隠し部屋
お父さんがクレードルと関係したから殺されたのかな…
「俺のエージェントが集めた情報から考えるとそうなる」
「エージェントが集めた情報ということは最近知ったの?」
「あぁ」
「お父さんの記憶もNeuraLumeに入っているのだから、お父さんに聞いたらわかったのじゃない?」
「お前の親父のすべての記憶が入っているわけじゃない。あってもクレードルなどキーワードがないと記憶を想起させることは難しいから取得は難しい」
「そうね… でもさ、クレードルのことを知ったというだけで殺される?」
「クレードルの存在は公開されているからクレードルのことを知っても殺されることはない。だが、お前の親父はもっと重要なことを知ったからじゃないか?と考えている」
「お父さんに直接聞けばいいじゃない? お父さん、出てきて」
私は空に向かって呼びかけた。
「お前の親父は空にいるのか? 死んだら、地面じゃないか?」
「そんなことはどうでもいいわ。お父さん、出てきてよ」
「…出てこないな」
「どうして、出てきてくれないのかな?」
「俺も数度しか見ていないぐらいレア生物だが、最近は特に見ないな」
「そう… 何か手がかりがないかな…」
私は周りを見渡した。
「ねぇ、リッキー」
「なんだ?」
「リッキーは生きていた時に、この仙台の家に来たことはないよね?」
「ない」
「じゃ、この家はお父さんの記憶で作れらているのよね?」
「たぶんな」
「ということは…」
「なんだ?」
「ここにも隠し部屋があるんじゃない?」
「さぁな」
私はテラスから部屋に入った。
確か、お父さんとお母さんが使っていた部屋…
私は扉を開けた。壁には書棚がある。
この書棚の向こう側に隠し部屋があるはずだけど、どうやって開けるの?
書棚の本に細工があって、本を動かせば開く?
本を出したり、入れたりしたが細工はなさそう…
「本を引き出したら、書棚が扉みたいに開くと思っているのか?」
「なに? 単純と言いたいの?」
「まぁな」
「ムカつくわね」
「本は重いんだぜ、動かすには動力が必要だろ? この家はかなり古い。そんな昔にそんな動力の設備が最初からあったのか?」
「なさそうね…」
「それに、こんな重い書棚を動かすと床に傷なり跡がつくだろ?」
うーん。正論だわ…
「じゃ、押し込む扉なら、床に傷も跡もこちら側にないんじゃない?」
「そうだな。確かにこの書棚の枠が大きい。その可能性は高いな」
リッキーが書棚を調べ始める。
ん? ここは仮想なんだから、そんな物理法則なんて無視すればいいんじゃない?
私は目を閉じて、書棚を触った。
書棚の感触が消えたと思ったら、私は書棚をすり抜けた。
幽霊ってこんな感じなのかな…
「おい。どうやった?」と隣の部屋からぐぐもった声が聞こえてきた。
「すり抜ければいいのよ」
「できねぇよ!」
「意外と頭が硬いのね…」
私は床を見ると少し擦った跡が見えた。
たぶん書棚が重いので、床に接触したのね…
この傷の位置を考えると、扉のロックはリッキーの右側にあるはず。
「リッキー、右側の側面に何か仕掛けがない?」
「ちょっと待て」
ゴソゴソと音が聞こえる。
カチャという音が聞こえ、扉? 書棚がコラ側にせり出してきた。そして、ゆっくり回転して開く。
「すごい仕掛けね」
戦争時の接収を避けるための隠し部屋だったと頭に浮かんだ。
これは、私の考えじゃないわよね… お父さん?




