敵は『冒険者ギルド中央連盟』
「……本当に、すまなかった」
事務所の応接ソファで、Sランク冒険者バルザックが深く頭を下げていた。
『解雇通告』によって長年の薬物汚染と不当契約から解放された彼は、本来の筋目正しい、豪快だが心優しい男の顔を取り戻していた。
「顔を上げてください、バルザックさん。あなたも被害者の一人です」
俺は温かいお茶(事務所の福利厚生備品)を彼に差し出した。
バルザックはお茶を一口すすると、噛み締めるようにため息をついた。
「体に残っていた妙な倦怠感が消えて、頭が驚くほど冴えている……。アラタ殿、あんたは命の恩人だ。連盟の奴らは、俺たちSランク冒険者を『高級な使い捨て駒』としか思っていねえ。怪我をしても休ませず、危険な強化薬を打って死ぬまで働かせるんだ」
「ひどすぎます……! 最強と言われるSランクの冒険者の方までそんな目に遭っていたなんて……!」
メルティが怒りで拳を握りしめる。
「ああ。連盟のトップ――総裁ヴァルターのやり方は完全に狂ってる。奴は連盟傘下の全ギルドから年間70%もの搾取を行い、逆らう者は私兵や薬物漬けの冒険者を使って抹殺してきたんだ」
「70%の中間マージン……。もはやピンハネというレベルすら超えていますね」
俺は手元のメモ帳に、連盟の組織図と違法行為のリストを書き込んでいく。
「バルザックさん。僕たちはこれから、中央連盟の本部へ直接『労働監査』に入り、その巨大なブラック構造を解体しようと思っています。協力していただけますか?」
「もちろんだ!」
バルザックが巨大な拳をポンと叩いた。
「俺の剣と知名度、そして連盟内部の構造に関する知識はすべて提供する。あんな腐った組織、一日も早く潰さなきゃならねえ!」
「心強いです。……よし!」
俺は事務所のメンバー――メルティ、ロイ、リナ、そして新しく加わったバルザックを見回した。
「敵は世界最大の組織『冒険者ギルド中央連盟』。ですが、やることはいつもと同じです。法令と正論、そして僕たちの福利厚生チートで、彼らの不正を白日の下に晒します!」
「「「おーっ!!」」」
こうして、王都を揺るがす『中央連盟・解体プロジェクト』の準備が整った。
事務所ランクが『Rank 3』へ上がったことで開放された広域スキルや、バルザックの内部情報、そして王家のバックアップを網羅した『不当労働・不正流用に関する監査報告書』を携え、俺たちは連盟本部へと足を進めるのだった――!
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