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中央からの襲来(わかりやすい圧力)

 グラン鉱山のホワイト化から数日。

 王都の『ホワイト冒険サポート事務所』は、連日大賑わいを見せていた。


「アラタ所長! 相談者が多すぎて『メンタルケアサロン』が満員です!」


「リナさん、有給休暇のローテーション表を貼り出しておいて! ロイ君は出張相談の準備ね!」


 聖女メルティがテキパキと指示を飛ばし、正社員となったロイとリナも誇りを持って働いている。

事務所のランクが『Rank 3』に上がったことで、敷地は広がり、最新のフィットネス&リラクゼーション設備まで完備された。まさに理想の職場環境だ。

 だが――そんな平和な空気を切り裂くように、ドカドカと不躾な靴音が響いた。


「ここが噂の『甘やかし事務所』か。反吐が出るな」


 事務所のドアを蹴破る勢いで入ってきたのは、高級感漂う黒いローブを纏った男と、重装備の護衛兵たちだった。

 男の胸には、金色の百合の紋章――『世界冒険者ギルド中央連盟』の監査官バッジが輝いている。


『Target:ギルド連盟一級監査官 ギルバート』

『契約鑑定眼:搾取主義・中間マージン率70%・パワハラ気質』


「……どちら様でしょうか? 相談なら受付で番号札を取っていただきたいのですが」


 俺はデスクから顔を上げ、静かに告げた。 


「フン、私は中央連盟より遣わされたギルバートだ」


 ギルバートは鼻で笑い、事務所の綺麗な内装を見下した。


「王国の威光を笠に着て、冒険者どもに『有給』だの『適正賃金』だのと甘い汁を吸わせているそうだな。貴様のような素人が業界の相場(ブラック構造)を荒らしてくれたおかげで、中央連盟の利益が激減しているのだよ」


「相場、ですか」


 俺は冷ややかな視線を向けた。


「若い冒険者を使い捨てにし、命の補償もなしに過酷な現場へ放り込む。それがあなた方の言う『相場』なら、存在自体が社会の害悪です」


「黙れ下衆が!」


 ギルバートが激昂し、羊皮紙の査定書を叩きつけた。


「中央連盟の総意として告げる! 貴様の事務所は本日をもって『無許可営業』とみなし、王都からの強制退去処分とする! 抵抗するなら、連盟傘下のSランク冒険者パーティーを投入して力ずくで叩き潰すまで!」


 事務所内に緊張が走る。ロイとリナが剣と杖に手をかけた。

 だが、俺はふっと息を吐き、新しく手に入れたスキルツール画面(脳内UI)を開いた。


『――新スキル【解雇通告(ブラック存在の完全追放魔法)】:発動準備完了』

『効果:公序良俗に反する組織・不当な契約・有害な人物に対し、法的および物理的な「強制契約解除(追放)」を行使する』


(ほう……『解雇通告』か。相手がブラックな組織であればあるほど、威力が跳ね上がる特効スキルだな)


「ギルバートさん」


 俺はゆっくりと立ち上がり、冷徹な社会人の笑みを浮かべた。


「力づく、結構です。ですがその前に……あなた方の『中央連盟』そのものを、労働監査の対象とさせていただきます」


「な、何だと……!?」


「覚悟しておいてください。あなた方の抱える巨大なブラック構造、まるごと『解雇』してみせますから」

毎日18時30分更新!

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