第419話メカメカしいのもいいと思う
ガッチョンガッチョンと赤と青に塗装されたゴーレムが2体、僕らの目の前を歩いていた。
まだ慣れていないからか、ゴーレムの足取りはおぼつかないところがあったが、中に入っているコール君とブロック君はゴーレムと感覚を共有して、テンション急上昇中だった。
コール君に至っては、すでに号泣である。
「うおおおおおおおん……聞いてくれブロック! 俺はガキの頃の夢を一つ叶えちまった。ト〇ンスフォーマーに……なりたかったんだよ!」
「おいおいロボットの方になりたかったってのは面白過ぎないか? パイロットだろう普通?」
「中の人なんていないだろ!? 大事なところだぜブロック!」
「そ、そうだな。しかしこの体を動かす感覚と視覚の連動は……やばいな。未来すぎる」
恐らく今まで世に出ていなかった魔法技術の体験は、未来を感じるのも無理はなかった。
ダンジョン内でこっそり行っている試乗会を見学しながら、松林君は震える手でゴーレムを指差していた。
「何だありゃ! 完全にロボじゃん!」
「あれ? 見せたことなかったっけ? すごいでしょ、これ売ってるんだよ」
「……マジでか。どんな最新技術だよ」
「最新っていうか……錬金術の賜物?」
「めっちゃ古風。……魔法ってなんでもありだよなぁ。なんかオレの知ってるのと違う」
「それはそうかもなぁ」
「……オレにもちょうだい?」
「……この先、精霊の仕入れを自分でもやりたいなら大いにあり」
「なるほどー……でも先輩方に頼む方が……楽ではあるんだよなぁ」
そういうこと言っちゃうか松林君。あまり先輩達に頼りすぎると、あの子達ホント短気なので、気を付けて欲しいところである。
しかし言われてみると、魔法が単純な攻撃手段だと思っていた頃が懐かしい。
いまや魔法にもいろいろと派生の技術が存在するとわかり、僕だって魔法を完全に理解しているわけじゃなかった。
「あんなとこができたらいいなな」という憧れを魔法のように実在せしめたのは、まさに異界の技術の賜物である。
目の前で客観的にゴーレム……いや、あえて言うなら二足歩行のロボットが歩き回っている光景は胸にぐっとくるものがあった。
ただ、機械いじりが好きな僕としては、それを完成させたのが魔法の産物だということに、複雑な思いも残った。
「なんというか……僕らの感覚で言えば、リアルロボットよりスーパーロボットの方が先に出来ちゃったような違和感はあるよね。ガ〇ダムより先に、オー〇バトラーが出来ちゃったようなもんだよ。不思議なこともあるもんだ」
だけどだ、ロボットは動いて初めて真にカッコよさが分かるものだというのはあまりにも常識である。
トータルで見ると、こうして動いているだけでも、嬉しい気持ちが大きいに決まっていた。
「……よくわからんけど、なんかすごく変なこと言ってない? 妙にワクワクはするけどさ」
「……分かるかい? やっぱり松林君も男の子なんだなぁ」
そしてコール君とブロック君もまたそうである。
キャッキャと巨人の身体をぶん回し、カスタマイズのおまけにつけた中折れ式の大型ショットガンとリボルバータイプの魔法杖を構えてはしゃぐ姿は男子そのものだった。
そんな光景を見て、松林君が尋ねた。
「で、何で銃?」
「そりゃあ……銃を試してもらうなら、彼らかなって?」
「……ああ。安直すぎない?」
「……彼らの故郷は銃の本場だし、良し悪しの評価は適切なんじゃないだろうか」
その手の訓練を本格的にやっているという話も聞くから、まさにテスターとしては、うってつけだろう。
そしていつの日か、科学と魔法が交差する、素敵ダンジョンがより発展してくれたなら、僕としては大歓迎だった。
「あのゴーレム達もさ、いつか探索者の壁となって立ちふさがる……キ〇ーマジンガみたいなインパクトのある戦力に育ってくれるといいよね」
「おっかないよ、なんだそりゃ?」
「人気のモチーフじゃない?」
うちの学校のダンジョンはなんか魔法生物系に振り切れてるし、もう少しメカメカしいモンスターが増えてもいいと思うんだよ僕は。




