第439話チャレンジ企画
「うーん」
ある日のこと、僕は自室でゲームに興じていた。
ダークひのたま君と一緒にサンドボックス系のゲームをプレイし、モチベーションを高めていくのが目的だったが、その奥深さは本当に唸らされる。
クラフトできるゲームの自動化や最適化というものは、効率的すぎて恐怖すら覚えるほどだった。
普通のプレイではたどり着けない高みにだって、飽くなき工夫の積み重ねで到達してしまうその美しさは、現実にも通じるところがあるのだろう。
「……やるかぁ」
そう呟いて、僕はゲームを終了する。
ダークひのたま君は不思議そうに首を傾げていた。
最近楽しくもきな臭いことが増えていることだし、打てる手は打っておくべきだ。
――というのは建前で、前々から温めていたアイデアを実行してみるには丁度いいきっかけだった。
そして僕が向かうのは――ホームセンターだった。
『釜を4つと、スライムの材料はここで買っていこう』
「……これだけで大丈夫かな?」
『こういうのはコンパクトにまとめるのがいいだろうさ』
いつものように、ああだこうだと攻略君と話し合いながら決めた、買うものリストを一つずつ埋め、ついでにスポーツドリンクと、食料も買い込んでいく。
モンスター料理もいいが、インスタントラーメンなんかのお手軽なやつは忙しい時には助かる。
今回の挑戦はダンジョンを僕なりに楽しむための、いわば集大成クラフトみたいなところがあった。
大変な割に、失敗する可能性の方が高いが……うまくいったら面白い。
動機なんてそんなものだ。
そんな軽い思い付きは、僕と攻略君からしてもとても珍しい試みと言えた。
レジ前でお金を払う寸前、僕は誰にも聞こえないような小さな声で独り言のように呟いた。
「……できるかな? ダンジョン式経験値トラップタワー」
『何度か似たようなことは試しただろう? ……まぁ限界を更に超えるために試したいというのは、相当ヤバイ思考だと思うが……』
「そういうこと言う? どうせダンジョンには潜るんだから、主目的ってやつが必要でしょうよ」
『まぁねぇ?』
「倒す敵もいないのにそれって必要か?」というスタンスの攻略君には、「備えあれば憂いなし」ということわざを返しておいた。




