冒険者ギルド
昨日までの怒涛の展開で疲れていたのか、またはユゥイのホッとする体温のおかげなのか気づけば夜が明けて陽が昇っていた。優しい光で目を覚まして心地よい目覚めに胸が温かくなる。
「みゅうい、みゆぅあ!」
「ふふ!うん、おはよう!ユゥイ」
(こんな、気持ちよく目ぇ覚めんのいつぶりや?)
ユゥイが「んみゅぅ?」と首を傾げて起きないの?まだ寝る?っといったような感情を伝えてくる。
「起きるよ。朝風呂にも入りたいし、空いてそうな時間帯にギルドにも行っておきたいし朝食の時間が終わるまでには朝ごはんも食べ終わりたいしね」
「んみゆっ!」
そう返してユゥイをもみくちゃにしているとお腹を見せてくれた。
(ウチの仔が可愛すぎるぅ〜〜!!)
悶絶して大興奮しているとユゥイが抱きついて来た。
(〜〜〜っひっ!きゃっーーーー?!!過剰ファンサぁーーっ?!)
抱きついて頭をグリグリ、スリスリと甘えてくるユゥイ。可愛すぎる甘え方に存分にメロついた。朝から供給過多なくらいにはしっかりめにユゥイを堪能してから大浴場に向かう。
「朝からお風呂に入る人は、さすがにあまり居ないみたいねこの世界。まぁ、朝風呂にしては時間遅い?」
「ん〜みゅっ!みっ?」
最高の朝風呂を堪能し、身支度を整え終えて階下の食堂に向かった。食堂にはもうあまり人気は無く数人の人影と女将さんの姿があるだけだった。
「おはようございます」
「おはよう〜。よく眠れたみたいで良かったわ〜。今朝食持ってくるからね〜」
「はい、ありがとうございます」
「おい、女将!明日の「きゃあっ?!!」」
女将さんに話しかけている人を見て、思わず叫び声を上げてしまいジロジロ見られてしまった。そこには大きい身体に大きいモフモフの耳に太くて長い尻尾をもつ獣人が立っていた。
「っすみません!大声出して遮ってしまって」
大きな声に驚いたのかお耳をイカ耳に伏せてしまった獣人さん。「あぁ、別に」とだけ私に返し女将さんに話しかけなおしていた。席に着くと近くのおじさんが話しかけてきた。
「なんだ?あの兄ちゃんの威圧にビビっちまったのか?」
そう笑いながら話しかけてきたおじさんに「さっきはすみません。獣人さんをこんなに近くで見た事なかったのでびっくりしてしまって…」と返すと、食事を持ってきてくれた女将さんとおじさん達に田舎から上京してきたお上りさんを見守るような生温かい視線を幾つも貰った。
「良いのよ〜。はい!お待たせ〜。うふふっ朝から元気ね〜」
「そうだったのか!嬢ちゃんは、獣人を見た事が無いのか?この国は少ない方だけど、普通はどこに行っても見るもんだぞ?勿論、獣人国も獣人の方が多い国なんてのもあるしな」
「そうなんですね。私の住んでいた場所(世界)には人族しかいなかったので」
「獣人ってのはどいつもでけぇからなぁ。嬢ちゃんみたいな身長差じゃ驚くのも無理ねぇよ!」
昨日はどれだけフードを深く被って警戒していたのか…。ファンタジーのような幻想的な景色やビルの無い低い建物達に目を奪われて人など目に入っていなかった。昨夜、夕食後にさっさと部屋に戻ったのも浴場で夕陽に夢中になっていたのも何だかロマンチスト見たいです恥ずかしいが、どれだけいっぱいいっぱいになっていたのか。せめて一晩経った事で少しばかり冷静になれていると思いたい。
(それだけ余裕なかってんなぁ…まぁ、色々ありすぎたし当たり前か)
食堂でやらかしはしたが、今日の目的の冒険者ギルドがどういう場所か分からない為、食事をしたら早々にギルドに向かった。この街は領主邸を含む貴族街、商業区などいくつかのエリアに分かれているようで幸い宿からそこまで離れていない冒険者ギルドへユゥイと共に向かう。
(ギルドと宿がそこまで離れてないのは助かるなぁ)
「みゅいっ!!」
「うん、あそこっぽいね。大きい通りだから比較的分かりやすくて助かるね」
「みゅん!」
「そうだね、女将さんが言ってた特徴と一緒だし、多分ここで間違いないよ。それにしても大きくて立派な建物」
木造の2階立て以上で他の建物よりよっぽど立派な建物には入っていく人が多く、出て来る人の方が少ないようだ。扉をくぐりギルドの中に入るとゲームでよく見る受付と壁一面の依頼ボード。依頼は2割程しか残っておらず、貼られているのはコスパの悪い人気のない依頼なのだろう。とにかく聞きたい事は山ほどあるので空いている受付に並んだ。
「みゅ?」
「うん、まずは登録だね。通行証だけではこの街でしか役に立たないし、旅をするなら身分証は必須。ユゥイの従魔登録の事だけでも先にどうにかしておきたいしね」
ギルド内をフード越しに伺うが獣人も他の人種もフード等で顔を隠している人も少なくなくて、特に浮いている格好じゃなくて安心した。
「お待たせ致しました。お次の方どうぞ」
キョロキョロ辺りを見て並んでいると、それほど待つ感覚もなく順番がまわってきて受付嬢さんに声をかけられた。
「本日の担当をさせて頂くセリーナと申します。よろしくお願い致します」
「セリーナさん、よろしくお願いします。今日は従魔登録の事で、あと奇獣の事も教えて下さい」
「かしこまりました。従魔登録になりますと何処かのギルドに登録して頂く事が原則になります。一般的には冒険者ギルドへの登録が多く、街などに入る時に魔物との差別化であったり入門手続きを迅速にするために登録して頂いています。」
「じゃあ、私の冒険者登録とこの子の従魔登録をお願いします」
「かしこまりました!ではこちらにお名前などの必要事項をご記入頂き、従魔ちゃんにようにこちらの書類にもご記入をお願いします」
[名前]
[ジョブ・スキル]
[使う武器・魔法]
[得意な事]
「これって、全部書いた方ががいいんですか?」
「はい、パーティを組む際などに便利なので得意な事などは詳しく書いて頂くと紹介の時などに有利にはたらく事もあるので、できる限り書いて頂く事をお勧めしていますが、スキルなど不利にはたらく事などは自身の采配で当たり障りなく書いていただけると…使う武器なんかは見たら分かるだろと仰る方も、変わるかもと言う方もいますので可能な範囲で構いません」
「分かりました、じゃあこれでお願いします」
「はい。ユーティア様ですね!こちらでお間違えなければ登録させて頂きます」
「お願いします」
用紙を何かの機械のような物に入れると綺麗な石板のような物をお姉さんは取り出した
「こちらの登録石に手を置いていただいて登録完了となります」
「はい」
言われた通り手を置くと石板が淡く光りすぐ収まった。
「はい、完了致しました。こちらが冒険者ギルドの登録証となります。入門の際や身分証の提示を求められた場合にお使い下さい。」
冒険者登録に問題はなかったようで登録証としてドックタグのような物をベルベット生地のトレーに乗せて名前などに間違いがないか確認させられた。
「従魔登録も続けて行いますね。従魔の場合は登録石に触れれるこなら触れていただければ大丈夫です」
そう言うと獣魔登録の用紙を先程と同じ機械のような物に入れ登録を促してくれる。
「はい、おいでユゥイ」
「んみゅう」
ユゥイが石板の上に降りて来る。ドックタグも機械にセットし、先程とおなじ同じように淡く光りすぐに収まると
登録証を確認させてくれる。
「従魔ちゃんのお名前など、お間違えは無いですか?」
「はい、大丈夫です」
「ギルド銀行をご利用になるならタグに認証する手続きが出来ますが如何しますか?」
「ギルド銀行に登録する事のメリットやデメリットを教えて下さい」
「メリットは豊富にありますね。ランクや信用が上がればいろんな事が融通されますし、大金を持ち歩かなくて済んだりギルド証を使っての支払いやギルドランクへの報酬の振り込み等様々な恩恵を受けられると考えていただいて構いません。デメリットに関しましてはギルド証を無くしてしまうと出金等がすぐに出来なくなってしまうなどが挙げられます」
「屋台やどんなとこで使えますか?」
「国内外、他のギルド支部でも問題なく使えます」
「じゃあ、登録します。お願いして良いですか?」
「はい、承りました!お預かりします」
タグをまたセットしてセリーナさんが機械を操作する。
「はい、ギルド銀行への登録証の紐付けも済みました」
差し出してくれた登録証を受け取る。
「では、登録は以上になります。お疲れさまでございました!冒険者ランクや注意事項はお聞きになりますか?」
「はい」
「では、ランクは下はGから上はSがあり魔物の強さなどもこの冒険者ランクを基準にしておりますが、一般的にはパーティで討伐する事を前提にランク付けしておりますが、低いランクのものは駆けだしの方や比較的難易度が簡単に設定されていて例外でもありますのでご注意下さいね!ここまでで何か気になった事などはございましたか?」
「大丈夫です。魔物の事や常駐依頼の薬草の事を調べたいのですが、何か資料や図鑑などはありますか?」
「ございますよ!2階の資料室をご利用ください。持ち出しは基本ダメですがカフェスペースやギルド内でしたら貸し出しも出来るのでお気軽にお申し付け下さい」
その後も気になる事やギルドの利用できるサービス何かを聞き終わるとお昼の時間になっていたので、今度こそ食べ歩きをするべく屋台通りにくりだした。
今週中にもう一話更新する予定ではあります。




