準なんだろう…


「ねぇ、悠人」

「なんだ?」


「ここにも(とう)…」

 盗聴器と言いかけたら、悠人が私の唇を押さえた。

 外だけど、あるのね… それとも、この携帯にも入っているのかな?

 はぁ… ほんと面倒ね。

 じゃ、あれしかないわよね。


 私達は家に入り、電気を付けた。

「はぁ。電気って偉大よねぇ」

「そうだな」


「悠人、シャワーを浴びない?」

「あぁ」

 理解が早くて助かるわ。

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