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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第286話欲望の結実

「いやー先生。よくいらっしゃいました。こちらからお伺いすべきだったのですが……」


 工作室の中にいた東雲さんは僕が部屋に入ると、深々と頭を下げて僕を歓迎する。


 大変ご機嫌のようだがその原因はおおよそ僕には察しが付いた。


 いつ完成したかは知らないが、彼女がとても大きな仕事を成し遂げたのは明白である。


 なにせその結果は今そこで、鼻歌交じりに接客の準備をしている彼なのだから。


「そんなにかしこまらないでよ。それで……彼がそうなんだよね?」


 僕は好奇心が抑えられずに訊ねると、東雲さんはとても満ち足りた顔で頷いていた。


「はい!……なんというか……感無量ですよね。専用の懐刀から生まれた刀の精です!」


 そうか、遂に完成したんだね。自力で擬人化出来る刀。


 完全な人型。そして完全な人格。


 手先も器用なようで急須にお茶の葉を入れて、蒸らしてから湯呑にお茶を注いでいる。


 僕の視線に気が付くとニッコリ笑って対応までする驚きの表現力。


 恐るべきはそれを実現せしめた情熱と想像力だった。


「お口に合えばいいのですが……ああ、お茶菓子もありますよ?」


「ありがとう……普通にしゃべれてるね」


 刀の反応に僕が驚きと共に口に出すと、驚くほど不敵に、そして滑らかに東雲さんは語り出した。


「もちろんですよ。いやぁ、正直うまくいきすぎてビビり散らかしますよね。最早行きつくところまで行ってしまった感じです」


 東雲さん自身も大いにこの仕事に満足しているようだった。


「いや、実際にここまで仕上げて見せたのはすごいよ。鍛冶師としても、アイテムを生成するスキルにしてもよく育てていないとこうはいかない」


 素直に絶賛したら、東雲さんは顔を赤くして、表情が緩むのを我慢できていなかった。


「えっへっへー。そんなに褒めても何も出ませんよ? あ、アメちゃんいります?」


 アメちゃんは出るんだ。


 僕は飴玉をありがたく頂いて口の中に放りこむと、温かいお茶を流し込んで程よく溶かして楽しんだ。


 まぁ甘い賞賛の一つも出る。


 彼女が浮かれるのも無理はない、それだけの偉業である。


 そして彼女の素晴らしい仕事は、感謝を伝えようと思えばまだ他にも渋滞していた。


「ええっとね、そういえば、銃も使わせてもらったよ、本当にありがとう。中身も入れてバッチリ完成させたから」


 そしてなにより桃山君の銃の件。


 実際深い層でも大活躍で、ちゃんと実用化できていた。


 というか最後まで効果があった時点でこれ以上の証明はないだろう。


「本当ですか? いやぁ、それはホントよかった。ああ、桃山さんには、定期メンテを忘れないように言っておいてくださいね? やっぱり試作品なんで、できれば私達に任せてもらえると嬉しいですけど」


「わかった、言っておくよ。結構無茶な使い方してたから」


「それはおっかないですね……。まだまだ手探りなところも多い武器なんですよ?」


 東雲さんは困り顔だが、新しい武器に自信もこだわりもあるようだ。


 まだまだやる気の彼女を見て、僕は決めた。


 うん、やっぱり任せるなら彼女がいいだろう。


 僕は深く頷いて、さっそく本題に入ることにした。


「それでさ……ちょっと相談があるんだけどいい?」


「はい、なんです?」


「実は僕のメインウエポンが壊れちゃって、修理お願いしたいんだけど頼めるかな?」


 だがそう言うと、東雲さんは思い切り身構えていた。


「……先生の、メインウエポンですか? それはまたごっついのが出てきそうですね」


「まぁね。どう、お願いできる?」


 再び尋ねる。


 東雲さんはしばし考えていたが、僕にしてみればタイミングは最高だったのだろう。


 東雲さんは結局、不敵な笑みを浮かべて頷いた。


「ええっと……実際見てみないとはっきりしたことは言えないですけど、挑戦してみたいとは思います。まぁ……今の私ならうまくやれると思いますけどね!」


 というか返ってきた答えは随分自信に満ち溢れていた。


 その意気やよし。ちょっと調子に乗り気味でも、今回の場合その自信は重要である。


 なにせ僕の壊れた武器はそんじょそこらのアイテムとは一味も二味も違うのだから。


「なるほど……その言葉が聞きたかった。じゃあ―――さっそくとっておきの場所に案内しようか」


「……え?」


 だがさっきまでの頼もしい声色は一瞬にして、気の抜けた疑問符に変わっていた。

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― 新着の感想 ―
ようこそ魔王城へ!て事ですね?
メインウエポンてスレッジハンマーの事ではないのかな? 巨大ロボでも、出てきたりして
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