第425話お気に入りを選んでみてね?
「ドラゴンの元気がない?」
僕が念のためにハバキリ君に相談をそのまま聞き返すと、ハバキリ君はとても不安そうに頷いた。
「そうなんだ! 何だか体温も高くて、心ここにあらずで!」
ハバキリ君が持って来た相談は、確かにちょっと心配になるものだった。
ドラゴンというと、ハバキリ君が現在テイムしているモンスターのことだ。
モンスターが病気になるというのも驚きだが、ハバキリ君からしてみたら細かい疑問など今はどうでもいいみたいだった。
「うーむ……何でしょうねぇ」
「くあー……」
差し出されたバッグの中に入っていたドラゴンは確かに目が充血していて、体温が高いようだった。
一体何事かとすぐさま攻略君に訊ねると、即座に返答があった。
僕はなるほどねーと唸り、改めてハバキリ君に向き直った。
「――どうやら、宝石が必要みたいだ」
「宝石?」
「うん。ドラゴンは魔力をとにかく蓄える性質があるんだけど、その吸収した魔力をお気に入りの宝石に溜め込む習性がある。だからドラゴンの巣には宝石がたくさんあるし、特にお気に入りの石を手元に置いておく。今は手元に宝石がないから、魔力を吸収しすぎて熱を持ってるようだ」
「と、いうことは! 宝石を買いに行けばいいんだな!」
「まぁ待って? 解決方法は二つだ。一つはでっかい魔法をダンジョンでぶっ放せば症状は改善する」
「そんなことでいいのか」
それが一番簡単な解決方法である。
しかし長い目で考えると対処療法だけでは不安もあった。
「けど……うん。せっかくだから後々の事を考えて、宝石採りに行こうか?」
「……え?」
「宝石を手に入れるために発掘しよう!」というのは少々気が長いし、唐突かもしれないが、僕は大真面目だった。
というかドラゴンのお眼鏡にかなうような宝石は、ダンジョンの中でしか採掘できないと思われる。
そしてその階層は、すでにハバキリ君も足を踏み入れたことがあるんだから今更案内するのに抵抗もない。
「いつか武器をテストしたでかいゴーレムがいた所、あの階層は鉱石エリアだから。そこでドラゴンにお気に入りの石を探させたらいいよ。見つけられたらいくらか落ちつくと思うから」
「分かった。行こう」
ハバキリ君はキリッとメガネを上げて、まさかの即答だった。
てっきりもっと迷うかと思ったけど、随分気合いが入っている。
どうやらハバキリ君は随分ドラゴンを大切にしてくれているみたいだった。




