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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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起こし方

「何もないぞ」

 隠し部屋なのに、家具も何もない。

「そうね。本当の仙台の家の隠し部屋も同じかしら…」


「お前の親父がこの部屋をイメージしなかったからじゃないか?」

「隠し部屋に入るための仕掛けはあるのに、中はイメージしなかったというのは変じゃない?」


「…そうだな」

 何かリッキーが別のことに注意が向いているような気がする。

 リッキーが考えていることを読み取るのはまだ難しいわね…

「どうしたの?」


「いや、なんでもない」

「なんでもないという感じじゃないわよ」

 何か隠しているわね。

 リッキーの目をしっかり見て、リッキーの考えを読む。


「…音? もしかして声?」

「気づいたか…」

 私はリッキーを無視して、声に集中する。

「…あ… るか? …返事を… 彩音」


「悠人? えっと。意識を向ければいいのよね。でも、前とちょっと違う? 悠人、聞こえる?」

「聞こえる。大丈夫か?」


「大丈夫だけど… もしかして、この声は私の体から発しているの? それなら、寝言みたいで嫌なんだけど…」

「いや、タブレットから聞こえている」


「ちょっと待って、そちらの映像を見るから… えっと。ディスプレイを表示してっと… あっ! 見えた。悠人、そっちはどう?」

「彩音、落ちつているのはいいが、異常だぞ」


「ま、考えただけで、タブレットから私の音声が流れるのは異常ね。悠人がタブレットから流れる声が私と認識できるということは、私の声ってことよね?」

「タブレットのスピーカーだからかもしれないが、いつもとは少し違うが、認識はできる」


「へぇ。声帯を使っていないのに私の声で出るということは私の脳が私の声を合成しているのかな? しかも、悠人が私の声と認識できるけど、少し違うのは自分の声と私が認識しているものと少しズレがあるからなのかな? 耳の構造? 頭蓋骨などの振動の影響?」

 ふと、タブレットを見ると悠人は少し呆れている。


「悠人、どうしたの?」

「いや、考えが漏れているのが、少しめずらしいと思っただけだ。NeuraLumeの中に入る影響か?」

 NeuraLumeの影響? リッキーに考えが読まれるから、黙っていても同じとおもったから、口にしていた。

 悠人が一人だとしても、盗聴されている可能性はあるよね?

 下手に喋るわけにはいかない…


「彩音? どうした? 聞いているか?」

「あっ。ごめんね。少し考えていたの」


「そうか… NeuraLumeから出れるか?」

「出る方法がわからないわ」


「寝言を言っていた状態から昏睡に変化したが、その時に何があった? それが、ヒントにならないか?」

「私は今、昏睡しているの?」


「あぁ。見えるか?」

 悠人はタブレットを私に向けて見せてくれた。

「うーん。客観的に寝ている私をみるのはちょっと不思議な気分…」


「NeuraLumeから出る方法を考えろ!」

「そうね… 意識の集中が関係しているような気がするの。さっきはリッキーに注意が向いたからNeuraLumeの中に入ったし、キスや、ハイテク毛布なんかで私の体の変化で意識が集中することでNeuraLumeから出られたと思うの」


「ハイテク毛布は既に使っている。どうすればいい?」

「だから、キスなんだろ?」


「リッキー、うるさい!」

「キスなんて挨拶だろ?」


「あなたと一緒にしないで!」

 え! 胸を触られた? というより、鷲掴み!? 胸を触られている感覚がする。

 ど、どういうこと? 悠人!?


「なっ、どうして、急に胸を…」

 眼の前には佐々木さんがいて、私の胸を鷲掴みにしている…

「天野教授、大きいな。手に収まらない」と佐々木さんが言いながら、指を動かす…


「あのう… 手を離していただけます?」

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