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私はfMRIを接続準備をし、悠人はNeuraLumeの監視の準備をする。
「ハイテク毛布だけど… 使ったらNeuraLumeの中に入れなくない?」
「ハイテク毛布はこちらで制御するから問題ないはずだ」
「はずね… ちょっと不安だわ」
「確かに不確定要素が多すぎるからな」
「『俺に任せておけ』とか『俺が守る』とか、私を安心させる言葉をかけるのじゃないの?」
「必ず守れるか守れないかわからない言葉で安心できるのか?」
「そうだけど… じゃ、お手!」と私が右手を出した。
「お手?」
「お手と言ったら、お手よ。手を出して」
私は悠人の手を掴んだ。
「俺は犬かよ。ん? このままNeuraLumeと接続するつもりか?」
「そうだけど?」
「俺の右手を掴まれたままだと、端末の操作ができない」
「左手ならいいよね。じゃ、おかわり」
「わかったよ」
私は悠人の左手を掴んだ。
「操作しにくいなぁ… fMRIを起動するぞ。いいか?」
私は目を閉じて「はい」と言った。
最初はサーバー音がうるさかったけど、徐々に気にならなくなってきた。
すると、周りが徐々に明るくなってきた。
右手だけ、感覚が鈍いと思っていると、景色がはっきりしてきた。
あっ。森だわ。仙台の家につながる小道もある。
仙台の家のベッドだと思ったけど…
寝ている状態でつながるのと、fMRIでつながる場合で出現位置が異なる?
そんなゲームみたいなルール?
じゃ、家に行くと次のイベントがあるのよね?
私は家に近づくと、テラスには大股でソファーの背もたれに腕を乗せた大の字のリッキーが見えた。
「よう。協力する気になったのか?」
あれ? 復讐したよね? リッキーが犯人じゃなかったの?
「あれか? あれで復讐が完了したと思っているのか? まだ序の口だ」
私の思っていることが伝わっている? まずいわね。
「そう嫌がるなよ。今日は特にわかる。fMRIでの接続のほうが意識を読み取りやすいようだな。そんなことより、意識の中にある佐々木って誰だ?」
私は佐々木さんの顔が頭に浮かんだ。
佐々木さんのことをリッキーには言っていないと思うけど…
「ん? Saraのことか?」
「サラ? リッキーは佐々木さんのことを知っているのね」
「あぁ。知っている。日本人の名前は発音しにくいから、音が似た英語名をニックネームにすることがあるが、逆をしているとはな」
「サラ、佐々木… 似ているといえば似ているけど… 全く似ていないと、呼びかけられた時に反応が難しいからかな?」
「そうかもな」
「リッキーは佐々木さん?サラさん?とどこで遭ったの?」
「どこって、ここだよ」
「ここ?」
「今のお前のようにfMRIを使ったり、マイクで呼びかけたりするんだぜ。鬱陶しい」
「サラさんも復讐の対象なの?」
「高圧的で鬱陶しいが、最近は関わりがないからどうでもいい」
「リッキーは復讐をしたのだから、他の人はもういいでしょ?」
「いや、俺を嵌めた(はめた) Gregだけは許さない」
「そのグレッグさんは何をしたの?」
「Gregは俺を騙してサインさせた」
リッキーの怒りが伝わって来る。
なぜか私も怒っている気がする。
「な、許せないだろ?」
リッキーの怒りが増幅したような気がした。
それにつられたように私の怒りも増幅する。
ハウリングしている? まずいわね。意識を変えないと…
「ちょっと落ち着きましょ。私、お茶が飲みたいわ」
「勝手に飲めばいい」
「勝手に? どうやって?」
「意識すればいいだけだが… 最初は言葉にしたほうがいいな」
「言葉ね。なるほどね」私は、悠人に聞こえるように念じながら、「じゃ、アッサムティがいいわ」と言う。
私の手にはティーカップが現れた。
本当に意識するだけでいいんだ… 便利ね。
私は一口、お茶を飲んだ。
ストレートだったら、ダージリンの方がいいわね…
お茶のせい? 体が暖かくなった。
そして、右手は熱いぐらいで感覚が完全になくなりカップを落とした。




