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浄化の光!スキル『解雇通告』

「ハハハ! くだらんハッタリを! 我ら中央連盟の支配を崩せるものか!」


 高笑いするギルバート監査官の背後から、ズシン、ズシンと重い足音が響いた。

 事務所の入口を塞ぐように現れたのは、身の丈を超える大剣を背負った男――中央連盟が誇るSランク冒険者『赤き獅子』のバルザックだった。


「おいおいギルバート、このヒョロい兄ちゃんが例の『ホワイト勇者』か? 剣の一本も握れそうにねえじゃねえか」


 バルザックは下品に笑いながら、凄まじい威圧感(殺気)を放つ。

『契約鑑定眼』を発動させると、彼のステータスと共に異常な雇用契約が浮かび上がった。


『名前:バルザック(Sランク冒険者)/コンディション:ドーピングによる精神汚染』

『雇用契約:中央連盟専属・違法薬物支給による強制従属契約』

『危険度:測定不能/契約不履行時の違約金:命』 


(ひどいな……Sランクの英雄ですら、違法な薬物と不当な違約金で縛り付けられているのか)


「バルザックよ、遠慮はいらん! その事務所ごと揉み潰せ!」


 ギルバートが命令を下す。


「へっ、仕事だからな。悪く思うなよ、勇者様よぉ!」


 バルザックが空気を引き裂く勢いで大剣を振り抜き、俺の首元めがけて一閃を放った!

 Sランクの全力斬撃――音速を超えた衝撃波が事務所内を激震させる!


「アラタさんっ!?」


 ロイとリナが悲鳴を上げる。


 ドガァァァァンッ!!!!

 だが――激しい破壊音と共に砕け散ったのは、アラタの首ではなく、バルザックの身の丈を超える大剣の刀身だった。


「な……なにぃぃぃっ!?? 俺のSランク魔剣が……粉砕した……!?」


 俺の周りには、ランクアップによってさらに強固となった『全自動安全衛生バリア』が展開されている。

 どんな超絶技巧の物理攻撃であろうと、「労災(ダメージ)」として一切受け付けない無敵の領域だ。


「……バルザックさん。あなた、連盟から支給された危険な強化薬物で精神を蝕まれていますね。それに、怪我をした際の手当てもなく、過酷な指名依頼を打診され続けている」


「な、なんだと……!? なぜそれを……!」


「そんなブラックな契約に縛られて、誰のために剣を振るっているんですか?」 


 俺は一歩前へ踏み出し、脳内のスキルウィンドウを解放した。


「コンプライアンス違反、および違法薬物による不当な人身拘束契約を確認。――スキル発動!『解雇通告(不当契約の完全破棄)』!」


 シュヴァアアアアッ!!


 俺の手から解き放たれた純白の光の書状が、バルザックの胸元へと吸い込まれていく。


『――【解雇通告】の適用を確認!』

『対象(バルザック)と中央連盟との間に結ばれた不当雇用契約、違約金条項、および薬物による支配効果を【すべて強制破棄】します!』


「ぐ、おぉぉぉぉっ……!?」


 バルザックの身体から、ドロリとした黒い霧(薬物の呪縛)が噴き出し、霧散していった。

 それと同時に、彼の眼から狂気が消え、濁っていた瞳に正気が戻っていく。


「あ……俺は……俺は今まで、何を……!?」


 膝をつくバルザック。長年彼を縛り付けていたブラック契約が、概念ごと消滅したのだ。 


「な、なんだ今の魔法はぁぁぁっ!?? 連盟の絶対的な契約の呪いが、一瞬で消えただと!?」


 ギルバートが顔を真っ青にして悲鳴を上げる。


「これが『解雇通告』です」


 俺は冷然とギルバートを見つめた。


「不当な契約で人を縛り、使い捨てるブラックな存在を、この世界から『解雇(追放)』する力です。……さあギルバートさん、次はあなたと中央連盟の番ですよ」


「ひ……ひぃぃぃぃっ!? 覚えてろぉぉぉっ!」


 自慢のSランク冒険者が寝返り(契約解除され)、恐怖に狂ったギルバートは脱兎のごとく逃げ出していったのだった。


毎日18時30分更新!

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