第305話アイデアレシピ
苦労の末、無事9枚の盾をゲットした僕はホクホクと、そして肩にくっついたダークひのたま君はちょっとくたびれてやってきたのは魔王城である。
「「……」」
「ゴ、ゴメンって。チョット粘りすぎたってば」
ダークひのたま君の非難の視線と、浦島先輩の呆れ交じりの視線は痛い。
これは失敗できそうにないからがんばるしかなさそうである。
「じゃあ、私もちょっと調べものするから後でね」
「はい。今日はありがとうございました浦島先輩」
「はいはい~」
浦島先輩は本棚を漁り始め、今日はタイミングよく他にも部のみんなが集まっていた。
ただ、みんなずいぶん真剣に作業をしているようで、僕もそっと作業に移る。
まず僕はたくさん用意した盾を錬金炉の中に放り込んでゆく。
「ガラガラと」
『おおっふ……なんという』
攻略君が無造作に放り込まれる盾を見て、悲鳴じみた声を上げた。
なんだい? こういうのは思い切りも大事だろう?
錬金炉とは、錬金釜より武具に特化した錬金設備で、付与されている魔法効果の分解や付け替えまで出来る便利設備である。
続いて盾をすべて分解した後、炉の中に放り込むのはこの間掃除機を作る時に一緒に作っておいたオリハルコン製の浮遊型ゴーレムだ。
理屈で言うと浮遊する掃除機と同じ魔法で浮遊して、僕の思念に連動して直感的に動いてくれる。
カテゴリーはゴーレムと同じモンスターということになるか。
そこに、分解した魔法を張り付ければ新しい浮遊する盾の完成というわけだ。
ちなみに手に入れた盾の能力は、まず超強力な守りの結界。プラス石化の呪い(光線)と大気を操る能力とある。
確かに強力でトールハンマーと相性もよさそうだが、今回、能力のつけかえが実際に可能かどうか? そして新しい武器に合わせて調整できるかも確認しておきたいポイントだった。
「これで……うまくいったのかな?」
しばし弄り、僕は出来上がったそれを試しに浮かべてみた。
フワフワと空を飛ぶ9枚の盾はある程度意識の向かった方に陣形を組み、ブオンと盾同士をつないだ範囲に強力な結界を発生させた。
うん、特殊能力の改造も成功。
結界の形は自由自在。
広くも狭くも、何なら重ねることもできて、スピードが必要なら空間魔法で飛ばすこともできるから、極めて高いカバー力を発揮してくれる予定である。
「……動作は問題なし。連携させるなら精霊より機械的で精度がいいかな?」
しかし無数の盾が右に左にと意識した方向へ飛んでいくのは中々楽しい。
「よ! ほ! ……おお!?」
しばらく遊んでいたのだが……後ろに盾を持って行った時、みんなからいつの間にかめっちゃ見られていた。
「え? なんです?」
ビクッとしてしまったが、そんなことには一切構わずみんな空飛ぶ盾に夢中だった。
「プ〇ネイトディフェンサーじゃないですか!? 矛盾ですか!?」
「めっちゃ浮いてるでござるけど!」
「そういうことかよ! 精霊入ってないよねこれ! ゴーレムも浮くの!?」
皆好きですねぇ。いいですよね浮遊する盾。
放熱板型や漏斗型もいいけど、これもまたいいものだと僕は思う。
ネタっぽくはあるが、しっかりと実用的だと証明するのはこれからだった。




