第346話気絶から目覚めると
「ううん……」
僕はバチリと目を開く。
どうやら僕は今、布団で寝かされているようで、ひんやりと冷たい肌触りのシーツは寝心地がよかった。
着ているものはなぜか浴衣である。
誰が浴衣に着替えさせたのかはとても気になるけど、まぁ今はいいだろう。
僕はガンガンと痛む頭を抱えて体を起こした。
周囲を確認すると、そこは竜宮城内の一室のようだった。
「……何があった? 攻略君」
『魔力切れだね。ちょっとあれこれ強力な装備を使いすぎた』
「あー……そういうのもあったかぁ。魔法使いじゃないから気にしたことなかったよ」
『まぁ今まで魔力切れするほど使わなかったしね』
気を失うほどに持っていかれたのは僕の制御が甘かったのか?
それとも色々混ぜすぎて、そもそも消費が大きすぎるのか。
たぶんどっちも原因だ。
ただ原因がなんにせよ、どうにかしないとアレはまともに使えないということのようだった。
『破壊力は申し分ないが……消費が大きすぎる。あの質量すべてに魔法を行き渡らせるのが課題かな?』
「なるほど……破壊力は申し分ないか」
呟いて僕はハッとした。
そして、大慌てで窓を探して外を確認した。
本来であれば寸止めで終わらせるはずだったところを途中で制御不能になってしまった。
トール・ブレイカーの雷は本気を出せば何でもかんでも分解できるらしいが、それはエネルギー切れで不発になったはず。
だがしかし、視界に飛び込んできたのは闘技場を半壊させる破壊の痕跡だった。
「うわー……これはやばい」
『やばいね』
最初の広くて美しいスタジアムはクレーターでボコボコである。
それはかなりのダメージで、僕は一旦そっと視線を逸らした。
『あのゴーレムのサイズならバラバラになって落ちてくるだけで災害だ』
「確かにそうみたい……」
ざっと見た感じ……竜宮城は無事ではある。僕がんばった。
まぁそこは仕方がない。バトルには思わぬ事故が付き物だと、本日の教訓にしておこう。
ただ気絶するほど頑張ったせいで、僕は大切なことを忘れていることに気がついた。
「……んー? なんか忘れているような?」
とても大事なことだった気がするのだが、はて? なんだったろう?
しばらくぼんやりしながら竜宮城の中をうろうろしていると、僕は見覚えのある部屋を見つけた。
そこでようやく僕の消えていた記憶はふんわりと蘇り、同時に扉がタイミングよく開いた。
「……」
顔を出したのはクラスメイトのハバキリ君で、どこか薄汚れている感じである。
「あ……ワタヌキか。久しぶりに感じる」
「あ! フッ……どうやら修行は終了したみたいだね、ハバキリ君。待っていたよ」
「……なんで寝間着なんだ?」
「……それは僕も知らない」
ちょっときょどってしまったが、なんにも忘れていませんでしたよというふりは成功したと思いたい。
しかしハバキリ君の修行がまだ終わっていなかったということは、僕はそんなに長いこと気を失っていたわけではないらしい。
でもヤベー。プレゼント予定だったドラゴンどうしよう?
トラブルがあると予定はずれるもので、それはどうしようもないことだ。
ただ今回は、思いもよらず助けてもらえたみたいだった。
「あー! いたいた! もう動いて大丈夫なの?」
声の先には、僕を探してやって来た浦島先輩がいて、非常に楽しそうにある物を僕に差し出した。
「じゃあはいこれ。面白いものが手に入ったから、ワタヌキ君にあげる」
「え? なんですこれ?」
「へっへー。なんでしょう?」
浦島先輩が僕が気絶している間に手に入れて来てくれたもの。
それは抱きかかえられるくらいのでっかい卵だった。
「必要なんでしょう? ドラゴン? これ、ドラゴンの卵だよ」
「え!!」
まさかカバーしてくれていたとは。
ドラゴンの卵がテイムには最適という案は超巨大ドラゴンのスマウグ君の案だとか。
……ちょっと待って? ホントにいいの? ドラゴンなのに?




