第412話秘密を暴く
草薙パーティの面々は気まずさを隠せない様子で、コソコソと声を潜めて話し合っていた。
「どうしよう、うまく説明できないんだけれど……?」
黒髪の少女、月読カノンはすごく気まずそうにそう言った。
「……当然よ。私だって手に入れた今でも信じられないんだから。あんなものに精霊突っ込んだ奴はそうとうな馬鹿だわ」
一方、天音マキは眉毛の間に皺を寄せ、赤毛の髪をせわしなく指先でいじっていた。
「ま、まぁ、22階層にも実際なにかあるんだろう? 話を聞く限り、生徒会の先輩方だろうし」
ハバキリショウは、無茶な話だが、相手が同じ学生なのだから大丈夫なのでは?と安心材料を口に出す。
「そんなところで何をしているのか……俺達だって気になる。生徒会の人達は俺達より先にいるんだろう? なにか……ヒントになるかもしれない」
そして最後にリーダーの草薙カナタはリスクは高いが興味はあると前向きな意見を口に出した。
ミアさんに誘われて、一気にジャンプアップした階層ということもあって、もはや引き返すには手遅れだった。
「何やってるの。そろそろ行くわよ」
そして鬼気迫るミアさんという今回の探索のリーダーの訴えによって、作戦続行は決定する。
とにかくついて行ってみる。何かあるのは間違いないから。
無理やりにでも精霊ガチャを引かせられれば一番楽だが、あいにく精霊ガチャは1階限定で、絶対ミアさんは1階の探索なんてするわけがない。
だが22階層の攻略は、今までのペースを考えると常軌を逸したものだった。
恐ろしく凶悪なモンスターをかいくぐり、慣れない密林を草薙パーティとミアは何とか進む。
それは一歩間違えば死にかねない危険な行軍だったが、さすがはトップ探索者だ。
ミアさんのスキルは正確で、目的地に近づいていることは彼女の緊張具合からも見て取れた。
「いい? 奴らのテリトリーに入ったら、すぐさま攻撃して来るわ。前の時は抵抗する暇もなくやられた」
「え? ミアさんが? それじゃあ……僕らじゃ太刀打ちできないんじゃないか? 今日は、コールとブロックもいないし」
カナタは困惑し尋ねた。
だがミアは忌々し気に顔をゆがめると、そこは問題ないと答えた。
「……今日は貴方たちがいるからどうにかなるのよ。むしろあなたたちの精霊の力を当てにしてる」
「……えぇ? それって俺達が主戦力ってこと……なのか?」
「フフフッ。その通りよ。近くでしっかり見させてもらうから。あなた達が話すつもりがないことはもうわかってるし」
「いやぁそれについてもなぁ……」
カナタは頭を掻いて言葉を濁す。
そんな彼の様子を見て、ミアはハァと溜息を吐き、草薙パーティの面々を眺めて言った。
「まぁいいわ。でも生徒会についてはあなた達も興味があるでしょう? あのお祭りで勝てなかったんだから」
「……ああ」
「ハイリスクハイリターン……それがダンジョンの醍醐味ってものよね?」
ミアは挑戦的に笑い、散々脅されながら目的のポイントに向かったのだが――
「……」
――本当に大した妨害に遭わず、大樹の生い茂る不思議な集落への潜入に成功してしまった。
警戒すべきモンスターは確かにいたが、生徒会の襲撃とは違う。
驚くほど整えられたエルフの里に入った時、思わずショウがぽつりと呟いた。
「……特に、何もなかったな」
「そ、それは! 何か理由があるのよ! 行くわよ!」
ミアは慌てていたが、ミアが何かしてうまくいった感じでもなく。
すんなりと……というか、エルフが数人こちらに気づいた風だったが、特に警戒されることもない。
そして――
「こ、これは!」
「…………どういうこと?」
お洒落なツリーハウスの建ち並ぶ里にはいくつもの看板が並んでいた。
「ようこそレストラン『エルフの里』へ?」
カナタが看板を読み上げる。
エルフの給仕と、素敵なツリーハウスのレストランは里で一番大きな木の上で営業中とのことだった。




