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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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アクセス準備

「彩音、fMRIでNeuraLumeに接続するつもりか?」

「接続するしかないでしょ?」


「そうかもしれんが…」

「朝食にしましょ」


「そうだな」

 私達はカフェで注文した。


「彩音、NeuraLumeが見ている画像はこちらでモニタリングできるが、状態が確実に把握できるわけじゃない」

「そうね。顔の表情もはっきりわからないから、合図してもダメね。ん? 合図をしても私を起こすことはできないでしょ? もしかして、キスをする気?」


「そうだな。今のところキス以外に起こすことができないからな」

「そ、そうかもしれないけど…」


「ダメか?」

「ダメじゃないけど…」


「それより、合図を決めないか?」

「合図? 表情じゃわからないでしょ?」


「キーワードを言えばいいだろ?」

「NeuraLumeの中では意識はあるけど、私の体は意識がないのよ。どうやって言うの?」


「NeuraLumeのスピーカーを通して彩音と話したことがあるだろ? スピーカーで言えばいいじゃないか?」

「どうやって?」


「どうって? 意識してスピーカーを利用したのじゃないのか?」

「意識なんてしていないわ。なぜ利用できたのかわからないもの」


「スピーカーを利用する直前の状況がヒントになるんじゃないか?」

「直前ねぇ… 霧が出てきて、白一色になったの。自分の手足の感覚がなくなってふわふわ浮いている状態になったの。でも、なぜか手が暖かくなって悠人にキスされて、会話ができるようになったわ」

「キス? ちょっと待て、キスはスピーカー越しの会話で彩音がキスをしろと言ったからキスをしたんだぞ。順番がおかしいぞ」


「その会話は忘れて! 夢みたいなものだと思っていたんだから… でも、スピーカー越しの会話の前にキスしたでしょ?」

「していない」


「え? でも、手と唇に暖かみを感じて、スピーカー越しに会話したのよ」

「首で脈をみたり、瞳孔を確認したりしたが、キスはしていない」


「じゃ、私が誤解しただけってこと?」

「そうじゃないか?」


「うーん。そうなのね… まぁいいわ。私の本体というか体の手や唇に暖かみを感じたことで、スピーカーが利用できたのかな?」

「ハイテク毛布も有効だったし、体温が関係しているのは確実みたいだな。彩音のNeuraLumeの話しを聞いていると、NeuraLumeから出るときは霧が出るようだが体温と関係があるのかもしれないな」


「そうかも…」

「その霧を制御できれば、自力で出ることができるんじゃないか?」


「そんなこと、でき ない わ よ…」

 NeuraLumeの中に入った私に遭うために、場所移動が必要だったときに、お父さんに強く思い込めと言われたのよねぇ。

 その時、強く思い込んだら、モヤ? 霧が出てきて場所移動ができたわよね。

 もしかしたら、強く思い込めばNeuraLumeから出れたり、スピーカーを利用したりできる?

 検証が必要ね…


「何か思いついたのか?」

「NeuraLumeの中は脳が作り出した世界だから、強く思い込めば何でもできる世界じゃないかなと思っただけよ」


「スピーカーを利用したいと強く思い込むということか?」

「そうね。検証するしかないわね。でも、もし利用できたとしても、NeuraLumeが繋がっているなら私の研究室のスピーカーから声が出るかも…」


「リアルタイムで繋がっていないとしたら、ローカルのスピーカーから声が出るんじゃないか?」

「そうかもしれない… はぁ。わからないことだらけね。悠人、私をサポートしてね」


「サポートはするが、無茶はするなよ。体温が低下して10分しても起きなかったら、ハイテク毛布を起動して彩音を起こす」

「わかったわ。で、スピーカーが利用できたとして、起こしてほしい時は『アッサム』と言うから起こして」


「アッサム? 紅茶の?」

「そう。私が言いそうだけど、あまり言わないから」


「確かに、聞いたことがないな」


 fMRIを利用するため、一度部屋に戻りチェストにあったハイテク毛布を持って、サーバルームに入った。

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