第401話最高の一撃
純白の東雲式機動甲冑に身を包んだ僕は、空中から見開いた燃える瞳で敵を見据える。
僕は腕を突き出すと、出現した巨大十字架をガキンとつかみ取った。
重量感は抜群、サイズ感もバッチリだ。
手にした瞬間、僕は武器のセーフティを解除して、準備を開始した。
「一撃で終わらせてもらう……」
だけど前回の失敗も踏まえて、僕は手を打っておかねばならなかった。
「空間展開」
魔法を展開し、敵を中心に空間を歪曲させバトルフィールドを形成。
張り付けるテクスチャーは、よくある謎の荒野である。
更に僕は手にした十字架『トール・ブレイカー』を掲げ、モンスターを召喚。
呼び出した天使達が一斉に空から舞い降りて来て、被害を最小限にすべくバトルフィールドの境界を結界で覆い、周囲への守りを固めてゆく。
そして最後に、巨大召喚陣から召喚したブロックは新たな形を構築して、本日は巨大な巨人の姿を作り上げた。
まぁ……形は何でもいいんですよね。今回は見栄えと、手加減重視で。
氷の巨人は目を点にしてそれを見上げ、あんぐり口を開けていたけど、すぐに正気に戻って冷気の塊を咆哮に乗せて放って来た。
だが空中で微動だにせずに、僕はあえて受ける。
「……フォーメーションメドゥーサ」
絶対零度の咆哮を受け止めた九枚の盾は冷気を完全に無効化していて、僕本体には霜一つついてはいなかった。
『すさまじい防御力だ。もはや隙がないな』
「ありがとう。攻略君がそう言ってくれると自信がつくよ」
テストをしっかりやっていただけあって、シールドの完成度は完璧である。
氷の巨人は目を真っ赤に光らせて、追撃を試みようとしているが、もう何をしようと遅い。
すでにこっちの準備は完了していた。
天にはすでに巨大質量の召喚が完了し、僕のイメージを現実にする。
「喰らえ必殺……!」
僕はここまでの苦労を噛みしめて、今度こそ十字架を振り下ろした。
それは最後の審判に等しい、破壊の一撃だ。
フルスイングで叩き込まれた黄金に光り輝く拳は、巨人を虫のように潰し、そのまま大地を粉砕した。
ズドンと猛烈なエネルギーが叩きつけられて、激しく波打つ地面がまるで黄金の津波の様にグニャリと唸り、迸る雷撃が巨人とバトルフィールドを光に分解してゆく。
フィールドは必殺技の一撃を耐えられずに粉砕されて光の渦となる。
衝撃はすさまじく、天使全員の張った結界が衝撃波で軋んだ。
手元のトール・ブレイカーから発せられる甲高い音が徐々に収まるころには、謎の巨人なんて元から存在しなかったように完全に消滅していた。
「……っ!」
かつてない爽快な手ごたえはビリビリと鎧を伝わってきて、僕は黙って自分の手を眺めた。
そして視界の端には、荒れ果てた1階層と、いつまでも消えない光の渦が残っていた。
それを見て、僕は上空で腕を組んで頷いた。
「うーん超派手☆」
『……感想それでいいのかい?』
「いいんじゃない? 全力を尽くした結果だと思っている」
そして派手に決めたのなら、絶対にやらなければならないことを思い出して、僕は外部へスピーカーで呼びかけた。
「あー……ご興味ある方は――是非! 東雲鉄工にご連絡を!」
最後にキメ!
達成感がすごい!
頭の中の攻略君はあきれ声でやれやれと溜息をこぼしていた。
まぁ、僕も実際どうかと思うけどね!
さて皆さんの脳みそが冷静な判断力を取り戻す前に逃げ出そう。
それまでに浦島先輩と天使達を回収して撤退できるかどうかが、この作戦最大の――難所なのだった。




