第386話楽しい味付けの時間
さて、準備は整ってきたが、まだまだこっちの作業もどんどん進めていこう。
今回は時間もない。ここは頼りになる助っ人のとっておきスキルを披露してもらうことにした。
集まるよう号令をかけたのは、生産系スキルに意外な適性を見せた「キューピッツ」達下位天使だ。
そして差し出すのは東雲さんちでもらって来た武器だった。
「この銃を分析して。キューピッツのメイン武装にしようと思う。やれるかな?」
「余裕でち!」
「城の設備を使っていいでち?」
「もちろん。衣装は……すぐ送られて来る。僕が選んだ奴は、最初の写真でインスピレーションが迸っちゃったものの一枚だったらしい。正確なサイズに調整して送ってくれるそうだ」
「勝手に選ぶなでち!」
「職権乱用でち!」
「セクハラ裁判待ったなしでち!」
「……どこでそんな知恵を? 悪かったよ。だけどこれでキューピッツにも、本格的な制服が出来るんだぞ? いらないなら別にいいけど」
しかしこう説明すると、キューピッツ達は歓声を上げた。
「ついに本格衣装差分解禁でち!」
「こいつは熱いでち!」
「ヴァルリキリーズ敗れたりでち!」
「イベントも気合入れていくでち!」
うんうんと僕は頷く。喜んでくれて僕も嬉しいよ。
でも何か勘違いしているようなので、そこだけは訂正しておいた。
「いやいや、残念だけど、全員は連れて行かないからね?」
「?」
すると天使達の動きが止まった。
一斉に振り向くのはちょっと怖い。
でもここは抗議の圧に屈しない強い心が必要だった。
「そりゃそうだろう? 連れて行くのはこの中の一人だけだよ」
そう告げたとたん、あんなに和気藹々としていたキューピッツは騒然となり、わずかにそれぞれ距離を取る。
殺気立ったキューピッツ達から剣呑な空気が漂うが、僕はやめなさいと止めておいた。
「そんなに行きたいかね……喧嘩しないの。くじで決めなさい」
「「「「はいでち!」」」」
うん。返事はいつもながら元気だね。
やれやれ、妙なところで血の気が多いのは相変わらずのようだった。
「僕は最後の仕上げ作業に集中するから、後は頼んだ」
でもそんなにやる気があるなら逆に頼もしいか。
僕もキューピッツに負けないように、腕によりをかけてお祭りの準備を整えることにした。
「さて」
僕は今度はプレゼントの剣をアイテムボックスから取り出して、その磨き上げられた刃を目を細めて眺めた。
これだけ見事な一品に見劣りしない仕上げができるかは自信がないが、僕のスキルだって、着実に上達している。
となると後はやる気と根気の問題だ。
「うん。いいね。皆に負けず劣らず、僕も楽しんでいる実感がある。じゃあ、もうひと頑張りしようか攻略君?」
『頑張ると言われてもね。 さて何をしようか?』
「そりゃあ……メイン料理はもう完成しているんだ。後は自分好みに演出しなきゃ」
『演出ねぇ』
そうだとも。どう弄ってくれようかな?
浦島先輩ほどではないが、最後の仕上げは丁寧にだ。
ロマンはたくさん詰め込んでおくに越したことはないだろう。




