第376話ミアは思う
「……!」
ハッとミアは意識を取り戻し、体を起こした。
周囲を確認すると、そこは1階層のセーフルームの中のようで、気絶していた自分たち以外は誰もいない。
よくわからないままの敗北の後、どうしても納得がいかずに、今度は忍び込む形で封鎖されたエリアに入り込み……生徒会を名乗る不審な連中の秘密を暴こうとした――そこまでは覚えている。
そして自分たちはダンジョン内に拠点を発見して……捕らえられたようだ。
「……一体何なの? あの連中は?」
ミアは起こった事態があまりにも不可解で、頭を抱えた。
自分たちはトップ階層に足を踏み入れるレベルの探索者で、本国でも上から数えた方が早い実力を有している。
そう自負していたし、認められているはずだった。
しかし、あの連中が使ったスキルは、そんな自分たちですら一切聞いたことがないものだった。
驚異的な強さの人型モンスター。
それを呼び出し、操っている何らかの魔法。
そして彼らは、手を加えることが一切できないはずのダンジョン内で拠点さえも作り上げようとしている。
それだけじゃない。
彼ら一人ひとりの強さはとてもじゃないが適性があるだけの学生のものではなかった。
それどころか……自分よりも上の可能性すらある。
ミアはギリっと唇を噛み、拳を地面に叩きつける。
あの強さを目の当たりにした時、ミアの頭をかすめたのは、燃える頭の謎の男だった。
「……ファイアーボールヘッド」
謎の武装を振り回し、パイルバンカーなんてもので自分の氷を粉砕した、極東に突然出て来た、謎の怪人。
本国でもカルト的な人気を獲得しつつあるアレのせいで、ミアは噛ませ犬ポジションもいいところだ。
だが、そんなことはどうでもいい。
レイナがギターを奏でながら、ゴーストを操るバトルスタイルがちょっと手が付けられないほど爆発的な人気になっていることも……いや、そっちは夢に見るほど悔しいが――それもまぁ今はいい。
「だけど確信したわ。ここには絶対に秘密がある。モノにしてみせるわ。絶対に……!」
ミアは気合を入れ直して頬を叩いた。
そしてまだ気絶しているパーティメンバーを蹴り起こして、檄を飛ばした。
「起きなさい! 寝てる場合じゃないわ! すぐ回復するわよ!」
「……一体何が?」
「……俺たちどうなった?」
そんな起き抜けに気の抜けたことを言う二人に、ミアは真実を叩きつけた。
「負けたのよ! 完膚なきまでに!」
それを聞いたコールとブロックは目を見開き……そして落ち込むどころかテンション高めにはしゃぎだした。
「ワォ! そうだった! ベリーキュートなエルフにやられたんだ! オーマイゴッド! 信じられない!」
「全くだ! あんなアメイジングな体験は初めてだぜ!」
「……」
こいつら、一回殺そうか?
ミアが感情のままに放った冷気で、思わず二人まとめて周囲を氷漬けにしたけれど、ミアの心は冷気とは違い、どこかの誰かの頭のように熱く燃え上がっていた。




