第313話ユニコーンゴーレム
「いやぁ、かなり心躍る依頼だ……いい人だなぁ如月先輩は!」
『……心配になるチョロさだなぁ』
攻略君はいきなり心外なツッコミを呟いていたけれど、テンションの上がった僕の熱がそれくらいで下がるとは思わないでほしかった。
「まぁ、如月先輩も基本的には僕らに相当に気を使ってくれているってことなんだろうけれども、いいじゃないか。頼まれでもしないと、ユニコーンのゴーレムなんて作んないだろうし」
そして作るからにはベストを尽くしたいと思うのが人情だろう。
幸いダンジョン内にはユニコーンがいて、本物のビジュアルデータを基に、ロボっぽく調整。
なかなかカッコよくなりそうだという確信が湧いてきたところで、武装を詰め込んでゆく。
如月先輩についてそう詳しいわけではないが、魔法使いとして生徒会長と一緒に潜っているのだろうし、立ち回りをサポートすることを意識したいところだった。
「基本……補助系がいいよねぇ。回復系の……後は移動の補助……加速と空を走れるようにもしておこう。ああ忘れちゃいけないドリルだね」
『……至れり尽くせりじゃないか?』
「そう? まだ足りないだろう? ……モード変更入れるか? スイッチ入ると全部ギミックが補助から攻撃用に切り替わる機能も入れておこう。赤い発光も忘れずに……いっそテイマーと合体するってのはどうだ?」
『……やっぱりサービス満点じゃないか』
「絶対いるでしょ。そこは譲れないよ」
こだわりのない作品は気の抜けた炭酸みたいになる。
こういうこだわりこそが大事なところだとそう念を押すと、そういうものかと攻略君は感心していた。
『なるほど……でもあんまり強くすると危ないからね? 君のレベル的に結構強くなるのは仕方がないが』
「ある程度近いレベルにはしたいね。一緒に成長してもらおう。ゴーレムだってレベルは上がるさ」
『そうだね』
探索者と一緒に戦い、成長するのもモンスターを仲間にする醍醐味だ。
『……しかし君は生徒会への協力は惜しまないね』
ふいにあきれたように攻略君に指摘されたが、生徒会に限った話ではない。
だが彼らが安定していれば、僕らにも恩恵があるとは思っていた。
「そりゃあね。まぁ、回り回って3年間を快適に過ごせそうだっていう打算が大きいかな? 楽できそうでしょ?」
『そうかな? 逆に忙しくなってる気もするけど?』
「そんなの最初だけだって。どっちにしろ3年間みっちりダンジョンには潜らなきゃいけないんだから、それまでモンスターにビクビクしながら日々を過ごすのはしんどいもんだよ」
僕は攻略君の台詞を笑い飛ばす。
そういう意味ではすでに死ぬかもしれないという心理的負担がほぼなくなるところまで来れたのはかなりの成果だと僕は確信していた。
「最近中々強くなったとようやく実感が伴ってきたところなんだ」
『ようやくぅ? その認識まだ甘くないかな?』
「そう? まぁだから後は僕以外のところに、得られた成果を程よく分ける余裕はあってもいいと思うけど……よし。データの入力は終了っと。一体作ってみようか?」
『……そうだね』
ウマ型だから、それなりのサイズになるだろうなぁ。
ともすると完成まではそれなりに時間もかかりそうだ。
僕は適当な椅子に腰を下ろして、棚から一冊本を取った。
SFのロボット物の読み物は非常に面白かったが、終盤の戦闘が始まったあたりで電話が鳴った。
「はいはい。ワタヌキです。どうした?」
相手は桃山君だったのだが、すごい勢いで訴えられたメッセージは、しかし予想だにしないものだった。
「ワタヌキ氏! 助けて欲しいでござる!」
「……っ!」
トラブルは突然やってくる。




