9話 こしぬけチキン
円香、シャンティ、キラビは近所の公園に花見に来ていた。
「うわぁ……凄い人混みだね。」
どこも人でごった返していて座れないので3人は仕方なく人の流れに沿って公園を徘徊していた。
「シーズン真っ只中だもんなぁ。」
「シーズン?」
「私が説明しましょう……!地球には『季節』言うものがあって、地球の方はよってたかってイベントに群がる習性があるんですよ?」
「虫かっ!?」
「シャンティちゃん物知りだね♪」
「地球ではお姉さんですから!」
「無視かい……。ん?キラビ、地球歴はシャンティより短いの?」
「ここに来て1ヶ月くらいかなぁ?」
「円香さんはまだ1週間も経っていませんもんね。」
「つまり、キラビは円香ちゃんのお姉さん……?」
「です♪」
「はあ……!///」
キラビがキラッキラした眼差しで円香を見つめてきた。
「地球歴は15年だからね。」
「はぅ……。」
キラビはガックリと肩を落とした。
「……お子様の癖に。」
「シャンティ何か言った?」
「いえ何も。」
「スンスン……、」
円香とシャンティはキラビがスンスンと周りの匂いを嗅いでいることに気づいて会話を止めた。
「キラビ、何してるの……?」
「はっ!?……ええっと、向こうからいい匂いがするな〜って……///」
「「向こう?」」
キラビが指差した方を見ると、その先から歩いてくる人々はみんな揃いも揃って紙袋に入ったコンビニのホットスナックのようなものを美味しそうに頬張っていた。
「へ〜、公園の中にもコンビニあるんだ?」
「ここにコンビニなんてありましたっけ……?」
「あったら潰しているはずなんだけど……。」
(コンビニ店員怖っ!?)
「じゃあ屋台とか?」
「辿ってみましょうか♪」
3人がホットスナックを頬張る人の流れを辿ると、遠目にキッチンカーとものすごい人だかりが見え、こんがりとした美味しそうな匂いが漂ってきているかと思えば、
「ピィィイヨッッピヨッピョッピョッピョ!熟成タレに漬け込んだ、衣はカリッと中はジューシー!『こしぬけチキン』、お一人様一つまでで期間限定販売だピヨォォォオオ!」
屋台からけたたましい笑い声が聞こえてきた。
「う、宇宙人!?」
「そんなに珍しいの?」
「いや、だって宇ちゅ……シャンティとキラビも宇宙人か。」
「あの……どちらかというと地球の方の方が珍しいですよ?」
「いやいやまさか。」
「並びながら話しましょうか。」
4人はキッチンカーの列に並ぶことにした。
「円香さんにとっての宇宙人って、あんな感じでしょうか?」
シャンティは通路の脇の桜の木の下で酒盛りをしている腕の生えた、身長2メートルはありそうな水色のナメクジ型のスライムを指差した。
「うん。」
「あのちっちゃい子?」
((ちっちゃい……?))
円香とシャンティはキラビの言葉に揃って首を傾げた。
「小さくはないと思いますけど……、宇宙人がみんなあんな感じ、というのは間違いですね。」
「どういうこと?」
「今日だけでも、ここに来るまで結構すれ違ってるよ♪」
「え"っ……まさか、地球人に擬態してるってこと……!?」
「ここ御茶混市では、見た目を地球の方によせるのがトレンドなんですよ♪」
「まさか、シャンティとキラビも……
「キラビはもともとこういう見た目だよ?」
「私もです♪違う外見で地球人に寄せない方は、見た目に自信を持っているか、完全にオフかめんどくさがりさんですね。」
「つまりすっぴんってことかぁ。」
「まあそんなところですね。」
「じゃあ私たちの前に並んでる人達も……?」
「公園に入ってから、円香ちゃん以外に地球人は見ていないかなぁ……シャンティちゃんは見かけた?」
「いえ。」
「へ、へえ……。」
相槌を捻り出す円香の顔は引き攣っていた。
「お!そろそろですね。」
いつの間にか3人の順番が回ってきていた。
「『こしぬけチキン』3つお願いします!」
「あいよ!こしぬけチキン3つ、1500円だ。熱いからあんまがっつくなよ?」
「あ、ありがとうございます……!」
「おや?初めてみる顔だが、嬢ちゃんもしかして……いや、でも……
「「自慢の地球人です(だよ)……!」」
シャンティとキラビが自慢げに円香をヒヨコ型宇宙人に見せつけた。
「やめなさい……!///」
「そうか。でも誰かに似ているような……、おっと済まねえ。お客様に出身星なんて関係ないもんな!俺はナゲットだ。今後ともこしぬけチキンをよろしく頼むぜ!」
3人は近くのベンチに腰をかけ、こしぬけチキンを賞味した。
「あ、美味しい……!?」
「すっごい売れてますねぇ、あのチキン。」
キッチンカーではまだヒヨコ型宇宙人が夥しい人数の行列を捌いていた。
「チキンうま……!」
3人がチキンを食べ終えた頃、キッチンカーの周りの人だかりはすっかりはけていた。
「いつの間にか完売してますね 。」
「……店長、誰かと話してるね。」
キッチンカーの隣で、ヒヨコ型宇宙人が酒盛りをしていたナメクジ型のスライムと対面していた。
「もう1人は、さっき私たちの前で並んでた人ですね。」
『なんでだよぉぉお!!??』
『だぁからまた明日来いっつってんだろ!!』
キッチンカーの方から大声の穏やかではない会話が聞こえてきた。
「なんだろう?」
「なんだか、喧嘩腰ですね。」
「喧嘩……!?///」
キラビは目を輝かせてキッチンカーへと走り出していた。
「「なんで行っちゃうの(んですか)!?」」
「ああもう、追いかけるよ!」
「は、はい!」
円香とシャンティはキラビを追いかけてキッチンカーへと駆け出した。
「あ、あの!どうしたんですか……!?」
「おう、さっきの嬢ちゃんか。悪いが今は取り込み中だ。チキンならまた明日買いに来てくれよな。」
「だが悪いな嬢ちゃん、今季のチキンは今日で販売終了だぁ!」
「だぁから!今日はもう売らねえっつってんだろ!?明日も楽しみにしてる奴らが来るんだからよ!」
どうやらナメクジスライムの宇宙人はキッチンカーの在庫を今すぐ売るように催促しているようだった。
「あの……!!」
「「なんだ(ぁ)?」」
「ヒヨコさんの言うとおり、
(俺ヒヨコだと思われてるの?)
「お店にはお店のルールがあるんだから、そう言うの良くないと思う……!」
「なぁにぃ……!?小娘が
「キラビも店員さんだからわかるもん……ッ!」
ナメクジスライムの宇宙人は顔 (たぶん)を顰めた。
「ピィィイヨッッピヨッピョッピョッピョ!なんだ嬢ちゃん、見どころあるじゃねえか!ヒヨコって言ったのは目ぇ瞑ってやるぜ!」
「「キラビ(さん)!」」
シャンティとヒビキが追いついてきた。
「なぁんだよ、どいつもこいつも……!ムシャクシャするぜぇ!!」
「せっかく近くで喧嘩を見られると思ったのに……!!」
「おん?」
「こんなの全然友情じゃないですッ!」
「「「「…………は?」」」」
「よくわからんが喧嘩をご所望なら、お望み通り痛めつけてやるぜ!!」
ナメクジスライムの宇宙人はキッチンカーに向かって口 (たぶん)から人の頭くらいある水の塊を吐き出した。
「おいっ!何を
「ショット。」
キラビの左腕がシリンダー型に武装され、拡散する射撃によって、吐き出されたスライムの塊が撃墜されると、射撃の余波がナメクジスライムの宇宙人に直撃した。
バシャ……ッ!
「……。」
『コンバットオペレーション02 ガン・ハイブ。』
「まさか……守ってくれたのか、俺と店を?」
「♪」
キラビはヒヨコ型宇宙人に振り向き微笑むと、すぐに向き直った。
「関係ないキッチンカーを狙うなんて、許さない……ッ!」
「嬢ちゃん……。」
「キラビさん、助太刀しますッ!円香さん、サポートを……!」
シャンティは『バトルシエ闘度100』のゲームディスクを胸元に挿入してシュガーの姿に変化した。
「うん!」
「いくよシャンティちゃん!」
「はいっ!」
キラビとシャンティはナメクジスライムの宇宙人と遠距離の撃ち合いを繰り広げた。
「そりゃそりゃそりゃ!」
「ハンドガン!」
「はぁぁぁあ!」
「なんだ、嬢ちゃんたちやるじゃねえか。」
「あの宇宙人……身体が液体でできてる。」
「ん?ああ、確かにプルプルしてんな。」
「最初、キラビのショットが少し当たったとき、身体が水面を強く叩きつけたみたいになってた……!」
「まあ水だしな。」
「……、」
「どうした嬢ちゃん、急に黙っちまってよ。」
「参ったな……今の2人じゃアイツに勝てない。」
「何言ってんだ嬢ちゃん、今だって2人の攻撃は当たってるじゃねえか。」
「でも効いてない……!」
「た、確かに……。」
「何か、せめて弱点でもあれば……。」
「ほらほらどうしたぁ!?豆鉄砲飛ばすだけかぁ?」
「く……ッ!当たっているはずなのに、手応えが……!」
「ちょこまかと……、もうっ!」
「プゥゥウルプルプル♪……んじゃ、こっちから行くぜぇ?」
ナメクジスライムの宇宙人が強い踏み込みで2人に急接近した。
「剛腕……ラリアットぉぉあ!」
「……!?」
(しまった!?武装を切り替えて防ぐには時間が……!)
「キラビさん危な
キラビを庇ったシャンティが攻撃をもろに喰らいふっ飛んだ。
「あぐっ……!?」
「シャンティちゃん!?」
『コンバットオペレーション3 スピア・ホーネット。』
遅れて、キラビの左腕が戻り右腕が1メートル程の槍状に武装された。
「お?なんだぁその爪楊枝は。」
「……ッ!!」
キラビは右腕の槍で高速の突きや薙ぎ払いを何度もナメクジスライムの宇宙人にお見舞いした。
「おいおい、耳かきだってもうちょっと力入れるだろぉ。」
ナメクジスライムの宇宙人は微動だにしないでキラビを嘲笑っていた。
「全然攻撃が効いてねえっ!?」
「プゥゥウルプルプル♪痒くもないぜぇ。」
「……ッ!!」
キラビはシャンティが復帰するまで少しでも時間を稼ごうと、諦めずにナメクジスライムの宇宙人の全身に攻撃を浴びせ続けていた。
「キラビ!!頭と四肢を斬り落として!!」
「何言ってんだ嬢ちゃん!?」
「プルゥ?」
「……ッ!!!」
ナメクジスライムの宇宙人が円香とヒヨコ型宇宙人の方を向いた隙に、キラビは頭と四肢をほぼ同時に薙ぎ払ってナメクジスライムの宇宙人をバラバラにした。
バシャア……!
「おん?」
すると、ナメクジスライムの宇宙人の頭以外の部位が形を保てず、落下して水たまりになった。
「うっし!良いぞ嬢ちゃん!」
「いや、まだ終わってない……!」
ナメクジスライムの宇宙人の頭部が落下すると、水溜まりを吸い上げて元通りに復帰した。
「やっぱり復元するか……!」
「でも弱点はわかったぜ!嬢ちゃん、今度は頭を斬り落としてメッタメタにしちまいな!」
「……ッ!!」
「プルぅ?」
またナメクジスライムの首が両断された。
……が、
「……プルぅ!」
「がっ……!?」
今度は頭の形が失われて、残った首から下がラリアットでキラビをぶっ飛ばした。
「おいおい嘘だろぉ!?」
「やっぱり……。」
「なんかわかったのか……!?」
「うん。アイツ……弱点はあるけど、それを移動できる。」
「なんだそれズルぅ!?」
「さっきは頭だけ形を保って、今は首から下だけ……きっとコア的なのが身体のどっかにいる……!」
「そうか、ならその本体をぶっ叩けば……!」
「勝機はある、けど……。」
「くっ……!」
「プルぅ……♪」
「「ぐあっ!?」」
「プゥゥウルプルプル♪♪2人とも動きが鈍ってるぜぇ……もうお疲れかぁ?」
「ああ不味い!?2人とももうボロボロじゃねえか……ッ!?」
「そんなことわかってるって!でもここから見えないほどちっちゃいの……に……?」
〜〜
『あのちっちゃい子?』
((ちっちゃい……?))
〜〜
「……いや、」
〜〜
『ほらほらどうしたぁ!?豆鉄砲飛ばすだけかぁ?』
『く……ッ!当たっているはずなのに、手応えが……!』
『ちょこまかと……、もうっ!』
〜〜
円香はキラビがナメクジスライムの宇宙人を初見で『ちっちゃい』と言っていたこと、2メートルを超える大きな的に対して『ちょこまか』と言っていたことを思い出した。
「どうした嬢ちゃん。」
「……視えてる。」
「謎かけか?」
円香はヒヨコ型宇宙人を無視してキラビに駆け寄った。
「キラビ!」
「円香ちゃん……!?」
「教えてキラビ!キラビには、アイツがどう見えてるの……!?」
「あの子……?」
キラビはナメクジスライムの宇宙人を睨むと、
「一口サイズの、ナメクジが水の塊の中で泳いでる……!」
「ナメクジ……。」
「水の中から引きずり出せれば、楽なんだけど……。」
「『引きずり出せれば』、勝てるんだね……!?」
「…………、うん!」
「わかった!それまで2人で、頑張れる……!?」
「「うん(はい)っ!」」
円香は走ってヒヨコ型宇宙人のもとに戻った。
「おじさん!塩、ある!?」
「塩?……ああ、そりゃ食品扱ってるからあるが……。」
「じゃあそれ貸して!」
「ぉおいっ!?」
円香はヒヨコ型宇宙人の腕を掴んでキッチンカーへ駆け込んだ。
「塩って、どのくらい使うんだ?」
「何キロある……!?」
「『キロ』ぉ!?」
「いいから早く!」
「お、おうっ!こん中にあんの、好きなだけ使ってくれ!」
「ありがとうおじさんッ!」
円香は5キロ入りの塩の袋を両脇に抱えてキッチンカーを飛び出した。
「塩なんて、何に使うんだ……?」
「プロテクトッピング!!!」
「マグナム!!」
シャンティが放った特殊な光弾をキラビの弾丸が射抜くと弾丸は発光し、着弾したナメクジスライムの宇宙人の上半身を吹っ飛ばした。
「プルゥ?効かないねぇ……ッ!
「「ぐあっ!?」」
円香がシャンティとキラビのもとに戻ると、2人は攻撃を受けてもすぐに復元するナメクジスライムの宇宙人の攻撃を受け、もう限界寸前まで消耗しきっていた。
「ごめん!待たせた!」
「円香ちゃん……!」
「円香さん。あるんですよね……勝つための策!」
「うんっ!」
円香は力強く頷くと、
「うおおおお!」
塩袋を抱えたままナメクジスライムの宇宙人にまっすぐ駆け出した。
「「円香さぁ(ちゃあ)ん!!??」」
「プゥゥウルプルプル♪♪新しいサンドバッグがちっちゃいサンドバッグ抱えてきたぜ!」
ナメクジスライムの宇宙人が大振りのラリアットをしてきたが、円香は躱して液状のボディに飛び込んだ。
「プルゥ……!?」
「……ッ!!!」
ナメクジスライムの宇宙人のボディの中で、円香は塩袋を破ってかき混ぜた。
「な…………なに、を………!?」
さっきまで余裕綽々で笑っていたナメクジスライムの宇宙人が急に苦悶の表情を浮かべた。
「……く、そがぁぁあ!!」
ナメクジスライムの宇宙人は苦悶しながら円香を掴み自身のボディから引き摺り出すとラリアットを円香の腹に直撃させ吹っ飛ばした。
「が……ッ!?」
「「円香さん(ちゃん)ッ!!??」」
「嬢ちゃんッ!?」
円香の身体は宙を舞い、シャンティとキラビの前まで転がされた。
「円香さんッ!円香さん……ッ!!!」
「大袈裟だって……。」
円香は仰向けになったままお腹を抑えてシャンティとキラビに笑ってみせた。
「にしても……いっったいなぁ。2人はこんなのを何度も喰らって、戦ってくれてたんだ……。」
「円香ちゃん……。」
「ねえ、あのナメクジ……どう?」
シャンティとキラビがナメクジスライムの宇宙人の方を見ると、
「ぐおおぉ………!!?」
ナメクジスライムの宇宙人は身体に塩がどんどん溶け込み、苦しみながら形が崩れていく最中だった。
「効いてますっ!もうほとんど水溜りです……ッ!」
「へへ、やっぱりね……。」
「やっぱり?」
「ふふん♪地球にはこんな言葉があるんだよ?……『ナメクジには……塩ッッ!!』」
「……。」
円香が痩せ我慢で声を張っていると、キラビは唐突に水溜りに向かって跳躍した。
「キラビさん……?」
キラビは空中から水溜りの周辺を険しい目つきで見つめると、
『コンバットオペレーション3 スピア・ホーネット。』
「……いた。」
無機質な声で呟くと、右腕を1メートル程の槍状に武装し地面に突き刺した。
「チクショー!」
「暴れないでください。キラビ、もの凄く怒ってるので……、
「ハナセー!?」
「逆らったら3枚におろします。」
「ヒー!?」
みんながキラビに追いつくと、キラビの槍先が一口サイズのナメクジの尻尾を串刺していた。
「と、とりあえずこれに……!」
円香はタッパーをキラビに差し出した。
「それ俺のじゃねえか!?いつの間にくすねてやがったんだ……。」
ヒヨコ型宇宙人が文句言ってる傍らで、キラビは器用に刺さったままのナメクジをタッパーに入れると円香が蓋をした。
「チクショー!ダセー!」
タッパーの中でナメクジが跳ね回っているが、輪ゴムで留められた蓋はびくともしなかった。
「こうなってしまえば呆気ないですね。」
程なくして警察の人が駆けつけ、ナメクジスライムの宇宙人をタッパーごと回収して行った。
やがて小さくなっていく警察の人の背中が見えなくなると、ヒヨコ型宇宙人が口を開いた。
「その……ありがとよ。ボロボロになってまで店を守ってくれて。」
「おじさんだって助けてくれたじゃん。」
「いや、俺は別に……戦力にならなかったしよぉ。」
「私だって塩泥棒しただけだもん。」
「……タッパーもな。」
ヒヨコ型宇宙人はポリポリと頭をかくと、
「ピィィイヨッッピヨッピョッピョッピョ!嬢ちゃんおもしれーな!名前は?」
「円谷円香だよ♪」
「『円谷』……かぁ。じゃあ他人の空似か……。」
「円香ちゃんはほとんど地球人だもんね♪」
「『ほとんど』って何……!?」
「円香さんが誰かに似てるんですか?」
「ああ、俺ぁてっきりマド……いや、気のせいだったな。とにかくありがとよ!」
ヒヨコ型宇宙人は慌ててキッチンカーの周りを片付けると、さっさとキッチンカーに乗り込んでしまった。
「また買いに来な!負けてやっからよ♪」
ヒヨコ型宇宙人はキッチンカーを発進させ、円香、シャンティ、キラビは小さくなっていくキッチンカーを見送った。
「変な人でしたね。円香さんは円香さんなのに。」
「……また、買いに来よっか。」
「だね♪」
キッチンカーが見えなくなった頃、3人はアパートへの帰路についた。




