第414話だから何でカプセルトイなんだと叫ぶ
「……はぁぁぁ」
ミアは砂を噛んだような顔で天井を見上げて、重々しい溜息を吐いた。
手にはコーヒーのおまけについてきた、豆の入った袋が一つ。
そして、日本に到着した時に空港で興味本位で買った、カプセルトイのカプセルが握られていた。
「どいつもこいつも馬鹿にして……。いっそ適当な奴を捕まえて拷問でもしてやろうかしら?」
ミアはそんな物騒なことを呟きつつ、荒々しく頭を掻く。
幸い、見立てではモンスターを除けば自分を超える探索者はそう多くない。
精霊所持者の中でも弱そうな奴を狙い、引きずり込めばやれるか?――なんて具体的なことまで考え始めていたそんな時、チャイムが鳴った。
時刻はすでに深夜を回っていた。
急に別行動を提案したコールとブロックが、この部屋にやって来る。
時間ピッタリに現れた二人は、ミアがこんなにもイラついているというのに、滞在中でも最高の上機嫌&ハイテンションではしゃいでいた。
「よう! ミア! 元気か!? 俺はすこぶる快調だ!」
「聞いてくれよ! 色違いの黄色いネズミをもらったぞ! 最高にハッピーだ!」
それを聞いた瞬間、ビキリと青筋がミアのこめかみに浮かぶ。
そしてユラリと立ち上がったミアは二人の前に立ち塞がってドスの聞いた声色で言った。
「お前ら……私が苦労していた時に何をしてた? 言ってみろ……」
瞬時にただならぬ雰囲気を感じ取り、コールとブロックは冷や汗を流す。
だが二人は、その場を和ませようと軽い口調で続けた。
「いや、そんなにカリカリするなよ、美人が台無しだぜ? ミア?」
「ははは、そうだぞ? 何も俺達だって遊んでたわけじゃない」
「ほほう……じゃあ、今日一日の成果を聞かせてもらいましょうか?」
馬鹿なことを言い始めたら、氷漬けにしてやろう――ミアは心に決めた。
だがさっそくコールは、イエローカードに限りなく近いイラつく言い回しを重ねて来た。
「そうだな……今日一番大したことない成果と、一番すごい成果とどっちから聞きたい?」
「…………じゃあ、大したことない方から」
魔力を練り、答えを待つ。
しかし、コールは予想を大きく裏切って来た。
「おお! そっちか! ならミア、精霊を手に入れたぞ! テイムもばっちりだ!」
「……はぁ!? どどど、どうやって!?」
驚愕して声を荒げるミアに、コールとブロックはきょとんとして顔を見合わせ、随分と細工の細かいカプセルを同時に取り出してミアに見せた。
「「……ガチャで?」」
その短いワードで、ミアの時は止まった。
そして完全停止した数秒後、ミアは爆発した。
「……だっかっらぁ! ―――何だよそれぇ!」
あらゆる理不尽と不条理を込めて、叫ぶミアをコールとブロックは大慌てで宥めに掛かった。




