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課題

様々な魔法が飛び交った中、ウィルトはそう締めた。ウィルトが教室を見渡す。次に何を発するのか、生徒は固唾を飲んで待っていた。


「結論から述べよう。今の君たちは弱い。全員ひとり残らず、だ」


ざわめきが教室を支配するが、ウィルトは気にせず続けた。


「だがそれは当たり前のことだ。この段階で私やエドガーに傷をつけられる様な逸材がいるならば恐らくこの学校は作られていない。恥じることはない」


「そして何より、早い段階で課題を見つけられた、というのは大きい。例えばそうだね......セリス」


「はっ、はいっ!」


いきなり指名されたセリスは肩をビクリと震わせ、声を裏返しながら返事をする。しかし顔を赤らめながらもウィルトをしっかりと見つめていた。


「君の魔法のコントロールはピカイチだ。私の服や顔の横を正確に射抜いていたね」


「あ、ありがとうございます!」


「だが」


ウィルトが言葉を区切る。


「魔法使いの戦い方としてはまだ甘い。まだ自分の魔法を信用しきれていないね」


「えっ......?」


セリスの表情が強ばる。その指摘はセリス自身も気づいていなかったことなのかもしれない。


「君の魔法は優秀だ。がその一方で君は君自身が攻撃役ではなくサポート役に回るべきだと思い込んでいる」


「そ......れは......」


反論をしようとして続かない。図星だったからだ。


しかしそこでウィルトの表情が柔らかくなる。


「だがそれもまた個性だ。攻撃に適した魔法使いもいれば補助に優れた魔法使いもいる。今後の課題はそのどっちつかずの状況を解消すること。いいね?」


「は、はいっ.....!」


セリスは自分の図星を突かれて狼狽えたものの、力強く頷いた。


「他にも土魔法の防御に集中しすぎた者も入れば、スピードを意識しすぎな者もいる。その中でも面白かった者が2名。アルディオ」


「......え?お、俺......?」


教室がざわつく。アルディオ自身も目を丸くして驚きを隠せない。


「実力だけで言えば君はこのクラスの中位だろう」


事実、だからこその容赦のない評価だった。ウィルトは続ける。


「戦いながら考えていた者は何人かいた。だが、その中で最も結果に近づいたのが君だ」


アルディオの瞳が開く。


「私が攻撃をどう捌いているか。何を嫌がるか。何をすれば崩せるか」


ウィルトが笑う。


「服を濡らせという発想は悪くなかった」


しかし、


「だが君にも欠点がある」


「……なんでしょう」


「君は他人を見すぎている」


アルディオが固まる。自分の心の中まで全て見透かされた気分に苛まれる。


「周囲を見る才能は素晴らしい。だが君は自分のことを後回しにし過ぎる」


ウィルトの視線が真っ直ぐ刺さる。


「そのままでは、いつか自分を壊す」


「......はい」


ウィルトの視線を真っ向から浴びながらもアルディオは小さく頷いた。


「そして最後に、レイブン」


教室が静まり返る。


「君は強い。恐らくこのクラス最強だろう」


レイブンは何も言わない。だがその視線は鋭かった。


「しかし、今のままの君では私には100年経っても勝てない」


教室がざわつく。


「......なぜですか」


「君は誰も信用していない」


「それの何が悪いのですか」


即答だった。レイブンにとってそれは当たり前のことだった。しかしウィルトは笑う。


「何も悪くない」


レイブンの眉が動く。


「だがな」


そして静かに告げる。


「君が今日放ったファイアアロー威力だけなら、あの場の誰よりも上だった」


レイブンが僅かに口角を上げる。だが


「それでも君は私に届かなかった」


「……」


「なぜなら、一人だったからだ」


「......!」


レイブンの目が初めて大きく開かれる。


「無理に仲間を信じろ、とは言わない。だが君の敗因は一人だったこと。その本当の意味を見つけられるまで、君は私には勝てない」

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