第312話何を作りましょうか?
「というわけで、如月先輩のテイムモンスター担当は僕です。ではまず―――理想のモンスターの姿って何かあります?」
桃山君がオーガをテイムしに行っている間、僕は部室で如月副会長の聞き取り調査である。
ゴーレムをご所望との話だが、希望のモンスターがゴーレムだというのならこの聞き取りは大いに意味がある。
如月先輩はすぐに狩りに行くとばかり思っていたようで面食らっていたが、特に引っかかることもなくこちらの意図を汲んで答えてくれた。
「そうだね……ユニコーンとか?」
「ユニコーン……ちなみに履修は?」
「まだ。でも近いうちに行く」
「ならばZZもおすすめしておきますね……ちなみにリクエストのユニコーンは生ものでも可ですが?」
「……ゴーレムタイプだと最高?」
「……ゴーレムですね?」
だがそんなオーダーに僕は感動してしまった。
実にいいオーダーだ。
いろんな意味でネタになりそうで、造形のチョイス的にも実に魅力的だった。
そんな都合のいいモンスターがいるわけがない?
そう……まぁ普通にはたぶんいないが、しかしロボ、じゃなかった……ゴーレムならそんな心配は全くない!
「一応確認ですけど……馬型のユニコーンでいいんですよね?」
「人型も捨てがたいけど……馬型で大丈夫。角はドリルにして欲しい」
「それはまた! ……今なら通じ合える気がします。任せてください! ドリルだろうガトリングシールドだろうがビームだろうが、なんなら縮退砲だろうが再現して見せますよ!」
「それやりすぎ」
「……まぁそうかな? そうかも。……さすがに無理です」
「……心臓に悪い。できたらどうしようかと思った」
「おや、迂闊にジョークも言えませんね」
如月先輩はたいして驚いていなさそうに見えたが、驚いてくれたのなら慣れない冗談を飛ばしたかいがある。
歩み寄りの姿勢には、僕らの方からも歩み寄る形を示したい。
そしてそのための手段を、僕はすでに持っていた。
「了解しました。ではしばしお持ちください。ダンジョンで待ち合わせましょうか?」
「……わかった。じゃあ私は生徒会長を追いかけたいんだけれど、いい?」
ただ如月先輩はやはり先にダンジョンに向かった八坂生徒会長が気になっているらしい。
そんな彼女の護衛に立候補したのはレイナさんだった。
すぐに元気に手を上げた彼女は、如月先輩に今後の予定を確認する。
「はい! じゃあワタシが送ります! でも……ゆっくり行きたいですよね?」
「うん。じゃあ先にカフェに向かって、時間を潰そう」
「かしこまりです! では! ワタヌキのユニコーンゴーレム! すごいの期待しちゃいますよ?」
「……うん? 私も期待している。準備が終わったら、いつでも言って欲しい。戦う準備は整えておくから」
「ああいや。戦う準備は……いえ、ダンジョンの中ですしね。万全にしていてください」
「? わかった」
如月先輩は一緒にテイムする気でいるようだったが、それが必要になるかは、ちょっと疑問である。
何せ今回は捕獲ではなく製作だ。
さてじゃあやっちゃいますか!
僕はバキバキと指を鳴らしてほぐしてゆく。
練習はしているけど、今まではゴーレムというよりもアイテムみたいなのばっかり作っていたから、ばっちり戦えるモンスタータイプは中々テンションが上がる依頼だった。




