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第41話 恋は虹色

【ホタル視点】

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ある日の夜遅く。

 ベッドの中で眠れずにいた。


『私、マスターのことが好きになったの。葵井《あおい》さん、応援してくれる?』


 五乗《ごじょう》先生のあ(・)の(・)告(・)白(・)から1週間ほどが経過していた。

 眠ろうとベッドに入る時などに、ふと思い出してしまう。


 五乗先生は、いつ○○に告《こく》るのかなあ?

 五乗先生はきれいだし、○○の態度を見ていると、もしかしたら・・・。


 そう思うと、胸が締め付けられるように苦しくなったり、心が晴れずモヤモヤしていた。


『諦めてよ!』

 

 私、何であんなことを言ったのだろう。


 それよりも、五乗先生は、私にああ言ったのに、一向に○○に告白するような行動は見られない。


 何故だろう?


「う~ん」

 私は、ガバっとベッドから身を起す。


「うじうじするのは、私らしくないわ」

 私は、ベッドから出ると、グルグルと部屋の中を歩く。


 気を紛らわせるわけではないが、別の重要なことを考えることだ。


 そして、歩きながら暫く考え込む。

「そうだ。あれよ!」

 そして、私は、机の引き出しから1冊のノートを取り出した。

「そう、これよ」

 該当のページを開くと指さした。

「今こそ、これをやる時よ」

「善は急げ。明日、○○に言おう」


 私は、気分が晴れて、ベッドに戻った。




【○○視点に戻る】

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ある日の夜。夕飯を済ませた頃。 


「え!」


 ホタルが、もじもじしながら口にした言葉に僕は驚いた。


『お(・)願(・)い(・)があるのだけど・・・』



 ホタルが、僕にお願いなんて初めてだ。


「いいよ。何何?」


 お願いの中身がヤバいかも、とか考えもしなかった。

 これは、是非聞いてあげたい。

 僕は、身を乗り出して聞く。



「これ何だけれど・・・」


 そう言うと、ホタルは、お父さんの○○さん(※)がカフェでやりたいことを連ねた『夢の(ドリーム)ノート』を取り出した。

「ここ」

 そして、あるページを開き、指をさす。

 そこには、『虹色《レインボー》サンド』と書かれていた。


※偶然ですが、主人公とホタルの父は、同じ名前です。


 ○○さんのノートのイメージ図は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫のサンドイッチが青いお皿の上に虹の形に配置されている。とてもファンタジックな絵だった。

 コンセプトとして、『虹を見つけた時の喜びが味わえるサンドイッチ。そしてすぐに消えてしまう虹のように食べ終えた時に感動の余韻を味わう』とあった。


「私、これを作ってお店のメニューにしたいの」

「これを・・・」

 僕は、躊躇した。


 正直、これは難しいと思っていたからだ。


 だから、僕の方でもいくつか『夢のノート』からレシピ作りに挑戦していたが、これは、全く頭に無かった。

 

「私、このパパの絵を見た時、このメニューにとても惹かれたの。私が最初に作るのは、絶対これって。パパの夢を、私は先ずはこれで実現したいの」



 ホタルの表情を見れば、その真剣さが伝わる。

 彼女がここまで本気なら、僕がストップをかける理由はない。


 

「いいよ、挑戦《やろう》か?」

「本当!」


「ホタルがそこまで考えてくれているなら、是非実現しないとね」

「ヤッター!」


 そう言うとホタルは、咄嗟に僕に抱きついて来た。


「おいおい」


 スキンシップなのだろうが、年甲斐もなく僕は、照れてしまう。


「だって、すごく嬉しいんだもん!」

 ホタルの眼は輝いていた。

 


 しかし、問題は、このメニューをどう現実化するかだ。



「じゃあ、暫く二人で考えてみようか?」

 僕は、ホタルを押し離して言う。

「うん。私、アイデアがあるの。この色のサンドイッチは、この食材を使うと良いかなと思って」

「ええ?それはかなり大胆だね・・」

「でも、ここでこういうのを入れると、お口直しというか、味変できるでしょ?」

「試してみないとこれは、わからないかな・・・」

「うん、そうだね」

 ホタルが笑顔で頷いた。




 それから、僕とホタルは、お店が終わって夕食を済ませた後、毎日深夜までアイデア出しとレシピ作りに奔走した。二人とも寝不足を感じていたが、新しい物を作り出すというワクワク感から不思議と疲れは感じなかった。



 そんな日が1週間ほど続いた。




 そして、日曜日がやって来た。


 いつもの食材等の買い物を済ませた後、僕達はカフェで試作品作りを開始した。



  試作メニュー第一号が出来た。


 コンセプトとして、それぞれの虹の構成色のようにサンドイッチを配置して見た目を楽しむだけでなく、サンドイッチをコース料理を食べているかのように次はどんな味だろうと飽きが来ず、ワクワクした気持ちで食べて頂けるように意識した。

 また、○○さんがイメージしたように食べ終えた時に感動の余韻を味わってもらいたかった。

 


 ホタルは、試作のサンドイッチをまじまじと眺めている。

 既に評価者の眼だ。


「うん、カラフルな食材が並んでいて、見た目は虹に見えるね・・」

 頷いてはいるが、険しい表情だ。


 あれ?

 少し反応薄くないかな?

 

 いつものホタルと違い、批評家《ジャッジ》のようになっている。



「食べてみます。いただきます」

 ホタルは、それぞれのサンドイッチを一口ずつ食べていく。しっかり味わい食べている。

「うん、どれも美味しいけど・・」

「美味しいけれど?」

「想像の範囲というか、もっとこうワクワクするような驚きが欲しいかも・・。味も、見た目もね。パパのこのイラストからは、それを感じるから。感動の余韻も足りないと思うの」

「ワクワクと感動か足りないか・・・」



 難しいことを言う、とは思いつつも、僕は泉天《いずみ》さんを想った。

 恐らく泉天さんもホタルと同じような感想を抱いた筈だ。



「そうだね」

「やはり、私が前に言ったのはダメ?」

「あれね・・」

「青をもっとインパクトあるものにするには、いいと思うの」

「青って一番食材選びが難しいんだよ」

「だったら、余計ぶっ飛んでもいいんじゃない?」

「うふふふ、ハハハハハ」 

 僕は、真剣な表情でそういうホタルを見て吹き出した。


「何よ、急に笑い出して」

「いや、君が本当に泉天《いずみ》さんのようだと思って・・」

「ママのよう?」

「泉天さんも発想が飛んでいたからね。お客様第一に考えて。探求心も含めて驚かされたよ」

「ママが・・・」

「ともかく、ホタルの考えは正しいと思う。もう一度、その線でやってみよう」

「うん」



そして、さらに一週間ほどレシピ作りと試作に取り組んだ。



 また、日曜日。

 朝の食材の買い物の後、カフェで更なる試作サンドイッチを作り、ホタルと試食する。


「どうかな?」

 僕は、ドギマギしながらホタルを見る。


「うん、見た目、前よりもインパクトがあって素敵!」

「青だけでなく他の色もビビットになるよう見直したからね。試食してみて。特に青を」

「それぞれの印象もかなり変わってるね」

「そうだね。食材も全く変えたものも多いし。これなら食べた時の驚きや新鮮さもプラスされると思うけれど」


「どれどれ・・」

 ホタルは、順番に試食していく。

 

 特に何も喋らずに、真剣な表情だ。

 時々頷く。

「どれも前よりも、調和《バランス》も良くて美味しい」


 そして、ホタルが青色のサンドイッチを手に取り、パクリと食べた。

「ああ・・」

 ホタルの目が大きく開く。

「うん、これよ、これ!とても爽やかになる!」

「ホタルのアイデア通りの味と触感なら良かったよ。締めの前のお口直しにもなると思うよ」

「○○、凄い!」



 そう言うと、僕に抱きついて来た。

「褒めてくれてありがとう。嬉しいよ」

 僕は、ホタルの顔をまともに見れない。


「チューしてあげようか?」

「ば、馬鹿なことを言わない」

 僕は、顔を背ける。

 ホタルは、構わず僕の頬に軽くチュっとした。

「えへへへ」



「・・・・・・・・・」


 屈託なく笑うホタルを見て思う。


 これは、どんな意味合いがあるんだ?


 単なる親(・)子(・)のようなスキンシップだろうか?


 僕は、そう考えることにした。



 時々、ホタルが泉天さんのように見える時がある。

 それが、嬉しくもあり、切なくもなるのだ。




「えーと、ホタルさんも納得したようだし、とにかく完成したということで」

「うん。これで良いと思うよ」

「しかし、お客様に提供する前に他の人の反応も見たいね。関さんとかにも試食してもらおうかな」

「ねえ、それなら、ピクニックに行かない?青空の下で食べるのが最高だと思うの」

「確かに。それなら、良いところがあるよ。関さんたちの予定も聞いて、行ってみようか?」

「うん、行きたい」

「ピクニック、ピクニック~♪。純華《すみか》、ピクニックだよ」

 ホタルが純華を抱き上げて言う。

「ピクニック!ピクニック!」

 純華も嬉しそうで、良かった。




 また、次の日曜日がやって来た。

 僕とホタル、純華、それにお招きした関さんと五乗《ごじょう》先生と山の大きな公園にやってきた。


 ホタルは、白いワンピースに麦わら帽子を被っている。少し日焼けして若く健康的な美とあどけなさが共存し、可愛くもあり美しくもあり、とても似合っていた。笑顔を向けられると、年甲斐もなく少し照れてしまう。

 五乗先生は、やはり薄青いワンピースにつばの広い白のハットを被っていた。大人の女性らしい美しさが眩しい。恥ずかしながら大きな胸元に眼が行かないように注意した。

 

 ここは、県立の牧場併設の公園だ。馬、牛、山羊などがいる。大きな自由に使える広場があり、そこからの眺望が素晴らしい。山麓の緑が美しく映え、遠くの田んぼや畑が下の方に見え、盆地の大きな都市《まち》が遠望できる。標高が高いだけに、空気もカラっとしていて、気持ち良い。気温もそれほど暑くはならないものの、それでも日向はジリジリくる。

 僕は、屋根のある木造テーブル席のあるエリアで、ランチの準備だ。ここは、バーベキューもできるので、火も使える。ここで野菜スープを作るつもりだ。


「食事の準備をするから、皆さんは寛《くつろ》いでいてください」

「〇〇君、手伝うぜ」

 関さんが名乗り出てくれる。

「ありがとうございます。ホタルは、純華の相手をして」

「わかった。純華、あっちにお馬さんがいるよ。行こう」

「お馬、お馬!」

 純華とホタルは、走って行く。


「あの、私もお手伝いします」

 五乗先生が言う。

「でも関さんがいますので、先生は、寛いでいてください」

「おう、そうだぜ。先生も純華の様子見に行ってよ」

「わかりました。では、そうさせていただきます」




【ホタル視点】 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お馬ー!」

 牧場には、何頭か馬がいた。柵越しに馬を見る。

「あ、純華、あそこに白い馬がいるよ」


 その大きな白馬が近づいて来た。そして、近くで止まる。

「うわー、きれい」

 真っ白い馬体に見とれる。顔にかかるグレーの鬣がカッコいい。

「きれい、きれい」

 

 そこに、女性の厩務員の人が近づいて来た。


「どうですか?中に入って馬に餌《おやつ》をあげる体験をしませんか?」

「え。いいんですか?」

「どうぞどうぞ」

 牧場に入り、厩舎の近くで馬にニンジン、リンゴなどの細くカットしたものを用意してあったものをあげる。

 先ほどの白馬も寄って来た。


「ねえさま、すみか、白いお馬さんにあげたい」

「はいはい」

 私は、純華を抱っこして、純華は白馬にニンジンをあげる。

 ペロリと食べ、もっと寄こせと催促される。

「ハハハハ」

 純華は、とても楽しそう。



「ありがとうございました」

 馬への餌やり体験が終わり、牧場から出ると、純華が言い出した。

「お馬さんの絵を描きたい!」

「はいはい」

 私は、持ってきたスケッチブックとクレヨンを純華に渡した。


 純華は、柵の近くの草むらに座り、離れた位置にいる白馬を中心に絵を描き始めた。


 私は、それをベンチに腰掛けて見守ることにした。

 

 青い空の下、涼しい風も吹いて来る。緑と青の良い風景が広がる。純華でなくても絵を描きたくなる。

 しかし、私は、純華と違って絵心がないのだ。



「葵井さん」

「五乗先生」

 右手方向からやって来た先生を見上げる。

「隣、座ってもいい?」

「どうぞ」

 私は、少し端による。


「良い天気ね」

「ええ」

「景色も最高」

「ですね」

「純華ちゃんは、絵に夢中で楽しそう」

「そうですね・・・」

「・・・・・」

 会話が途切れる。


 しかし、突然五乗先生がぶっこんできた。


「葵井さん、あ(・)な(・)た(・)も(・)マスターのことを好きなんでしょ?」

「な、な、な、何を言って・・」

 私は、予想もしなかった発言に慌てて立ち上がる。

「マスターを私に取られないかやきもきしているんじゃない?」

「そ、そ、そ、そ、そんなことない」

 どもりが止まらなく、落ち着こうとベンチに腰かけた。

「せ、先生は、○○に告るんでしょ?」

 先日の帰りの会話を思い出し、少し胸が苦しくなる。

「え、ええ・・・」

 しかし、小声でそう言うと五乗先生は俯き、少し震えている。


 急にどうしたのだろう?


「あの・・・。先生?」

 

「実は・・・、私、告白なんてしたことないから、じ、自信がなくて。どうしたらいいかわからない・・・・・の・・・」

 先生が手で顔を覆う。

「は?え、ええーーーーーーッ!」

 先生の意外な告白を聞きビックリする。


 どう見ても。五乗先生はきれいだし、もてそうだし、恋愛経験もたくさんありそうだ。


 自分から告白する必要は無かったからということかな?


「先生、モテそうだし、告白する必要ないですものね」

「いえ、そ、そうじゃなくて、私、男性と付き合ったこと無いのよ」

「え、ええーーーーーーッ!」

 意外なことを二度聞き、大きな声をあげてしまう。

「そ、そんなに驚く?」

「す、すいません。でも先生きれいだから、モテそうだし」

 現に生徒から告られているのを見ているから。

「私ね、実は男性が苦手なの・・。大学までは女子校だった。確かに何度か男性に言い寄られそうな時もあったわ。でも、怖くなってしまって、避けていたのよ」


 うん?納得がいかないぞ。


「じゃあ、何で、○○は平気なの?」

「そうね。言われて見ると何でかしら?」

 五乗先生が、指を立てて、あれという表情になる。



 しかし、少しして考えがまとまったのか言い出した。

「恐らく、マスターの優しさに慰められ、惹かれたのね。マスターは、とても優しいでしょ?」

 先生は、うっとりした表情になる。

 本当に恋をしているようだ。


 なんて都合がいいのだろう?


「マスターって、誰にでも優しいじゃない?私、ああいう男性は初めて。この人はどこまで心が広いのだろうと思った。想像はできないけれど、この人の傍にいて、彼を支えられると素敵かな、と思ったりして・・・」

 先生は、顔を上げ、青い空を見上げた。


「ママだ」

「え?」


「〇○の心の中には、まだママがいるの。○○にとって、隣はママだけ・・・」

 私は、俯いた。

「そうか・・・・・」

 五乗先生も沈む。



「ねえさま!白いお馬さん描けた!見て、見て!」

 その時、沈んだ空気を晴らすように純華がやって来て、私たちの前にスケッチブックを広げた。

 それは、青い空、白い雲、緑の草原の牧場に真っ白い優しい表情の馬が大きく描かれていた。

 何故か、その馬の顔からママを感じた。


「ホントだ。良く描けたねえ。これは、パパにも見せてあげないと」

「うん」

「とてもきれいな優しいお馬さんですね」

 五乗先生も頷く。



 そこに関がやって来た。

「何だ、こんな所にいたのか。○○君が、ランチの準備が出来たってよ」

「うん、行く行く」

 結局、恋愛話はここで終わってしまった。



【○○視点に戻る】

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 みんなが戻って来た。


 丁度、調理した新作のサンドイッチを食卓に並び終えたところだった。

 サンドイッチは、ほとんどの食材をカットして持ち込み、その場でパンと合わせ、調理した。ここで作った野菜スープも提供する。


「これは、とても綺麗で豪勢ですね!」

 五乗先生が、感嘆の声を上げる。

「本当だ。こりゃ、食べるのがもったいない位だぜ」

「うんうん」

 

 二人の好反応に僕とホタルは目配せし、喜んだ。


 今回披露したのは、『ワクワク虹色《レインボウ》サンド』というネーミングだ。青空のような色の皿の上に7個のサンドイッチを配置し、虹のような見た目を楽しむ要素と食べて見て意外な味を楽しめる心が弾むがコンセプトのサンドイッチだ。

 7個のサンドイッチは虹のように鮮やかな見た目だ。配置も虹のように湾曲して皿に盛りつけた。彩豊かで見た目と色々な味が楽しめるサンドイッチ。どれから食べようか迷ってしまう。色は主に野菜や果物などの色で着色料はほとんど使わないようにした。

 パン生地は極力薄くして、間の食材の味そのままを食べているような感覚になる。


「どうぞお召し上がりになって感想をお聞かせください」

「どの順番で食べたら良いですか?」

「お勧めは、左端からですね。コース料理を食べるイメージにしていますので」

「では、左端の赤いサンドイッチからいただきます」


「ソースの甘酸っぱい味付けといちごと生ハムの組み合わせがマッチしていてとても美味しいです」

「いちごは、果肉が赤いあまおうを使いました。手頃な大きさにカットして、赤パプリカと一緒に生ハムで挟み、甘酸っぱいソースで味付けしています」

「どれどれ、俺はその横の橙をいただくか。サーモンにマンゴの甘いジューシーな味が意外とマッチしていて美味いわ」

「マンゴーに、サーモンをカルパッチョ風にして合わせました。すりおろしたニンジンのドレッシングで味付けしています」

「次は黄色をいただきます。ウワー、卵の中の牛肉が、舌でとろけました。美味しいです」

「それは、玉子焼きを薄くしてすき焼き風の薄い牛肉を包み、カレー風味で味付けしています。メインとしてボリュームも意識しました」

「俺は、次緑色をもらおう。うわー。これはヒンヤリしたパスタか。キウイの酸味とも合っている」

「バジルの冷製パスタに、アボカド、キウイをトッピングし、バジルソースで味付けしています。ボリュームもありますが、爽やかな一品だと思います」

「では、私は気になっていた青いのを頂きますね。うわ~。プチプチがシュワシュワします!青色の餡も爽やかな感じですね。口の中がサッパリしました」

「ソーダ味の爽やかな甘いお菓子風サンドです。ミントシロップとブルースピルリナパウダーで青く色付けした白あんの周囲にソーダ味の顆粒とソーダ味の粒粒のグミを周囲にまぶしました。メインからの味変として意外性を楽しんでもらおうと考えました。これはホタルのアイデアなんですよ」

「葵井さん、これ美味しいわ」

「良かった!喜んでもらえて」

「俺は、次、紫色もらおう。うわ、巨峰の果汁がジュワっと出て来た。ジャムの酸味と巨峰の甘味がマッチしているな」

「紫芋に巨峰をふんだんに挟み、これ用に作ったブルーベリージャムで少し甘く味付けしました。プチ贅沢を味わえる一品です」



「ご馳走さまでした」

「どれも美味しかったですね」

「良かったです。また食べたいと思いますか?」

「ああ、これなら値段が少しくらい高くても食べたいわ」

「はい、調理の手間があるので、限定か予約制じゃないと難しいです」

「特別な日に食べるのもいいと思うぜ」

「そうですね。パーティーなどのテイクアウトとしてもいいと思います」

「テイクアウトですか・・。なるほど、考えてみます」



 食事が終わると、ホタルと純華は、草原を駆けまわっていた。トンボが飛んでおり、追いかけたりしている。そして、純華は、持ってきたスケッチブックを持って行ってトンボの絵を描き始めた。


 僕達大人は、食事の後片付けをして、アールグレイの紅茶で食後のティータイムを楽しんだ。




 暫らくすると、天候が急変し、雨がザーッと降り出した。

 子供たちが、急いで屋根のある母屋へ避難して来る。

「ああー、濡れちゃったよ」

「はい、タオル。風邪引かないようにね」

 僕は、タオルをホタルに渡す。

「ありがとう。純華、おいで。拭いてあげる」

「じゃあ、葵井さんを拭いてあげますね」

 そう言って、五乗先生がホタルの髪の毛を拭く。

「あ、ありがとうございます」 



 山の天気は変わりやすい。


 暫らくすると、雨が止んで行き、空が明るくなりだした。

 晴れ間も見えて来た。



 すると・・・・。


「あ、虹だ!」

 ホタルが叫ぶ。

「まあ、きれいね」

 きれいな大きな虹がくっきりと雲間に浮かび上がった。


「あ、お願いしないと!純華もしよう!」

「おねがい、おねがい!」

 ホタルと純華は目を閉じて、手を合わせた。

 五乗先生も何やら祈っている。



 僕と関さんは、顔を見合わせて笑ってしまう。


 3人のお願いが終わると、関さんが尋ねる。

「何をお願いしたんだ?」

「そんなの言うわけないでしょ。神様だけに届けるんだから。効果が無くなっちゃうじゃん。ねえ、五乗先生」

 ホタルが言う。

「そ、そうですね」


「?」


 気のせいか、僕を見る2人の顔が少し赤い気がするのだが。

 何か恥ずかしいお願いでもしたのだろうか?



 虹は、すぐに消えていき、空には、晴れ間が広がって行った。


(※登場する『虹色サンド』は、空想で描いています。実現性は考慮していませんので。ご容赦ください)



                                 (つづく)


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