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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第379話フライドほうおう

 ツリーハウスの素敵なレストランで、僕はいつものジャージに燃える頭、そして――マイエプロンを身に付けて厨房に立っていた。


「はい! では本日はこちらのチキンを使ってフライドチキンを作っていこうと思います!」


 たらたったーたったったー♪ たらたったーたったったー♪


 カメラ君から軽快な音楽が流れ、僕は深々と生徒会の皆様方におじぎ。


 そして彼らの前に、メラメラと燃え上がる鶏肉をどんと披露した。


「本日の食材はこの特別なモンスター素材を使います」


 扱いの難しい食材だが、手順を踏めば大丈夫。僕はまずその肉を用意していた液体に漬けて見せた。


 「えー、これは水の精霊から生み出された水に5%の塩と砂糖を入れたブライン液で、炎にかまわず漬け込んでください。これで下味を付けつつ、炎属性を中和しますね。30分ほど時間がかかるので――はい、漬け込んだものがこちらになります」


 定番の件をこなせてホックリしながら、次の工程へ。


 僕は今回、このとっておきの料理のために心強い味方を連れて来ていた。


「そして本日のアシスタント……はい! ダークひのたま君? 皆さんにご挨拶して?」


 そう促すと、ちょっと照れ気味に、ぬいぐるみ形態のダークひのたま君は生徒会の先輩方にペコリと頭を下げた。


「小麦粉と片栗粉、各種スパイスの入った衣を用意。……これは分量を正確にお願いします。しかし上級の食材は一筋縄ではいきません。他にも押さえておきたいポイントがあります。衣をつける前……はい! ここです! ダークひのたま君! 生きのいい死の呪い!」


 僕がそう指示するとおどろおどろしいドクロのオーラが鶏肉を侵食するようにしみ込んで……


「待って待って待って待って!」


 そこで、ギャラリーから待ったがかかるけど、3分過ぎちゃう。


 僕は手を止めずに対応した。


「まぁまぁ。不安なのはわかります。呪いの魔法が使えない場合は、こちらの「即死の呪い薬」でも代用できますから」


「ちょっと待ってください! そ、その死の呪いというやつは……食べて大丈夫な物なんですか?」


「え? 単品でってことでしょうか? ダメダメ、そのまま使えば死にますよ? 即死です」


「死ぬんじゃないですか!?」


 呪いを直接喰らえばそりゃ死ぬけれども、今回はこの素材と合わせることに意味があった。


「しかし、この鳳凰の肉を食べるためには中和しないといけません。お腹で生き返って燃えてしまいますからね。消化吸収するまで、生命力を相殺しないといけない訳です」


「ほうおう……のお肉?」


「そうです。ではこちらのお肉を揚げていきましょう。衣をしっかりつけて、170度で8分から12分。揚げ物をする時は十分注意してくださいね!」


「……そんな程度じゃない試練が、前段階で目白押しな気がしますが!」


 僕はツッコミを華麗にスルーしつつ、衣をしっかり何度もつけて、油の中に入れてゆく。


 よしよし、燃え上がったりはしていないね。


 最初の処理が甘いと、火柱が上がりかねないので注意が必要だった。


 そしてしっかり黄金色に揚がったフライドほうおうの油を切って、お皿に盛って――完成である。


 うん。新武器の試運転もかねて、空飛ぶモンスターを狩ってみたけどちょうどよかった。


 これはインパクトの強い一皿になったに違いない。


 だが皆さん、完成したおいしそうなフライドチキンを見て、ものすごい目をして引き気味だった。


「えー。最初はレストランの目玉になる、難易度の高い料理を紹介させていただきました。補助効果はリジェネですね。効果が相殺されたことで不老不死にはなりませんが、一定時間どんなにひどい傷でも瞬時に再生します、いわゆる無敵状態です」


「「「「!」」」」


 滅多に手に入る素材ではないが、目玉になりうる。


 でもこれは桃山君には教えられないね。


 トール・ブレイカーを使ってみたかったと言ったら、ものすごく微妙な表情をさせてしまいそうだった。


「えーでも、下ごしらえの手順だけはきっちり守ってくださいね。ここをミスると、回復力が強くなってリジェネじゃすまなくなったり、逆に呪いが強すぎてコロリといったりしますのでご注意ください」


「「「「……っ!」」」」


 やっと恐々でも手を出してくれそうだったのに、手が引っ込んでしまった。


 余計な補足を入れてしまったか。


 しかし、確か班長さんと呼ばれていた先輩が険しい顔でフライドチキンをガッツリ掴んだ。


「お、俺は食べるぞ! おおおお! セントエルモの灯に祝福あれ!」


「!!」


 ガブリ。


 豪快にいった彼はしかし、その瞬間目を見開くと、全身に黄金のオーラを纏い、叫んだ。


「うまーーーー!」


 そして、桁違いに生命力あふれるフライドほうおうは彼の未知の味覚を目覚めさせたみたいだった。


「ほ、本当にうまいのか!」


「なんという神々しい光……さすがはファイアーボールヘッド氏……」


「あんなヤバそうなものばかりの食材なのに……奥が深いですモンスター食」


 そうでしょう? ファイアーボールヘッド嘘つかないよ。


 とはいえ、注意するに越したことはない。


 しばらくは動画の一般公開は控え、キッチンでの調理確認用としてだけ見てもらうようにしてもらおうか。


 僕はそんなことを考えていた。


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― 新着の感想 ―
やべえ食材とやべえ食材を中和させてバランス取らなきゃ駄目だから、クラフト系の中でもいっとう難しいんじゃないか? まさかの変な癖かと思ったらチートスキル枠か…
下処理が不十分だとゴジ○的に「うまーい!!」って言ってる間、巨大化して大阪城を破壊しそう(爆)
何そのフグを食べるために試行錯誤したみたいなヤツ
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