第380話ミアの見立て
一斉に強力な閃光と炎が二首の巨大ムカデを焼いてゆく。
断末魔の叫びをあげるモンスターは、その復元能力を発揮する暇すらなく、鮮やかにその首を断ち切られていた。
「……おお!」
「ね? 言った通りでしょう?」
ミアは倒れる20階層の守護者を見て当然だと笑う。
「何だかビビッて損したわ。こんなに弱いんだ」
天音マキという赤毛のクラスメイトはあまりにもあっさりと仕留めることができたボスモンスターに拍子抜けしていた。
だが、ミアの見立てでは、そう弱いボスというわけではなかった。
「それはないわマキ。あなた達が強いのよ。……それと、あなた達が持っているそれは一体どうやって? っていうかモンスターを仲間にするって何? そんなの聞いたことないんだけど?」
だがこれほど容易く格上のモンスターを撃破できる原因は、彼らが操っている存在がかなりの部分を占めていることにミアもまた気が付いていた。
好奇心と欲で目をぎらつかせて、ミアは問う。
ただ、反応と答えは、ミアの想像していたものとは全く違っていた。
「それは……」
マキはそっと目をそらし、リーダーの草薙カナタにいたっては困り顔でらしくない冗談を言った。
「ああ、こいつは……ガチャで出たんだ」
「は? ふざけてる?」
ミアもガチャという単語には聞き覚えがあった。
この国に来た時に空港でも見かけた、おもちゃの販売機のことだ。
だが、そんなおもちゃと規格外の強さを持つモンスターが結びつくはずがない。
ミアはそんな馬鹿な話はからかわれているのだと確信した。
すぐに指摘すると、ますますカナタの表情は困り顔になった。
「ふざけてないよ。お金を入れてこう……ガチャガチャハンドルを捻るやつ。あれから出てくるんだ」
「もういいって。誠実そうに見えたけれど、そうでもないのかしら?」
「いや……違うんだけどなぁ」
「うーん……ガチャはいい物なのにね」
「?」
そして、カナタのパーティメンバーであるカノンの妙に熱っぽい呟きは少し気になったが、そう簡単には秘密を漏らすつもりはないのだろう。
日本風ジョークのニュアンスまでも理解するのは、さすがに少し時間がかかりそうだとミアは肩をすくめた。




