第437話無事合流
「うん! 実に愉快な体験だった! 礼を言うぞ! ガハハハハ!」
豪快に笑い、ハイエルフのテイムに成功したテンガロンハットおじさんはご機嫌で、どうやら満足いただけたようだ。
僕は無事に目的を達成できて、今度こそテンガロンハットおじさんを送り届けた。
彼がなにかの偉い人だというのはわかっている。
事故ではぐれてしまったわけだし、これ以上時間を取られたら大騒ぎになってしまうかもしれない。
やがて護衛の方々の声が響いている場所までたどり着くと、テンガロンハットおじさんは「シィッ」と口元に手を当てて僕を止めた。
「……君はここで別れた方がいいだろうな。面倒なことになりかねない」
確かに。
下手をすれば誘拐犯にでも間違われかねない。
僕は頷き、一歩引いた。
「そうさせてもらいます。気を付けて」
「おう! ではな! 今日のことは忘れん! いつか礼をしよう! 何かして欲しいことはないかな?」
急にそう尋ねられて、僕は言葉につまった。
とは言っても相手はさっき出会ったばかりのおじさんである。
お願いしたいことと言われても正直困った。
だけど一つだけ、ふわっとその願い事は浮かび上がってきた。
「動画配信してるんで、よかったらフォローと、チャンネル登録お願いしても?」
そう言った瞬間、目を点にしたのはテンガロンハットおじさんの方だった。
そして数秒後、大爆笑である。
「アハハハハハ! それはいいな! 是非とも登録させてもらうよ!」
僕はにっこり笑い諸々の情報を渡すと、名残惜しいがそろそろお別れの時間だった。
巨乳好きのテンガロンハットおじさんに、シンパシーと友情を感じつつ、僕はこっそりと彼が無事合流できたところまでは見届けることにした。
ものすごく大慌ての護衛の人達とミアさん達は真っ青な顔で探索をしていた。
そんな彼らにさっと手を挙げて、テンガロンハットのおじさんは大声で呼びかけていた。
「おい! エルフをテイムしてきたぞ!」
合流のその瞬間、怒涛のようなお説教と質問攻めが始まった。
「何で勝手に前に出たんです!」
「どこにいたんです! 何かあったらどうするんですか!」
「冗談じゃすみませんよ! ただでさえお忍びなんですから! ここに来るだけでも本当はアウトなのに!」
さすがのテンガロンハットのおじさんもこの剣幕には苦笑いで、まず謝罪していた。
「……正直すまんかった。だが見ろ! 彼女がわしの相棒だ!」
そして彼が紹介した瞬間、肉体を具現化させ側に寄り添うように姿を現したのは、あまりにも美しいダイナマイトなハイエルフだった。
彼女を見た瞬間、護衛達は一斉に息を呑んで驚愕していた。
「オーマイガット! 本当だったのか!」
「一体どうやって!」
「ゴクリ……夢つまりすぎだろう」
「がっはっはっ! そうだろうそうだろう!」
得意満面なテンガロンハットおじさんは、豪快にチャンピオンベルトをぺチンと叩いた。
「プレジデント! 一体なにがあったんですか!」
血相を変えるミアさんにテンガロンハットおじさんは、ニンマリ笑う。
「ちょっとそこでYOUKAIに出会ってな!」
「???」
そんな彼の答えに全員がクエスチョンマークを浮かべつつ、一応彼らもようやく安堵に包まれていた。
「よかったよかった……」
一件落着の光景を眺めて、僕は頷く。
おじさんにはだいぶん奮発したお土産を渡してしまったが、いい思い出になるだろう。
僕は妙な満足感に包まれて、今度こそ家に帰ることにした。
……ん?
今プレジデントって言わなかった?




