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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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仙台探索 その2

「岡田さん達は出かけているのかな?」

「…そうじゃないか」


 私は周りを探っているふりをしながら、リッキーに話しかける。

『リッキー、何か知っている?』

『話しかけるなと言ったのはお前だぜ』


『ごめんね。知っていたら教えてよ』

『2時間ほど前に、黒スーツの男が5人ほど来て、連れ出した』


 私は一緒にガレージについてきている佐々木さんをチラッと、見た。

『それって、佐々木さんが関係する?』

『知らん』


『調べておいて』

『わかったよ』


「何も手がかりがないわね。家を探索しようか」

 私は家の扉を開けようとドアノブに手をかけた。

 手の感触はあるし、扉が少し開いたが、開いていない扉も見える。

 2重に扉が見えるので、気持ち悪い。

 私がドアノブから手を離した。


「静電気か?」

「違うわ」

 部屋の中には扉が多くあるんだから、入れないと困る。

 閉まっている扉はNeuraLumeが見せているんだから、すり抜けることは可能だとは思うけど…

 精神的な障壁を感じる。

 となると、NeuraLumeの扉の映像を現実に合わせるのが有効だろう。

 私は扉に意識を集中して、ドアノブを掴むと、2重の扉が一体化した。

 うん。これで大丈夫。

 私は家の中に入る。

 テーブルなどがところどころ2重に見える。


 えっと、これは、NeuraLumeの中との違う部分よね…

 2重に見える箇所を凝視すると、現実に合わされたのか1つに見えるように変わる。

 うーん。便利なのかもしれないけど、違いがあった箇所を覚えておかなきゃいけないわね…


 現実にあってNeuraLumeの中にもあるものは2重でわかるけど、現実にあってNeuraLumeの中にない、逆にNeuraLumeの中にあって現実にないものはわからないことになるわね。

 少なくとも、触れないものはNeuraLumeの中だけにあるものってことかな。

 私は部屋の中のものを触りながら部屋の中を歩く。


 リビングを一通り触ったかなと思ったら、「何かわかったか?」と悠人に聞かれた。

「え? うーん。特に… 悠人は小さい時の記憶があるんでしょ? 部屋の中で変わったことは何?」

「印象に残っている事象に関係する物は覚えているが、すべてを写真のように覚えているわけじゃない」


「悠人は昔のことをよく覚えているからカメラアイなのかと思ったけど、違うのね」

「あぁ。違う」


「じゃ、悠人が記憶に残っているのは、私が見つかった部屋?」

「あぁ。そうだな」


「そこを見てみようか」

 私たちは2階に上がる。

 うーん。隠し部屋を見たいけど、佐々木さんがいる前で開けるのは正解じゃない気がする…

 どうしようかなぁと考えている間に部屋に着いてしまった。


 扉を開けると、ほとんどの物が2重に見える…

 誰かが盛大にイジったのかな?


 ん? 隠し扉の本棚… 形が違うのか、気持ち悪いぐらいぶれて見える。

 私の記憶のものと違うからだよね。


「悠人、何か気づいたことはある?」

「いや、ない」


「私が見つかったときに私はどこにいたの?」

「俺が駆けつけた時は、おばさんが彩音を抱きしめてそこに居た」


「そっか… まったく覚えていないわ」

 私が他の部屋を確認しようと部屋を出ようとすると、「今日はこのあたりにして、探索は明日にした方がいいんじゃないか? 疲れた顔をしているぞ」と悠人が言う。


 佐々木さんはこの家には泊まらないから、相談ができるということかな?

「そうね。じゃ、セリ鍋のお店に行こうか」

「元気なのはいいが、セリの季節じゃないぞ」


「そっか… じゃ、どうしようか。仙台らしいものがいいわね」

「今の季節だと、ホヤかな」


「ホヤ? ってどんな食材だっけ?」

「これだ」と悠人は携帯の画面を見せてくれた。


「カイ?」

「いや、脊索動物だ」


「これが、動物? で、どうやって食べるの?」

「刺身とか、天ぷらとかだな」


「動物の刺身と言われると、ちょっと…」

「そっか。うまいのに残念だ」


「美味しいのかぁ。うーん。食べず嫌いは良くないわよね。今日はホヤね」

「セリ鍋のお店でホヤがあるか聞いてみる。佐々木さんもいかがですか?」


「あぁ。私たちも行く」

「何名ですか?」


「同行するのはこれだけだ」と指をさす。

「外の黒スーツの人は?」と私は聞く。


「店には入らん」

「じゃ、自動運転の車を呼んだ方がいいですね」


「奴らに送らせるから問題ない」

 黒スーツの人、かわいそう…

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