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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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相談 その1

 前にも同じようなことがあったなぁ… もしかして… と思いながらトイレを出ると、悠人が待っていた。


「お待たせ。私が出る前にトイレから出てきた人はいた?」

「見なかったよ。それが、どうした?」


「ぶつかっちゃったから、謝ろうと思ったらいなかったから…」

「そうか… 行くぞ」

 悠人は納得していない顔をしている。

 トイレでぶつかるなんてそうないよね… ここで詳しく話せないんだから、仕方がないけど…


 悠人と私はカフェについた。

「悠人、私お金を持っていないわ」

「俺もない。携帯にPCと同じチャットボットが入っていたので問い合わせてみるか」


「へぇ。そんなのがあるんだ」

「音声で問い合わせもできるみたいだぞ。質問してみろ」


「佐々木さんと連絡がとりたいので連絡先を教えて」

『佐々木という人物は当端末の名簿に登録されていません』


「お金のことを聞くんじゃなかったのか?」

「だって、佐々木さんが私達をここにつれてきたんだから、融通してくれるんじゃないかな?と思って… 今はカフェだけど、1ヶ月もここに閉じ込められるならそれなりの食費がかかるでしょ?」


「ま、それもそうか…」

『当施設のカフェ、食費はすべて無料です』

 携帯のチャットボットが話しに割り込んできた。


「え? そうなの? じゃ、洗濯はどうすればいいの?」

『クリーニングサービスがあります。バスルームのクリーニングボックスに入れておけば、部屋の清掃時に回収します』


「じゃ、別の服もあるの?」

『今着用されているものになります』


「そっかぁ… まっ、仕方ないか。カフェで注文するかな」

『注文は携帯から行います。ご注文をお伺いします』


「私はダージリン、悠人は?」

「ブラックコーヒー。ダージリンなんてあるのか?」


『かしこまりました。右前方のカウンターで受け取る事ができます』

「紅茶ぐらいあるでしょ?」


「ここはアメリカだぞ? 紅茶を飲むのは少数派だ。たぶんお湯とティーバッグが出てくるよ」

「えー。そうなの? そういえば、さっきの自販機のラインナップも酷かったわよね。だとすると、この1ヶ月が辛いわね… 速攻で片付けないと!」


「早く片付けることは賛成だな。研究所には彩音は入院したから休暇で俺は付き添っていると言っているが… このままじゃ無断欠勤だぞ」

「じゃ、連絡しなきゃね… 電話かメールが必要だけど、できるのかなぁ」


『申し訳ありませんが、外部への電話、メールはできません。研究所には長期休暇と伝えておりますので、ご心配なく』

「ん? 佐々木さんが通知したのかな?」

「そうかもな」

 それにしても、このチャットボットは自然と会話に混ざるわね…


『ダージリンと、ブラックコーヒーの準備ができました。右前方のカウンターでお受け取りください』

 悠人が、トレーを受け取ったので、近くのテーブルに座る。


 ティーバッグじゃなく、ちゃんと入れられた紅茶のようだ。

 ティーポットから紅茶をカップに注ぐ。

 そして、一口飲む。

「はぁ。なかなか美味しいわ。食事もちゃんとしていればいいけど… で、コーヒーはどう?」

「飲める」


「まずいの?」

「いや、コーヒーは好きでも嫌いでもないから味の違いがわからん」


「そう…」

 チャットボットにも音声を聞かれている可能性があるわね… これじゃ、悠人と相談できないじゃない…


「どうした? 疲れたのか?」

「まぁね」


「じゃ、部屋を確認する必要もあるし、部屋に行くか?」

「そうね… チャットボット、部屋まで案内して」

『わかりました』


 私達はチャットボットの指示に従い、部屋へ向かった。

 部屋はシングルベッドが2つある部屋とバスルームだけのシンプルなものだった。


 悠人は部屋の設備を見るフリをしながら、注意深く色々みている。

 カメラなどの位置を調べているのかな?

 少なくともチャットボットに聞かれるよね。


 流石に、バスルームにはカメラはないと信じたいけど…

 悠人に相談したいけど… 聞かれないようにするには、音楽なんかをかけて耳のそばで話すしかないけど、自然なシチュエーションでないとダメよね? どうしよう… あれしかないか…


「ねぇ。悠人…」

「どうした?」

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