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魔法クラス

エドガーによって打ちのめされた翌日、アルディオ・オーウェンは魔法クラスへと足を運んでいた。


今日は生徒たちとの顔合わせと学校説明の日。アルディオは少し緊張しながら、ドアを開けた。


一歩教室へと足を踏み入れると、既に八割方人数は揃っているようだった。


アルディオは前の黒板に貼ってあった座席表を確認し、自分の名前が書かれていた席へと着く。


「ねぇねぇ!昨日の風魔法の人だよね!?」


アルディオが席に着くやいなや、隣の女子生徒が話しかてくる。視線を向ければ水色の長いストレートヘアを持った少女がキラキラとした目で見ていた。


「あ、あぁ、まぁ、そうだけど」


「だよね!あの技凄かったよね!威力ってより.....タイミングが!あ!私セリスね!セリス・アルシェ!」


そうセリスは自己紹介し、にっこりと微笑む。その拍子に髪が揺れ、甘い香りが漂う。


「あぁ、俺はアルディオ。よろしくセリス」


「うん!よろしくねアルディオ!にしても、風魔法ってちょっと憧れるなぁ。私水属性だからさ、攻撃力なら風魔法の方が上でしょ?いいなぁって。」


セリスは口を尖らせながらブツブツと愚痴を吐いている。コンプレックス、とまではいかないが攻撃に憧れを抱いているようだった。


「水属性には水属性の良さがあるだろ。汎用性は水の方が高い」


「そうなんだけどねぇ。だから私は攻撃!ってよりサポートの方が得意なんだよねぇ」


そんな話をしていると、教室の扉が開かれる。入ってきたのは70代くらいのメガネをかけ、黒いローブを纏った老人だった。


「席に着け。最初のホームルームを始めるぞ」


低く落ち着いていながらもよく通った声を教室に響かせる。生徒たちは姿勢を正し、前を向いた。隣のセリスも、気づけば引き締まった顔つきになっていた。


「行動が早くて助かる。まずは入学おめでとう。私はこの魔法クラスを担当することになったウィルト・フォーマッジだ。よろしく頼む」


その自己紹介に、生徒たちはザワついた。


「ウィルトって......あの......?」


隣のセリスが呟く。


「自己紹介で勘づいた者も多いだろう。私ウィルト、戦士クラスの担当ロバート、僧侶クラスの担当フランツはここの学園長、エドガーの現役時代のパーティメンバーだ」


疑念が確信に変わり、生徒たちのざわめきはさらに大きくなる。が、ウィルトはただ一度手を叩きその場を収めた。


「静粛に。だが、騒ぐのも無理はない。この学園に入学し、更に我々3人も招集されたということはエドガーもそれだけ本気なのだろう。君たちには期待している」


ウィルトによる予想外の施し。アルディオを初め、生徒たちはくすぐったい感覚に襲われる。


「ホームルームは以上だ。才能だけで人は強くなれない。ここに居る時間を無駄にせず皆、励むように」


ウィルトはそうホームルームを締めると、教室から出ていった。


ウィルトがその場から居なくなると、教室は再び話し声に満ち溢れた。


「アルディオ、凄かったね......。いるだけで空気が引き締まるって言うか......」


「そう、だな。でも、あれだけの人に教えを受けられるんだな」


そんな話をしていると、後方窓際に座っていた1人の生徒が立ち上がり、教室の外へと向かっていった。


「あ、あの人ね、レイブン・ミラー。魔法クラス首席入学なんだって」


セリスが補足を加えてくれた。確かに歩き方、杖の持ち方、まとっているオーラ、何を見ても強者な立ち振る舞いだ。


「あの人凄いらしいよ。本来魔法って一人一属性じゃない?でもレイブンは火、水、風の三属性を使える」


「三属性......!?土属性以外全部使えるのか.....」


「そうそう、ヤバいよね。でもなんか近づくなオーラがすごいって言うか......あんまり話しかけにくいよね」


セリスが舌をべーっと出し、首を横に振る。


アルディオは教室を去っていくレイブン・ミラーの背中をただ見つめていた。


(三属性......あいつには、どんな世界が見えてるんだ......?)

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