第407話がんばりすぎたかもしれない
「セントエルモの灯かぁ……」
一躍知名度を上げたその同好会は、学生とは思えない階層を踏破したと正式に申請し、今現在、最も勢いのある組織になっているらしい。
「―――いまやこの学校一番の注目の的だよ。ただの同好会が生徒会を食っちまいそうな勢いだって話だ」
「そんなに……」
自信満々に『セントエルモの灯』について語るのは、自称情報通の松林君だ。
なるほどねぇと、僕は売店にあるステッカーをクルクルと回して眺めながら、むしろ会計先輩の手並みに感心していた。
だが売店の店員をして長い松林君からすると、どうにもこの展開は納得しかねるようだった。
「だがねぇ……店長的には不満はないの? エルフは知らんけど、精霊は店長発信だろう?」
「いや? 別に。むしろ精霊ガチャなんかは生徒会で売ってるわけでもないしなぁ。実は先日うちのチャンネル登録者数が爆上がりしてね……まぁいいかなって」
そりゃあ、一言欲しかったところは確かにある。
とはいえ元々広まること前提でやっていたことだから、その手段にこだわりはなかった。
会計先輩は、僕が躊躇う手段を堂々と使ったにすぎない。
こういうことも当然出てくると思ってやっているし、僕の代わりに第一人者をやってくれるのなら、むしろ歓迎ではある。
そして、おそらくその恩恵を一番感じているのは松林君のはずだった。
「……ちなみに売店の売り上げは?」
「爆上がりだよね。……お給料を期待したい」
「任せておきたまえよ」
フッフッフッと笑う僕らは、売店成功の道筋を見た。
「松林君は頑張ってくれているからね、僕もできる限りのサポートをするとも」
感謝の気持ちを込めたのだが、松林君はそんな僕の言葉にため息交じりで遠い目をしていた。
「いや……オレは頑張りすぎてしまったのかもしれない。舞闘祭もさ……精霊持ってるやついっぱいいてさ。オレってがんばって売ったんだなって」
「売っていたねぇ……」
「バトルロイヤルでぼろ負けしたよね。だからほら……ガチャだって空っぽだよ」
「また……商品搬入に行かなきゃだね」
「だなぁ……」
何事もうまくいくことばかりではないな。
しみじみと語り合う僕らだったが、この売店にいると、思わぬ出会いがやってくる。
だが新たなそのお客さんは、妙にコソコソしていながら、体の大きさがまったく隠しきれていない二人組だった。
「アレは……留学生だよな?」
「そうだね、何やってんだろうね」
コール君とブロック君は、警戒心マックスの猫……というか虎とライオンみたいに売店にやって来た。




