仙台へ その2
私たちがロビーから出ると、すぐに飛行機に乗ったと思えばすぐに出発…
ほっとしたら、すぐにサンフランシスコ国際空港に到着し、プライベートジェットに乗り換え…
アメリカに滞在していた間は周りにアメリカ人が多いだけで、アメリカに来た気がしなかったなぁ。
観光もできなかったし…
『気をつけろよ』
『え? 何?』
『気を抜きすぎだぞ』
『そ、そうね。で、何に気をつけるの?』
『Saraのことを調べているが、素性がよくわからん』
『エージェントで情報収集していると言っていたけど、あまり性能は良くないようね』
『俺のエージェントの性能は悪くないと思うぞ。多くの偽名を使っているようで、情報が結びつけるのに手間がかかるんだよ』
『なるほどね。リッキー、葵さんと晶について知っていることを教えてよ。私は帰国子女で帝都大学を出たと聞いていたけど、クレードルにいたのでしょ? 本当の経歴を知ってる?』
『帝都大学は出てないな。簡単に言うと、クレードルで教育を受けたスパイだな』
『スパイ? ロイド・フォー◯ャーみたいな?』
『ロイドなんぞ知らん』
『ま、そうね。 脳科学研究所には何を探りに来ていたの? お父さんの所はわかるけど、晶は私のところに居たよね? どうしてなんだろう… キャ』
急に、飛行機が揺れ始めた。
洒落にならない揺れの大きさだ。
「彩音、シートベルトを確認しろ。付けているな」
「うん。付けているわ。今まですごく快適だったけど、すごく揺れるわね…」
「気流の関係だろう」
「かなり揺れるわね… 気持ち悪い…」
「珍しいな、彩音は乗り物酔いに強いと思っていたが…」
「これが、乗り物酔いか〜。初めて知った…」
側仕えが「乗り物酔いの薬です。すぐには効果が現れませんが、お飲みください」と薬とペットボトルの水をくれる。
「ありがとうございます」
『うぇ。気持ち悪り〜』
『あー! 乗り物酔いはリッキーだったのね。その感覚を私が共有しているのか』
『うっ。うるさい…』
『NeuraLumeとの接続を切ればいいでしょ? そうすれば乗り物酔いはなくなるわよ』
『俺をたぶらかせて、NeuraLumeとの接続を切らせるつもりだろうが、できない。見える景色は揺れていないのに、揺れている感覚がするんだぜ、どうにかしてくれ…』
『薬が効くか、揺れが収まらないと無理ね… うーん。それにしても、本当に気持ち悪いわね…』
「まだ、気持ち悪いか?」
急に悠人に話しかけられ、リッキーとの接続が弱まったのか、気持ち悪さがかなりおさまった。
「少し、マシになったわ。気が紛れるので話をしましょう」
「話? 急に話と言われてもなぁ…」
「そうねぇ。悠人は小さい時に仙台の家に行ったのを覚えているのよね? 何か覚えていることある?」
「あぁ。そういえば、彩音がいなくなって、全員で捜し回ったなぁ」
「いなくなった?」
「家の中を隅々まで捜しても見つからないし、庭にもいない。だから、大人は周りの森を捜したんだぜ」
「…」
「大人が森から帰ってきて、警察に連絡するという話になって、おばさんが車の鍵を部屋に取りに行ったら、彩音が部屋のベッドで寝ていたそうだ。みんなで部屋に見に行ったら、彩音は『うるさいなぁ』と言って起きた。で、『どこにいた?』と聞いても『ここにずっとここにいた』と言うんだぜ。俺はあの部屋も確認はしたけど、彩音はいなかったぞ。どこに居たんだ?」
「うーん。家の中だと思う… 森には勝手に行っちゃダメって言われていたから…」
「確かに、彩音の服は汚れていなかったから森には行っていないだろうが…」
ん? もしかして、隠し部屋に私はいた!?
だとすると、隠し部屋は実在するのね。
でも、どうして私、隠し部屋への入り方を知っていたのかしら…
3歳児が書棚を動かせる?
それに、仕掛けを外せるかしら… 無理じゃない?
「どうした? 何か思い出したのか?」
悠人だけじゃなく、佐々木さんも私をじっと見ていることに気づいた。
「え? 思い出そうと考えていたけど、思い出せないわ。でも、よく悠人は覚えているわね」
悠人は私が何か思い出したことを気づいているわね…
「話したことで揺れが気にならなくなったのか、乗り物酔いの薬が効いてきたのかわからないけど、だいぶマシね。ちょっと寝るわ」
「あぁ」
側仕えが毛布を渡してくれた。
本当に気がきくわね。
私も側仕え? 嫁? が欲しい。




