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異世界でも家族でワイワイ!~異世界転移したら特技を生かして全員でレストラン経営!?~ (タイトル変更)  作者: ぶっくん


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第3話 異世界で家族の特技が花開く

数日後、彼らはついに迅が発見したトッポン村にたどり着いた。


村人たちは最初、見慣れない服装の彼らを警戒したが、旬太が持ってきた「森の恵みピザ」を一口食べた長老の目が、突然輝いた。


石窯の代わりに茜の弱火魔法で焼かれたそのピザは、異世界では考えられないふわふわの生地と、森のキノコとハーブの絶妙なハーモニーを持っていた。


「こ、これは……今まで食べたどんなパンよりも美味しい!」

長老は涙を浮かべて叫び、他の村人たちも試食に殺到した。


これをきっかけに、田中家の異世界適応術が本格的に始動する。


旬太は、魔物の肉を驚くほど美味しく調理した。

毒々しい紫色をした「パールルーン獣」の肉も、彼の手にかかれば柔らかな赤身ステーキに変身する。


「この肉、しっかりと繊維を断つことがポイントです。異世界の肉は筋が強いですね」


ある日、調理中の肉の匂いに誘われて、温和なスライムが家の周りに集まってきた。

半透明のゼリー状の生き物が、好奇心旺盛にキッチンの窓からのぞき込む。


「お父さん、スライムがまた来ているよ」と茜が報告すると、旬太は包丁を置き、じっと観察を始めた。


「このスライム、ゼラチン質が豊富だ。デザートに使えないかな……」

家族は苦笑いを隠せなかった。


母の凛花はため息をつき、「あなた、それは生き物ですよ。食材じゃありません」と注意したが、旬太の目は既に実験モードに入っていた。


「いやいや、触手の部分だけなら再生するって聞いたよ。持続可能な食材かもしれない」


結局、家族の反対でスライム調理計画は中止となったが、そのスライムたちはその後も旬太の料理の残りを求めて定期的に訪れるようになり、一種のペットのような存在になった。


凛花は、近隣の村との交渉を一手に引き受け、旬太の料理を「異世界グルメ」として売り込み、家族の生活基盤を築く。


トッポン村の長老との取引では、「月に一度の料理講習」と引き換えに、しっかりした小屋と調理器具を獲得。


契約書を羊皮紙にしたためる際、「異世界でも印紙税はかかるのかしら」と本気で心配するのが秘書魂だった。


彼女の交渉によって、田中家は住居と仕事場を確保するだけでなく、近隣の三つの村から定期的な食材供給も約束された。

旬太の料理は「森の恵みシリーズ」としてブランド化され、少しずつ評判を広げていった。


迅は、配達用のカゴを背負い、父の料理を村から村へと運ぶ「異世界宅配便」を開業。


方向音痴のゴブリンでさえ、彼のナビゲーションなら迷わないと評判になる。


「次の村まで、この小道をまっすぐ行って、三叉路を右だ。配達時間は30分後を予定している」


地図もないのに、迅は異世界の地形を驚くべき正確さで把握していた。

元配達員としての経験が、異世界でも活かされたのだ。


ある日、子犬のような生き物を発見した。ふわふわの毛並みに、三つの尾を持ったその生物は、道端で震えていた。


「おや、迷子か?」迅は優しく声をかけ、残っていたピザの一切れを与えた。


生物は嬉しそうに食べ終えると、迅についてきた。

仕方なく、近くの村で飼い主を探すことにした。


ところが、その村の村長が一目見て驚いた。


「おお、これは貴族の愛玩動物、テールスリーファンではないか!先週から行方不明で、懸賞金がかかっていたのだ!」


迅はわけもわからないまま大金を手にし、さらに感謝の印として、貴族から紹介状まで貰った。


その資金で、迅は「疾走の魔法付き荷車」を購入。

これで一度に3倍の料理を運べるようになり、配達範囲も大きく広がった。 


茜は、偶然手にした魔法の巻物をきっかけに魔法の才能に目覚めた。しかし彼女の興味は戦闘魔法ではなく、日常生活を豊かにする実用的な魔法の開発に向かった。


大学で化学を学んでいた知識が、魔法と融合し始めた。


「お母さん、これで食器洗いが楽になるよ!『泡立ちの呪文』完成しました!」


キッチンで実験を繰り返す茜は、魔法のエネルギーをコントロールする術を少しずつ習得していった。「清潔魔法」「保温魔法」「食材冷凍魔法」——どれも家族の生活を劇的に改善した。


しかしある日、実験中に小さなミスが起きた。


「えっと、このルーンを少し調整すれば、泡の持続時間が延びるはず……」


呪文を唱えた瞬間、キッチン中に泡が溢れ出した。泡はあっという間に流し台を越え、床を伝い、天井まで達しようとした。


「ぎゃあ!茜、泡だらけ!」迅が叫ぶ。


旬太は泡の中から手を振りながら、「これは……洗浄力がすごいな。油汚れが完全に落ちている」と観察を続けた。


家中が泡の海と化したこのハプニングは、逆に大きな発見をもたらした。茜の生み出した泡は驚くほどの洗浊力があり、しかも肌に優しいのだ。


凛花は商機を見逃さなかった。


「茜ちゃん、これ、石鹸として売れるんじゃない?」


そうして生まれた「泡の魔法石鹸」は、トッポン村を中心に飛ぶように売れた。

泡を出す魔法がかかった固形石鹸は、水と擦るだけで豊かな泡が立ち、汚れを落とすだけでなく、肌を柔らかく保つ効果まであった。


ある夜、家族で囲んだ食事の席で、旬太が言った。


「そういえば、この世界にもトマトみたいな野菜があるな。明日、ピザの新作を作ってみようか」


凛花は微笑みながら答えた。

「まずは領主への月例献上品のメニューを考えないと。来月は『森の恵み特別コース』を届ける約束をしたから」


異世界に迷い込んだ家族は、不安と混乱の日々を乗り越え、それぞれの方法でこの世界に適応し始めていた。



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