第371話生徒会の異変
「……ミアさんはいろいろ激しい子だなぁ。でもやっぱりサブカルチャー同好会の実態を調べに来てたか」
桃山氏の予想が大当たりか。
興味を持つ人が出てくることは想定内だけど、できれば僕に話しかける時は、フレンドリーに接してくれるととても嬉しい。
だけど今日、エルフを発見した22階層にやって来た目的はミアさん達ではない。
というか、僕がというよりは一緒に探索に来ている珍しいゲストの用事がメインである。
そのゲストは僕同様、息を潜めてミアさんのやられっぷりをすぐ横で観察していた。
「……何かしているという情報に間違いはなかったみたい。でも彼女、有望。今度生徒会に誘ってみることにしよう」
若干楽しそうに生徒同士のバトルを見ているのは、如月先輩。
生徒会の副会長だった。
僕は淡々とミアさんを評価する彼女に、軽く肩をすくめてみせた。
「よかったんですか見ていて?」
「……生徒会長なら止めていただろうけど、都合がいい。注意がそれているうちにこっそり進もう」
僕は如月先輩に言われるままに頷く。
なぜ彼女がわざわざ僕と一緒にダンジョンに潜っているのか?
その発端は、生徒会長が聞いたという妙な話にあった。
「はい? 生徒会員の何人かが野に帰った? なんですそれ?」
呼び出されたかと思ったら、いきなり八坂生徒会長から持ち掛けられた相談は、正直意味不明だった。
それも当然で、話をしている当の本人もちゃんと理解しているわけではない様子だった。
「…………いや。正直よくわからない。ただ、ダンジョンの中で住む方法を模索したいと……」
「……本気で言ってます?」
「君達が実際に生活基盤を整えている光景を見て、為せば成ると確信を得たようでな……」
「……どういうことです?」
「わからない」
正直お手上げという雰囲気の生徒会長だけど、面白い話ではあると僕は思った。
ダンジョンの中に住むだけなら、案外不可能じゃない――なんて考えてしまうのは、最近の僕の悪い癖だった。
ただ、気持ちはわかるけれども、安全面から見ても。せめてカフェくらいまで来てからそういう思想に目覚めて欲しいものだった。
「じゃあ、ちょっと見に行ってみますか?」
もっとも、聞いただけでは想像しかできないのは僕も同じことだった。
なら見に行けばいいじゃないかと、そう促すとスッと静かに、生徒会長の横で手を上げたのは如月副会長だった。
「……私が見てくる、このくらいのことで生徒会長がわざわざ出向いていては示しがつかない」
「そ、そうか? まぁ行ってくれるというのなら、任せてもいいが……」
「任せて」
食い気味に胸を張る如月副会長は、なぜだかやけにやる気だった。




