第424話決定的な発明品
寮の自室で、僕はもくもくと作業に勤しんでいた。
多数の電子部品と、素材の数々は攻略君の指示に従って集めたものだが、組み立てるだけでも一苦労だ。
でもまぁそっちは趣味の領域だからどうにかなる……だが問題は中身の方だった。
「うーん、これは完全にプロの仕事だよ……僕じゃ無理かも?」
攻略君に尋ねながら作業していても、完全には理解できない時がある。
今回作ろうとするトラップレーダーは、プログラム的なところまで求められ、さすがに今は専門外だった。
あまりのめんどくささに零した僕に、攻略君はこう言った。
『じゃあ、私がやってみようか?』
「んん? ……何それどういう事?」
よくわからない話に言葉に出すと、攻略君は思いもよらない切り口の提案を続けた。
『私が君の代わりに、身体を動かして作業をしてみようか? という意味だけど』
「……へぇー。そんなことできるの?」
『君との付き合いも長くなってきた。君が眠っている時になら、できないこともないかなと』
本人にしてみても半信半疑のようだが、できるというのなら面白い。
寝ている間に体が動くという現象はホラーの類ではあるのだが、一言断りが入るのは攻略君の配慮でもあるのだろう。
「……ふーむ。じゃあ今晩あたり試してみようか?」
『そうだね』
取り寄せたパーツをはんだ付けしながら、僕はそれに同意した。
寝て起きたら完成しているというなら素晴らしくない?
まぁ……そんなにうまくはいかないだろうと思っていたんだけど――。
次の日の朝、結果は最高の形で出ていた。
「……完成したね」
『初の試みで苦労したけど、何とかなったようでなによりだ』
心なしか満足そうな攻略君だった。
僕はマジかよと出来上がったレーダーを眺めて、ポチポチとボタンを操作する。
するとピポッと音がして、レーダーにはちゃんと画像が表示されていた。
「おおっ……なんというか、寝ている間に完成とか妖精さんかな?」
『一応神様の権能なんだけどね? 一緒にされたくはないなぁ』
「そういうのあるんだ……」
とにかく、ここに来てまた便利スキルに目覚めてしまったということか。
ビックリである。
手に持ってみた大きな円盤状のモニターにはスイッチがいくつかくっついていて、ダンジョン内でボタンを押すとサーチしてトラップを暴き出し、マップを製作する優れものだった。
「1回押すと平面、2回で立体表示……タッチパネルで操作もできると……」
お手製だから、大きめだけど動くはず。
というかデザインはド〇ゴンレーダーのそれだった。
後は実際にダンジョンで試すだけ。これでレーダーの完成だ。
だが時間を見るともう朝だった。
僕は大きくあくびをして、学校に行く準備を始めたが、そこでふとひとつの不安がよぎった。
「しかし……これも徹夜したってことになるのかな? 眠った感じはするんだけど?」
『そうだね。体は動いていたから徹夜と言えるのかもしれないが……今の君はそれくらいで弱る体力じゃないよ』
「そういう問題? 体力が有り余っていても睡眠が不必要ってことはないでしょ?」
『そうなんだけれどもね』
ともあれ僕はバッグにレーダーも詰めて、少し早めに外に出た。
だがそこで僕は意外な人物に出会った。
「あれ? ハバキリ君?」
大きなリュックを背負ったメガネのクラスメイトに声をかけると、ハバキリ君はパッと表情が明るくなる。
そして駆け寄って来た彼女は僕の肩を掴んだ。
「た、助けてくれ! ワタヌキ君!」
「……どういうこと?」
混乱したが、ハバキリ君の慌てようが尋常じゃない。
僕は大いに焦った。




