第409話ゲットだぜ
「「……!」」
ついてこいと言われた二人が、素直について来たことに僕は純粋に驚いた。
それは得体の知れないものを暴くという使命ゆえの判断だったのだろうが、それが結果的に僕らの胡散臭い言動に乗るきっかけになったわけだ。
僕はと言えば、我が天然の魔法(?)……というか、極限まで気配を薄くしつつ、ガイド役は松林君に任せて、商品搬入の護衛態勢に入る。
転移宝玉で狩場に向かい、天使型モンスターの部隊「エンジェルズ」に守られた僕らは、激しく燃えるライオン型の精霊と対峙していた。
「「……っっっ」」
モンスターのあまりの強大さに、コール君とブロック君は完全に立ちすくんでいた。
その表情はまるで変な匂いを嗅いだ猫のようである。
だが半狂乱になって飛び出されるより、むしろ動かないでいてくれる方が好都合だ。
この中ではいささか慣れた方の松林君は、妙に淡々と商品回収の手順を実行していた。
「驚いてないで落ち着いてな? ハイコレ。持って。捕まえるからね」
そして、今回は体験ということもあって、コール君とブロック君にとあるアイテムを手渡す。
それはボール型のカプセルだが、素材からこだわって作った改良版の捕獲アイテムだった。
「つ、捕まえる……? あの化け物を? どうやって!?」
震える手でそれを受け取りながらコール君が叫ぶと、松林君は不思議そうに答えた。
「どうやってって……。ホラ、このカプセルあいつにぶつけるんだよ」
「アホか!? ポ〇ケモンか!?」
「そんなんでモンスターがどうにかなるわけが……いや、あの化け物にはどうやっても……ってか! ここは一体何階なんだ!」
流石にそれはないだろうと顔色が青くなるコール&ブロックコンビだったが、松林君は二人の真っ当すぎるツッコミにハッとして、そりゃそうだわって様子で手をポンと叩いた。
「あー、まだ質問はやめときな? 知るともっと怖くなって一歩も動けなくなるぜ? それよりほら……構えないと死んじゃうぞ?」
のほほんと……いや違うな、抵抗は無駄だと悟り切った表情で松林君は守護者の上位精霊を振り返る。
そして松林君は、指輪をした指で今まさに生まれ出ようとする精霊に向かって口を開いた。
「ガオナルゾエタ……我が命に従え」
とたん、精霊はピタリと動きを止めて、こちらの様子を窺っていた。
「いま! そいつを投げるんだ!」
「……! くそっ! どうにでもなれ!」
コール君の大リーガー級の剛速球が炎の獅子に飛んで行く。
その体にカプセルが触れた瞬間カプセルは光り輝き、獅子を一瞬で吸収するとポトリとその場に落ちた。
「……」
「……」
「よし! ゲットー!」
黙り込む、コール君にブロック君。
松林君は転がったカプセルを回収してフゥと額の汗をぬぐった。
「これで1体目、捕獲完了っと……ね? 簡単だろう?」
「「……Gotta catch 'em all!」」
「え? なんて?」
ああー僕知ってるかもー。
……なにとは言わないけれど、彼ら二人は生きていることを実感するとともに大きな感動に包まれたみたいだった。




